■ とても便利な“撮影スタンド”
WISTAというメーカーの撮影用スタンド、サブスタンド88というのを買いまして。スタジオ撮影(七五三記念写真とか証明写真とか)で使われたりする、ドーリー付きのカメラスタンドですな。
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WISTA(ウイスタ)のサブスタンド88。記念写真撮影スタジオなどで使われるカメラスタンド、の、小型軽量バージョン。価格はオプションなどにより若干変わるが、10万円前後
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これ、10万円前後するスタンドなのだが、俺においてはある種の究極的な“解”になっている。拙者の室内小物撮影のウルトラ強力な助っ人だーゼ~!! みたいな。どのよーな三脚よりも“便利かつ快適”にカメラをホールドしてくれる機材なのだ。
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このようにカメラをセットできる。左右水平に伸びる棒の上に雲台を装着し、その上にカメラを載せる。素材は、銀色の部分がアルミで、黒い部分が鋳造の鉄かなにか。頑丈。台座は重く、この状態でも安定性がある
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カメラを保持するアーム部は、床から110cmくらいまで上げられる。ちなみに、スタンドの全高は125cmくらい。このスタンドの場合、アームは長いほうが約19cmで、短いほうが約27cm
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このようにアーム部を下まで下げることもできる。この状態で、アームの支点中央は、床から約22cmほど。なお、アームを水平方向に回転させることはできない。少しなら可能だが、回し過ぎるとワイヤーに悪影響を与える
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アームの上げ下げは、アーム支点部にあるツマミを緩めて行う。スタンドにはバネによる昇降補助機構があり、少しの力でアームを上げ下げできる
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アーム部はこんなワイヤーで吊られている。このワイヤーは、スタンド内部のバネに接続されていて、アームを持ち上げるようにテンションがかかっているのだ
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スタンド下部にはドーリーとして機能する台座がある。丸い銀色のペダルを踏み込めば、ドーリー動作を固定できる。解除も踏み込み一発でOK。台座部分は重いので、ドーリーを固定しなくても安定してカメラを支えてくれる
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拙宅の小物撮影スペースは、小物などを置くテーブルと、三脚などを設置する床を合わせて、だいたい1畳少々といったところ。狭めである。
が、このサブスタンド88を使ったら、これまで「狭ぇなァ」と感じていたストレスがかな~り解消された。イライラが減ると同時にカメラ位置セットに係わる手間も激減!! 単なる撮影スタンドと言えばそれまでだが、も~コレめちゃ便利!! なのだ。
例えば三脚を使った場合、3本の脚が斜めに伸びるので、何かと少々邪魔になる。また、カメラの位置を変えるには、三脚自体を持ち上げて動かしたり、三脚のポールや脚を伸縮させる必要がある。三脚の各部の長さ調整には、各部のツマミを緩めたり締めたりして、意外なほど手間になるのはご存知のとおり。
一方、サブスタンド88のような機材を使うと、実質、アームの上げ下げのためのツマミ操作のみで済む。ツマミを緩めてアームの高さを変えつつ、スタンド自体を(ドーリーにより)前後左右に動かせる。状況によっては、カメラのファインダーを覗きながら、高さを含むカメラ位置を片手で調整していけるのだ。
恐らく、デジ一眼の普及で、室内でブツ撮りをする人が増えていると思うが、多くのケースでサブスタンド88のような撮影スタンドが“撮影効率を上げつつ苦労を低減”してくれると思う。
■ 俺的に名機材だったドリーポッドDP-3D
実は、予定では、ベルボンのドリーポッドDP-3D(←PDFっす。9ページ目にドリーポッドDP-3Dの後継機種が)という撮影スタンドを大紹介して大推奨するツモリでいた拙者。このドリーポッドってのがまた便利なんである。
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ベルボンのドリーポッドDP-3D。恐らく写真店向けの製品で、証明写真撮影用途に作られた撮影スタンドと思われる。2万円前後で購入した記憶がある。けど、一昨年~去年あたりで生産完了に
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基本的な機構は、サブスタンド88と似ている。カメラ位置の上下を容易に行えて、スタンド自体も前後左右に動かせる、というもの。もちろん、雲台は自由に交換できる
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台座部にはドーリーがある。安定もわりとシッカリしているので、狭い室内での小物撮影なんかに便利だった。車輪はそれぞれ個別にロック可能
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このスタンドも、基本的な使い方はサブスタンド88と同様ですな。スタンド上部に雲台があり、そこにカメラをセット。すると、カメラの高さをツマミ操作程度でススッと変えられる。また台座部はドーリーになっているので、前後左右にも自由に動かせる。ちなみに、全高は約151cmで、最低高は約87cm。
このドリーポッドと前述のサブスタンド88には、カメラの位置を三脚よりもず~っとクイックかつラクに変えられるという共通の利便がある。また、それに加えて三脚にはなかなかない便利さもある。
要は、台座から1本、ポールが伸びているだけという構造。なので、ポールをテーブルの端まで寄せられる。カメラの位置を三脚よりもさらにテーブルに近づけられるので、テーブル端付近に置いた被写体を真上近くから撮れたり、三脚使用時より被写体に近接できたりして便利なのだ。三脚のようにテーブルの端に脚がガシガシぶつけちまうこと少ない。
このドリーポッド、例えば個人宅の手狭なフローリング室内のような場所で撮影するには超便利。なのだが、2008年には既にディスコンになったようで、現在は中古品でしか手に入らないみたい。
そこで焦った拙者。ええっ!? この激便利スタンド、もう新品で買えないの!? じゃあコワくて改造とかできないじゃん、みたいな。
率直に言ってドリーポッドにも難点がある。ポール上端の最低高が80cmくらいなので、例えばテーブルの上に置いた被写体を真横から撮影できない(カメラをそこまで下げられない)。
この難点から、ポール部分を切断して、低い位置にカメラをもってこられるドリーポッド(改)を作ろうと思っていたのだ。新たにドリーポッドDP-3Dを買って、古いドリーポッドDP-3Dを改造し、ノーマルなドリーポッドと低位置用ドリーポッドで撮っていきたい!! とか考えていた。
でもディスコンでしょ。改造してドリーポッドがダメになったりすると拙者の快適撮影機材が滅亡でしょ。ん~む。というわけで、ドリーポッドDP-3Dに代わる撮影スタンドを探し始めた。
■ 見つけた!! けど激高!! しかもデカっ!! 重っ!!
ドリーポッドのような使い勝手がありそーな機材は見たことがあった。若林師匠がスタジオで使っている謎の巨大スタンドである。てか、高さ2mの鉄の柱みたいな感じで、台座はドーリーとなっているが、重さは100kgくらいあるんじゃないかというドでかい本格的なスタンド。
あ~ゆ~のの小型版がナイかニャ~とさんざん探したのだが、見つけたのはFOBAスタンドのようなモロ本格的でモロ高価なスタンドくらい。
FOBAスタンド、プロにとっては有名&わりと定番なものらしいが、重さ100kg以上で高さが3m近くある。もはや狭い自宅に置けるようなシロモノではないし、フツーに50万円オーバーからのスタンドなので、ムリ無理むりMURIあ~不可能、てなことに。
でもまだ探して探してさらに探して、結局、ドリーポッドDP-3Dの代替えになりそーかもしれないスタンドを発見。WISTAのファームスタンドという製品で、中古で購入した。
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WISTAのファームスタンド。いわゆる“写真館”用のスタンドで、大判カメラを2台とかセットするために設計されている。ので、かなりデカい。また、重い。けど、成人男性ならどうにか持ち上げられる
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デジ一眼を載せるとこんな感じ。若干アンバランス。また、アームが持ち上がるバネの力は、デジ一眼には少々強めかも
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作りはガッシリ。アームは左右貫通しており、左右に出る長さを調節できる。また、サブスタンド88と違い、アームを360度自由に回転させられる。アーム上の雲台据え付け部も頑丈
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サブスタンド88と同様の機能を持つ台座部がある。ペダルを踏むことでドーリー動作を固定することができる
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サブスタンド88と比べるとこんなサイズ
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ドリーポッドDP-3Dと比べると、こんなにデカい!!
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実機を写真だけ見て買ったんですけど、これが届いた瞬間、ヤベ!! やっちまったカモ!! とか思ったりした拙者。何しろ上の写真のように大きい。ちょっと大げさ過ぎのモノを買ったかも~、と。
■ デカいけど便利……だけどこれもディスコン!?
しかしこのファームスタンド、使ってみたら良好。アームやポールは太いが、そのガタイのわりには小回りが利く。合計1畳少々の拙宅仕事場撮影スペースでも、まずまず実用的。てか、サブスタンド88と同様に、軽い力でアームを昇降させられるので、撮影時の快適さはドリーポッドDP-3Dを大きく上回るものだった。
難点は、ま、大きいってのもあるが、アームを跳ね上げる力が強いので、カメラ位置を下げるときにアーム部をやや強めに押下する必要がある点。ま、大判カメラ×2台用のスタンドらしいので、それにデジ一眼載せてる拙者がイケナイんですけどね。
ともあれ、アームにある程度重いモノを載せればその難点が解消される。単純に、軽く押し下げるだけでアームが下がるようにするには、適当な三脚用ウェイトなんかを載せればいい。んだが、興味本位でスリック台というグッズを使い、アームにノートPCを載せてみた。
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三脚(雲台)の上にセットし、テーブルとして使えるスリック台
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スリック台の裏側には三脚ネジ穴(U1/4の小ネジ用穴)があり、一般の雲台に取り付けられる
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ファームスタンドにスリック台を取り付けたところ。スリック台の上に撮影時に使う小物を置いたり、あるいはノートPCを置けば、そこそこの重量になる=軽く押下するだけでアームが下がるようになる
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こうなると撮影スタンドってよりも撮影システムな感じですな。ただ、撮影直後にPCへ画像が転送されるシステムを構築している人なら、片側にノートPCを置き、片側にカメラをセットて使うのは現実的かも。
しかし、拙者のファームスタンドちゃん、やっぱり狭いスペースで使うには大柄。撮影中はその大きさが便利(拙者が体を預けてもグラつかず安心)だが、使わないときの置き場に困りがち。
それと、どうやらこのファームスタンドも、現在は生産していないっぽい。のだが、WISTAに問い合わせたらそれでも修理可能だという。また、WISTA社では現行品のスタンド実機も見られるということで、修理依頼兼各種スタンド見物ってコトでWISTAに行ってみた。
そして、見つけたんですよ、WISTA社で、冒頭のサブスタンド88を。実機を見た瞬間「これだッ!!」と思っ……たけど、こういうのってチョー高いんじゃないかニャと思って「おいくらスか?」と訊いたら(拙者のオプションの場合は)10万円くらいだったので激購入!! で、快適にカメラ位置を変えまくりの現在に至っている。
ただ、拙者の場合は仕事用機材ってコトで買っちまうわけだが、撮影用のスタンドに10万円、フツー高いっすよね。そう思う場合、中古品がわりとオススメかもしれない。
てのは、この手のスタジオ向けのスタンド、そーとーなコトがない限り壊れないであろーという頑丈な作りの製品が多いのだ。拙者におけるファームスタンドやサブスタンド88は、フツーに一生モン。スタンドの前に人間が機能停止ですな。
例えばYahoo!オークションで探していると、たまにしか出ないが、WISTAの小振りなスタンドが数万円、高くても5万円前後で出品されたりする。また、富山製作所(だったか若干自信ナシ)のスタンドもたまに出品されている。ときには1万円とかで(新品時は10万円とか20万円とかしていた)スタンドが落札されたりも。
なので、室内で小物撮りが多いけど、なーんか三脚を扱うのって面倒臭ぇなァって思ってる方は、ぜひこういった撮影用のスタンドを物色してみてほしい。使うとマジで撮影という行為がラクになる。同時に「もっと撮っちゃおう!!」というポジティブな気持ちが芽生えたりするヨ!!
■ URL
撮影用スタンド「サブスタンド88」製品情報(WISTA)
http://www.wista.co.jp/show/studio/studio3.html
2009/03/23 10:53
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