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「SH-04A」レビュー
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普通のケータイの流れをくむタッチ&フルキーケータイ
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シャープ製「SH-04A」は、3.5インチ液晶ディスプレイやQWERTY配列のキーボードを搭載する横スライド型のFOMA端末だ。ドコモの「PROシリーズ」の1つで、スマートフォンのような雰囲気を漂わせながら、その使い勝手は従来の携帯電話を踏襲したもので、より幅広い層に対する使いやすさが追求されている。
■ 外観・デザイン
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閉じた状態
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斜めにカット
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目にしたときに最も印象的なのは、液晶ディスプレイのサイズ。ドコモの携帯電話では最大級となる3.5インチで、フルワイドVGA(480×854ドット)のNEWモバイルASV液晶となっている。ボディサイズもやや大振りだが、キー側ボディは面取りされていて持ちやすくなっている。スライドさせるには、あまり力は要らず、片手で開閉できる。
ボディカラーは、White、Black、Pink Goldの3色。今回レビューするBlackは、ボディのほとんどが黒く塗装され、カメラ部周辺や側面がシルバーに塗装されている。スライドしたときに出てくるキーや方向決定キー、キー周辺のパネルもあわせ、全体的に上質な仕上がり。その一方で、艶のある塗装のためか、指紋はやや目立ちやすいように感じた。
ディスプレイの左下は斜めにカットされ、キー側ボディのストラップホールが使いやすくなっているほか、デザイン的にもアクセントの1つになっている。ディスプレイ部前面にはほとんどキーはないが、唯一、ディスプレイ下に「フロントクリアボタン」が用意されている。このキーは、名称が示す通り、前面にある“クリアキー”だ。前の画面に戻ったりする場合など、携帯電話ではクリアキー(CLR)を多用するが、閉じた状態ではフロントクリアボタンを使うことになる。なお、フロントクリアボタンを長押しすると、タッチパネルやサイドキーの操作ロックをON/OFFできる。
右側面には、下からプッシュトーク/シャッターボタン、発話ボタン、終話ボタンが並ぶ。プッシュトーク/シャッターボタンを1秒以上長押しすると、ベールビューのON/OFFを切り替えられる。発話ボタンの長押しは、閉じた状態ではピクチャーライトのON/OFF、開いた状態ではマルチアシスタントが利用できる。また終話ボタンを長押しすると、本体電源をON/OFFできる。
本体下部にはイヤホンジャック一体型で、充電時にも利用する外部接続端子があり、左側面には充電端子とmicroSDカードスロットがある。上部にはワンセグ用の伸縮式アンテナがある。背面を見ると、おサイフケータイ利用時のかざす部分(FeliCaのアンテナ)がバッテリーカバー中央に用意されている。背面上部には、520万画素CMOSカメラやピクチャーライトがあり、そのすぐ脇に赤外線通信ポートが配置されている。
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左側面
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右側面
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■ QWERTYキー
SH-04Aの最大の特徴は、QWERTY配列のキーボードを装備していることだろう。シャープ製でQWERTY配列のキーを採用したモデルとしては、他キャリアではあるが、2008年3月に発売されたソフトバンクモバイルの「922SH」が存在する。またWindows Mobile搭載機などでも数多く採用されている。
それらの機種と比べると、SH-04AのQWERTYキーは比較的シンプルな構成だ。アルファベット26文字のほかは、Fn(ファンクションキー)、矢印の上(↑)、方向決定キー、スペースキー、改行キーなどが用意されているが、Windows Mobile端末や922SHなどと比べると、キーの数はずいぶん少ない。その代わり、Fnキーとの組み合わせで、「F1」「F2」といったファンクションキーや数字入力などが可能となっている。また、テンキー搭載の携帯電話と同じく、一部のキーには長押しすることで位置情報確認やBluetoothの電源ON/OFFができるなど、ショートカット機能が割り当てられている。
QWERTYキーは、1つ1つが区切られ、わずかに盛り上がった形状となっている。両手に抱えてメールなど文章を入力する際には、タイピングしやすくなっており、両手でホールドする必要はあるものの、通常の携帯メールよりも遙かに長い文章も入力できるだろう。初期設定では、いわゆるローマ字入力で、パソコンに慣れ親しんでいる人であれば、さらに便利に感じるだろう。
■ タッチパネル
もう1つの特徴がディスプレイに触れて操作できるタッチパネルという点だ。加速度センサー内蔵で、端末を傾けると縦横の表示が切り替わるようになっている(オープン時は常に横表示)。開閉どちらの状態でも、一度画面に触れるとメニューを呼び出し、使いたい機能のメニューに触れる、といった操作になる。
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縦画面での待受タッチランチャ
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横画面での待受タッチランチャ
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画面中央付近に触れると、デフォルト設定では「待受タッチランチャ」と呼ばれる専用メニューが表示される。縦・横ともにほぼ同じ内容で、9分割アイコンの中央に「TOP menu」(通常メニュー)が用意され、周囲にiモードやカメラ、ワンセグ、GPS、Googleへのリンク(フルブラウザ)、iコンシェル、iウィジェット、検索機能のアイコンが並ぶ。この「待受タッチランチャ」は、設定メニューの「表示・ランプ・省電力」→「画面設定」でON/OFFを切り替えられるようになっており、OFFにすれば、画面に触れるとすぐ通常メニューにアクセスできる。
待受タッチランチャの周辺には、メールキーや発話キー、マナーモードボタンなどがソフトウェアキーとして表示されている。
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ピクトエリアにタッチすると「クイック設定」が表われる
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時計周辺に触れるとiスケジュール用画面になり、ピクトエリア(アンテナや電池残量アイコン)周辺に触れると「クイック設定」というメニューが表示される。また待受状態でディスプレイに1秒以上触れて、長押し状態になると「クイック壁紙セッティング」という機能を呼び出せる。この機能は、待受画像を変更できるだけ、というシンプルなものだが、タッチパネルでいかに便利にするか、追求された結果の1つと言えそうだ。
タッチパネルは、スライドやマルチタッチなどに対応している。たとえば待受状態で画面の上から下と指をスライドさせると、好みの機能のショートカットを登録できるメニューが表示され、右から左へ、あるいは左から右へとスライドするとリダイヤルや着信履歴が表示される。下から上へのスライドはiウィジェットとなっている。マルチタッチ対応のため、カメラで撮影した写真を見る場合は、親指と人差し指を近づけた状態で画面に触れて、さらに触れながら親指と人差し指を離していくと写真を拡大する。また左右に指をスライドさせると次の画像へ切り替える。
長押しすると、サイドキーやタッチパネル操作をロックするフロントクリアボタンだが、閉じた状態で軽く一度押すと、ディスプレイの表示が消えて、タッチパネル操作だけをロックすることもできる。閉じた状態では、操作せずに約6秒経過すると自動的にディスプレイ表示が消えると、この場合もタッチパネル操作はできなくなる。簡易ロックとして使える機能だ。
このほか、サブメニューが表示されている場面で、サブメニューボタンを押す、という方法に加えて、画面上を斜めに指をスライドさせることでも、サブメニューを呼び出せる。
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設定メニューの「表示・ランプ・省電力」。タッチで操作しやすいサイズ
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SH-04Aのメニューデザインは、通常メニューや待受タッチランチャだけではなく、第2階層以下でも、タッチで操作できるよう、大きめのアイコンやメニューサイズになっている。メール作成も可能で、画面上のソフトウェアキーに触れて文章を作成できる。また一部コンテンツもタッチパネル操作に対応しており、プリセットのGoogleマップや地図アプリはタッチパネル用メニューアイコンが用意されている。またiモードのトップメニュー(iメニュー)もタッチパネルに適したデザインが採用されているが、メニューリストにアクセスすると、通常通りのデザインとなっており、タッチパネルでの操作は厳しい。
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タッチパネル用のiメニュー
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プリセットの地図アプリやGoogleマップはタッチパネル操作に対応
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■ 基本機能
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背面に520万画素CMOSカメラ
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520万画素CMOSカメラは、広角29mm相当の撮影が可能で、オートフォーカスや手ブレ補正、顔認識などをサポート。笑顔になるとシャッターが切れる「笑顔フォーカスシャッター」や、顔が振り向くと写真を撮る「振り向きシャッター」も利用できる。また画面上の顔にタッチしてピントをあわせて撮影する「タッチフォーカス」も利用できる。カメラ関連では、QRコードや名刺にかざすと、自動的にQRコード読取モードや名刺リーダーモードに切り替わる機能も用意されている。
セキュリティ関連では、特定のメールフォルダを隠せる「フォルダシークレット」や、iモードのブックマークなどをロックできるモードが利用できる。セキュリティモードでは、OFF時にはiモーションなどのフォルダを隠せる。また、オープン時に方向決定キーを長押しして呼び出す「ロックセレクション」という機能では、まとめてろっく・ICカードロック・サイドキーロック・まとめてロック設定という4項目を選択できる。
Bluetooth対応で、A2DP、AVRCP、HSP、HFP、OPP、DUN、SPP、HIDといったプロファイルに対応。ワイヤレスでの音楽再生やハンズフリー通話、パソコンと接続してモデムとしての通信や、他のBluetooth対応ケータイとの対戦ゲーム、ワイヤレスキーボードからの文字入力が利用できる。
日本語入力はケータイShoin 7。同時期に発表されたシャープ製のドコモ端末と同じく、TrueTypeフォントのダウンロードに対応する。検索機能も用意され、内蔵辞書やiモード・フルブラウザでの検索や、iアプリ検索にも対応する。
■ 位置付け
QWERTYキーとタッチパネルに目を惹かれるが、これらのギミックを取り入れたことで、SH-04Aは縦でも横でも使えるケータイとなっている。Windows Mobileなどに代表される、いわゆるスマートフォンではなく、従来の携帯電話を踏襲したモデルだ。そのため、メールやワンセグ、各種設定メニューは縦でも横でもきちんと使えるようになっている。
もちろん縦画面・横画面のどちらかのほうが使いやすい、という機能もある。たとえばワンセグや動画、写真、フルブラウザ、メールはいずれも横画面のほうが縦画面よりも大きなサイズで表示でき、快適に操作できる。一方、iモードサイトを見る場合は縦長画面のほうが使いやすいだろう。
最近では、ワンセグや音楽再生、高画素カメラに加え、タッチパネルといった部分が携帯電話の新しい付加機能として注目されてきた。しかし、その派手な特徴に隠れながらも、昨今のケータイのトレンドには、「携帯電話を縦・横どちらでも使えるようにする」という流れもある。その潮流には、さまざまなバリエーションが存在しており、同じシャープ製の携帯電話でも、SH-01Aは縦横どちらでもテンキーで操作するモデルであり、SH-03Aは回転2軸を利用して横画面ではタッチパネル、縦画面ではテンキーで操作する。一方、今回のSH-04Aは横画面ではQWERTYキー、縦画面ではタッチパネルとなっており、これまた新しい形式を提案するモデルだ。
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横画面でのメインメニュー
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縦画面でのメインメニュー
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テンキーとQWERTYキー、タッチパネルの有無、といった部分は大きな違いに思えるが、従来型ケータイを踏襲しているのがSH-04Aだ。初めて触る瞬間は、テンキー型ケータイの方向決定キーやソフトキー(iモード/iアプリ/メールといったキー)がないため、かなり戸惑う可能性は否定できないものの、基本的なメニュー構成に従来との違いがないことから、少しずつでも、どこをどう触れば良いか理解できるようになってくる。最初の瞬間が一番高いハードルかもしれないが、それは乗り越えられる壁であることだけは伝えておきたい。
メニューの反応速度は、なかなか快適でストレスを感じる部分はほとんどなかった。タッチパネルでも操作しやすいよう、随所に配慮が感じられる。ただ、タッチしたときに「項目選択」したのか「項目決定」したのか、そのあたりの感覚がつかみづらく、ストレスを感じるかもしれない。QWERTYキーや大画面を採用したことで長文入力に適しており、ブログやSNSをよく利用する人にはお勧めできるモデルだ。文字入力は基本的に横にして、両手で持ってQWERTYキーを使うほうが格段に便利なのだが、これでは電車内で立って使うことはちょっと難しい。このあたりを承知できれば、PROシリーズとはいえ、ガジェットを好むハイエンドユーザーだけではなく、より幅広い層にとって使いやすい機種になっている。
■ URL
製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/sh04a/
製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sh04a/
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(関口 聖)
2009/03/04 18:09
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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