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「HT-01A」レビュー
趣味も仕事もこなせるスマートフォン

HT-01A
 NTTドコモから発売された「HT-01A」は、フルキーボードとタッチパネルを備え、OSにWindows Mobile 6.1 Professionalを搭載したHTC製のスマートフォン。iモードサービスは基本的に非対応だが、スマートフォンとしてエンターテインメントからビジネスまで幅広く活用できるモデルになっている。「HT-01A」の実機によるレビューをお届けする。


外観・デザイン

5列のフルキーボードを搭載

背面はつや消し処理でダイヤモンドカット

micorSDスロットは背面カバーの中にある
 ボディカラーはブラックのみが設定されている。液晶パネル側の外周フレームは金属素材で、ヘアライン仕上げ。キーボード側のボディはつや消し処理で、ラバーのようなサラサラとした質感が特徴的だ。同様の意匠を与えられている「HT-02A」同様、立体的な凹凸が付けられたダイヤモンドカットが施されている。

 受話口の中にあるように見える透明なパーツは光センサーで、初期設定では、周囲の明るさに応じて自動的にディスプレイの輝度が調整される。左側面には音量ボタンが配置され、本体スピーカーや警告音の変更が可能。マナーモードへの移行もここから行える。

 上部には電源ボタンを備え、短押しで電源オン、長押しで電源オフとなる。起動中に短押しするとスリープモードに移行し、同じく電源ボタンの短押し、スライドを開ける、スタイラスを引き抜く、のいずれかの動作でスリープモードが解除される。

 下部には液晶ボディ側に送話口、キーボード側のボディにUSB端子とリセットボタンを備える。USB端子はイヤホンマイク端子も兼ねたもので、イヤホンマイク専用の端子は用意されていない。充電はUSB端子から行い、miniUSB(Bタイプ)タイプの端子に対応。パッケージにはUSB端子で利用するイヤホンマイク、充電やデータ通信用のUSBケーブルに加え、FOMAの充電端子をUSB端子に変換するアダプタも付属する。

 HT-01AではmicroSDカードを利用できるが、外部にスロットは用意されていない。背面のカバーを外すとスロットが表れ、着脱が行える仕組みで、ストラップホールも同様に背面カバーを外して装着するタイプとなっている。サポートされる容量は、最大8GBのmicroSDHCカード。


上部の電源ボタン 下部は送話口、USB端子、リセットボタン

左側面の音量ボタン。端末の厚みはそれなりにある フルキーボードはキートップがドーム状にふくらんでいる

 方向キーは「ナビゲーションコントロール」と呼ばれ、上下左右の方向ボタン、中央の決定ボタンに加え、周囲をなぞることで拡大・縮小操作が可能。拡大・縮小操作は、カメラ、アルバム、Operaブラウザ、Word Mobile、Excel Mobile、Adobe Reader LEで可能。決定ボタンの周囲にはLEDも内蔵されており、点滅の間隔や場所で充電中、電池残量低下、着信中、不在着信ありなど、6種類の点滅方法が用意されている。方向キー周辺はシート状で一体型になっているが、ボタンの数が多いわけではないので、押し分けに困ることは少ないだろう。

 ディスプレイは約2.8インチ、640×480ドット、6万5536色表示のTFT液晶。スライド型でフルキーボードを引き出せるデザインを採用しており、閉じた状態ではタッチパネルと方向キー周りの基本的なキーで操作し、開いた状態ではフルキーボードを使った入力が行える。タッチパネルはいずれの場面でも利用でき、加速度センサーにより縦・横位置を自動的に認識して画面が切り替わる。タッチパネルは感圧式で、本体に収納されているスタイラスペンや指先、つめの先などでタッチ操作が行える。

 フルキーボードは、数字キーの列を独立して持つ5列タイプでキーの数は57。パソコンのキーボードに近い配列が採用されている。フレームレスタイプだが、ドーム状にわずかに膨らんだ形状で操作性に配慮されている。文字入力に使う主要なキーはアルファベットのみが印字されており、ローマ字入力が前提となっていると考えていいだろう。CAPSキーとFNキーを押すと緑色のインジケータが光るようになっており、FNキーでは記号の入力に加え、メールやインターネット、マナーモードへのショートカット機能も用意されている。

 感圧式のタッチパネルを採用したり、キー表面を一体型のパーツとしていたりすることもあり、クリアパーツが表面に一枚はられているような見え方をする。手にした印象では、背面パネルのさわり心地がサラサラと心地いい一方で、重さは約172gとズッシリとした印象。大きさは約103×52×20mmで、縦横はスマートフォンとしてもコンパクトな部類に入るが、厚みは一昔前多の折りたたみ型端末を閉じて持っている印象。ポケットにしまうのは少しためらわれるサイズになっている。


基本機能

TouchFLO 3Dによるホーム画面
 HT-01Aは、iモードサービスに対応していない。ドコモが提供するサービスでは、最大7.2MbpsのFOMAハイスピード、FOMAプラスエリア、ポケットU、WORLD WING(3G+GSM)への対応のみで、ワンセグやおサイフケータイ、iモード、iアプリ、着うたなどには非対応。テレビ電話にも対応していない。

 OSにWindows Mobile 6.1 Professionalを採用していることで、国内で一般的に販売されている携帯電話とは異なり、電話機能や電話帳、メールなどはWindows Mobileに準じた機能やユーザーインターフェースとなる。

 電話機能では、閉じた状態ではタッチパネルに表示されるテンキーでダイヤルできるほか、開いた状態ではフルキーボードでダイヤル可能。512MBの内蔵メモリが搭載されているが、アドレス帳、メールの保存件数は内蔵メモリの使用状況に依存する形だ。

 メールはSMSのほか、Eメールクライアントが搭載されており、ユーザーが利用しているプロバイダのメールなどを設定して利用できる。


決定ボタンに触れるとオートフォーカスが動作

基本的な設定メニューが用意されている
 カメラはオートフォーカス対応の320万画素カメラ。最大解像度2048×1536ドットの静止画を記録でき、フォトライトも装備。シャッターボタンは方向キー中央の決定ボタンとなっているが、同ボタンは感圧センサーを備えており、ボタンに触れるとオートフォーカスが作動し、そのまま押し込むとシャッターが切れる仕組みになっている。

 ブラウザはOperaモバイルとInternet Explorer Mobileが搭載されており、Operaモバイルは後述する「TouchFLO 3D」のインターネットで利用するブラウザに指定されている。

 日本語入力はAdvanced Wnnが採用され、予測変換機能が利用可能。閉じた状態ではタッチパネル上のバーチャルキーボードで入力でき、開いた状態ではフルキーボードで入力できる。文字入力のレスポンスは入力に対してわずかに遅れるものの、煩わしいもたつきは感じられない。

 端末にはGPS機能が搭載されており、対応アプリで利用可能。プリインストールアプリとして、「NAVITIME」が用意されている。B

 無線LANはIEEE802.11b/gがサポートされ、公衆無線LANサービスや企業内のLAN、家庭内の無線LANネットワークなどに接続可能。無線LANが設定されていると、3Gのパケット通信より優先して接続される。なお、Biz・ホーダイ ダブル、Biz・ホーダイに接続して通信を行っている場合と、ActiveSyncの通信中は、無線LAN機能は利用できない。

 Bluetoothに対応し、Ver.2.0+EDRをサポート。プロファイルはGAP、SPP、OPP、GOEP、HSP、HFP、A2DP、GAVDP、AVRCP、HID、SDAP、FTP、PAN、PBAPがサポートされる。端末をパソコン用のモデムとして利用するDUNプロファイルはサポートされない。


Operaモバイルで本誌を表示したところ 横位置での表示

テンキー表示による日本語入力画面

特徴的な機能

TouchFLO 3Dでの操作の様子

YouTube専用のインターフェースも

マカフィーのセキュリティスキャンをプリインストール
 Windows Mobile上のユーザーインターフェースは、マウスを主体にしたWindowsのUIを移植した感覚で、全般的に指先での操作には適していないと感じる。それらをうまくカバーしているのがHTCの開発した「TouchFLO 3D」だ。Windows Mobile上で動作する関係上、iPhoneのようにOSレベルで隅々まで作り込まれているわけではないが、基本機能へのアクセスと一部のデータの閲覧から、無線LANやBluetoothのオン・オフなど、日常的に使う部分は従来のWindows Mobileを感じさせないインターフェースで利用できる。タップやスライド操作などさまざまなタッチパネルを使った操作が盛り込まれており、加速度センサーによる角度の自動認識と合わせ、テキパキと各機能を利用できる。

 開いた状態では8個のアイコンが並ぶメニューが用意されている。閉じた状態のTouchFLO 3Dよりアイコンの数は少なくなっているが、開いた状態はメール作成やインターネットなど、利用シーンがある程度限られることが想定されているのかもしれない。ただ、開いた状態でもTouchFLO 3Dの「設定」メニューが用意されていると何かと便利だったのではないだろうか。

 ブラウザは、Operaモバイルが搭載されており、TouchFLO 3Dから利用するブラウザはOperaモバイルとなっている。ダブルタップで拡大表示が行え、ドラッグ操作でページを自由にスクロールできる。ブックマークはTouchFLO 3Dからすぐにアクセスできる位置にも表示されるため、毎日アクセスするようなサイトをブックマークしていくと便利だ。

 YouTube専用のインターフェースも用意されており、検索やお気に入りの保存が可能。

 「HT-01A」では、セキュリティ対策ソフトウェアとして、マカフィーの「セキュリティスキャン」がプリインストールされるのも特徴。microSDなど外部メディアのスキャン機能もサポートされている。


 兄弟モデルのように位置付けられる「HT-02A」との違いでは、HT-01Aはフルキーボードを装備し、512MBの内蔵メモリを搭載、micorSDに対応するが、ボディは20mmの厚さになっている。HT-02Aはフルキーボードを搭載せず厚さ12.4mmとスリムで、microSDカードは利用できないが、4GBの内蔵メモリを搭載している。外観上は、「HT-01A」の背面がつや消しになっているのに対し、HT-02Aは光沢のある仕上げとなっている。

 Windows Mobileを搭載することから、Office機能との連携も大きな特徴。Word、Excelの編集に加え、OutlookやExchangeとの連携ではダイレクトプッシュ機能によるプッシュメールも利用できる。


「スタート」をタップすればおなじみのスタートメニューが表れる プログラムフォルダなど旧来の場所はWindows Mobile標準のUI

位置付け

 NTTドコモのPROシリーズにラインナップされるHT-01Aは、セキュリティスキャン機能やFOMAプラスエリアへの対応など、ドコモならではの機能が付加されているものの、基本的には、ドコモが提供するサービスではなく、インターネット上のオープンコンテンツやビジネス向けシステムと連携させた利用が中心になる端末だ。OutlookやExchangeとの連携は、ASPサービスなどを利用すれば個人でも利用でき、その気になればISPやフリーのメールをプッシュで受けることも可能だ。ユーザー自身で積極的にサービスや便利な使い方を見つけ、連携させていく姿勢が求められるだろう。

 料金プランは、ドコモユーザーにとってなじみの薄いプランを選択することになる。パケット定額制サービスでは「Biz・ホーダイ ダブル」で、パケット通信料が月額1029円~5985円の定額になる。別途インターネット接続として月額315円からの「mopera U」に契約する必要がある。

 HT-01Aは、HTCが海外で販売している「Touch Pro」というモデルがベース。HTCの世界戦略モデルとして展開されていることもあり、ソフトバンクモバイルからは同じくTouch Proをベースにした「X05HT」がラインナップされている。基本的なスペックは共通だが、ドコモ版とソフトバンク版では、サイズや重さ、連続待受時間が異なる数値となっているほか、「X05HT」ではテレビ電話に対応する点、S!メール(MMS)がサポートされる点などが異なっている。

 タッチパネルを使った端末は2008年に入ってから日本でも多くの機種が登場している。操作が複雑になりがちなスマートフォンにおいて、TouchFLO 3Dで基本機能をうまくタッチ操作で利用できるようにしているのはHTCの大きな功績だろう。一方で、複雑ながら非常に深い領域までカスタマイズできるWindows Mobileの本来の持ち味がが裏側に存在しており、カジュアルとビジネスという2つの顔を持つ端末に仕上がっている。ドコモのPROシリーズのコンセプト通り、インターネットの最新サービスを駆使するユーザーに向いた端末だ。



URL
  製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/ht01a/
  製品情報(HTC)
  http://www.htc.com/jp/product.aspx?id=77024

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(太田 亮三)
2008/12/19 21:41

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