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気になるケータイ周辺グッズ
UQ回線を共有する「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」

 UQコミュニケーションズは、UQ WiMAXの回線を使う無線LANルーター「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」のモニターテストを実施している。まだ商品化すら決まっていない段階の機器だが、借り受けることができたので、その使い勝手などをレビューしよう。


モバイルWi-Fiルーター……ではない

UD01OKを装着したUG01OK
 今回モニターテストが実施される「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」は、本体ともいえる「UG01OK」とデータ通信端末「UD01OK」のセットである。ともにOKIネットワークス製だ。製品型番が似ていて紛らわしいが、ゲートウェイとなるのが「UG01OK」で、データ通信をするのが「UD01OK」である。

 UG01OKは、UQ WiMAXのインターネット接続を無線LAN・有線LANで共有させる。要するに、無線LANルーターである。ただしウィルコムの「どこでもWi-Fi」やIIJの「クティオ」など、いわゆるモバイルWi-Fiルーターとは違い、UG01OKはバッテリー駆動はできない。使用するにはコンセントが必要で、「モバイル」ではないわけだ。


UG01OKとケータイとの比較 UD01OKはUSB端子を折りたためる

 大きさは120×35×90mmで重さは150g。これにUSBタイプのデータ端末UD01OKを接続して使う。UG01OK自体は重さの割にはサイズが大きい。放熱のためのスリットがたくさん入っていて、モバイル機器というより、無線LANルータ機器などに近い。ストラップ穴ではなく、壁に取り付けるための穴がついていたりもする。

 本体下部に電源スイッチとリセットスイッチ(細いピンが必要)とWPSボタンがある。インターフェイスとしては、無線LANが内蔵されていて、あとはデータ通信端末(UD01OK)のためのUSBと有線LANがある。


USBと有線LANポートと電源端子
USBと有線LANポートと電源端子 底面には電源スイッチとリセットスイッチ。MACやデフォルトWEPパスワードまで書かれているので注意

設定ページ。状態表示で電波強度も参照可能
 本体の各種設定は、一般的な無線LANルーターなどと同じく、パソコンなどのブラウザから行う。標準では暗号化はWEPで設定されているが、WPAも利用できる。このほかにもファイアウォールやフィルタリング、ルーティングやDMZなどルーターとして必要な機能は一通りそろっている。簡単設定機能としてはWPS(Wi-Fi Protected Setup)に対応するが、初期設定でWPSは無効になっているので、使用するには設定変更が必要になる。


謎のスペース。電極があるので、小物入れとしての利用はおすすめできない
 本体にはPOWERとSTATUS、WPS、BATTERYの4つのステータス表示LEDがついている。「なぜBATTERY?」と疑問を抱くが、本体をよく見ると明らかにバッテリーを内蔵すると思われるスペースが見つかる。どうやら、ハードウェアとしてはバッテリー駆動にも対応しているようだが、パッケージにはバッテリーが同梱されておらず、今回のモニターテストではモバイル運用はテストしない、ということのようだ。

【編集部注】
 UQによれば、「現時点では販売自体も確定していない製品であり、バッテリーでの運用は想定しておらず、モニターテストにあたってバッテリーは添付していない」と説明。モバイルでの利用というニーズがあることは把握しているものの、「家庭内で使うという位置付け」で今回は試験を行っているという。


速度は設置場所によって変動

今回試用した環境でのベストポジション
 今回試用した環境は、東京・渋谷駅近辺のビル角部屋である。地理的には都心に近く、当然カバーエリア内ではあるが、UQ WiMAXの電波の入り度合いはあまりよくなかった。電波強度は「強」「中」「弱」「なし」の4段階で表示されるのだが、窓ガラスに接するような位置にUD01OKを置いても「弱」のままだった。残念ながら、UQ WiMAXの電波状況としてはイマイチな環境だ。

 無線LANでUG01OKに接続し、通信速度測定サイトで速度を測ってみたところだいたい下り2Mbps/上り300kbpsくらいだった。UQ WiMAXの理論上の最高速度は下り40Mbps/上り10Mbpsなので、かなり低いと言わざるを得ない。とくに上りの速度が低めだが原因はわからなかった。しかし、実用面でいうと、ウェブブラウジングなどならばほぼストレスを感じないレベルだ。YouTubeやニコニコ動画も、よほどの高ビットレートやHD動画でない限り、再生速度よりもダウンロードの方が速い。HD動画も、もうちょっと速ければダウンロードが間に合う、というレベルだ。

 通信速度はUG01OKをどこに設置するかによって大きく左右される。たとえば、今回の試用環境では、部屋の中央に設置すると1Mbps近くに低下するが、窓際なら2Mbps前後、それも窓の左半分に置くと2Mbps弱だが、窓の右半分に置くと2Mbps強と変化した。ただし、いずれの場合も電波強度表示は「弱」のままだ。ベストを求めて位置調整をするにしても、電波表示はアテにせず、通信速度を参考にした方がよさそうだ。

 なお、USBデータ通信端末のUD01OKをルーター部のUG01OKから取り外し、パソコンに直結して使うこともできる。しかしパソコン接続で利用しても、性能の差は見られなかった。むしろパソコン直結の場合、置き場所が机の上になるなど、UG01OKよりも制約されるので、低い速度しか計測できなかった。

 通信速度は時間帯などによっても影響は受けず安定していた。平日の午前中でも夜でも、とくに混雑による極端な速度変化は見られなかった。なお、通信遅延はだいたい120ms前後だった。


最大の問題は電波の強度

 現在のUQ WiMAXは、まだ試用サービスが開始されたばかりでエリア整備も初期段階だ。基地局数がまだ少なく、電波の死角が多いことに加え、使用する周波数帯が高いことから、特に屋内へ電波が入り込みにくくなっていると考えられる。地図上はカバーエリア内でも、屋内ではアンテナが1本しか立たない、ということもよくある。

 しかしUG01OKの場合、窓際や棚の上など、電波の入りがよい場所を選んで置きやすい。USBタイプやカードタイプのデータ通信端末をパソコンに直結する場合、電波のよい場所を求めてパソコンと一緒に窓に張り付くことになったりするが、そういった苦労はない。このことは、窓への距離や位置がスピードに影響を与えることがある現在のUQ WiMAXの電波状況を考えると、かなり有利なポイントだ。

 ただそれでも限界はある。基地局が遠い、窓の方向が悪い、目の前に大きな建物があるなどの悪条件が重なれば、カバーエリア内であっても、窓際ですらまともな速度が出ないこともあるだろう。今回の試用環境も、決して良好な環境ではなかったが、筆者がいろいろ試した限りでは、2009年4月現在のUQ WiMAXは、良好な環境がまだそれほど多くない印象だ。

 現在、UQコミュニケーションズはWiMAXのカバーエリア整備を急ピッチで進めている。すでに地図上でカバーエリア内となっているところでも基地局を増設しているようなので、電波の死角も徐々に減り、状況は改善に向かうことだろう。


WiMAXを固定環境でも使うならベストソリューション

 固定回線代わりにUQ WiMAXを使うならば、より強い電波を得る手段として、窓際に設置しやすい「UG01OK」はかなり有意義な機器だ。今後、基地局が増えて死角が減っても、UQ WiMAXは周波数的に屋内に入り込みにくいことは変わらないので、自宅で固定回線代わりに使うのならば、「UG01OK」のような機器が有効であることには変わりはない。

 通信速度は固定回線には劣るが、それでもWebブラウジング程度であればストレスなく利用できるレベルで、よほどヘビーに使わない限り固定回線の代替にもなるだろう。しかし通信遅延の面を踏まえると、アクション性の高いネットゲームを楽しみたいのであれば、固定回線をおすすめしたいところだ。

 UG01OKに似た存在として、イー・モバイルのMVNOであるIIJmioの「クティオ」がある。カバーエリアで比較すれば、UQ WiMAXはまだ使える場所がかなり少ない。一方速度で比較すると、「電波が入れば」という条件がついてしまうが、UQ WiMAXの方が速いケースも多い。いまのところユーザ数もそれほど多くなく、混雑の影響で速度が落ちないのもメリットだ。

 USBデータ通信端末のUD01OKをパソコンに差し替えて使うこともできる(現在のところWindowsのみ対応)。モバイル・固定の両方を1つの回線で済ませることも可能なわけだ。

 また、UG01OKならばMac OS XだろうがほかのOSだろうが、あるいはゲーム機やポータブルプレーヤーなどでも利用できる。多数の端末でネット接続を共有することもメリットの1つだ。単なるUSBデータ通信端末に比べると、機動性は落ちるかもしれないが、応用範囲は広い。

 しかし個人的な意見としては、UG01OKと組み合わせるのならば、モバイル性が損なわれてでも、感度の高い大型アンテナ内蔵や外部アンテナ対応の端末を用意してもよいのでは、とも思う。窓ガラスに張り付く外部アンテナとかがあれば、けっこう使えるのではないかと思うのだが、いかがなものだろうか。

 まだ商品化の決まっていない機器だが、いずれノートパソコンやモバイル機器に無線LANと同じような形でWiMAXが内蔵される可能性があり、そのような状況になっても屋内利用では、UG01OKは有効な存在である。できれば夏のサービス有料化の時期、あるいは将来的であってもユーザーの選択肢の1つとして、正式に用意して欲しいデバイスだ。



URL
  製品情報
  http://www.uqwimax.jp/service/product/UG01OK.html

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(白根 雅彦)
2009/04/15 10:58

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