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気になるケータイ周辺グッズ
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どこでも無線LANでネットにつながる「どこでもWi-Fi」
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3月5日よりウィルコムから「どこでもWi-Fi」が発売される。持ち運び型の無線LANアクセスポイントという、これまでにはあまりない、ちょっと変わった製品だ。今回はお借りした実機をもとに、その使用感などをレビューしよう。
■ どこでもWi-Fiって?
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どこでもWi-Fi
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W-SIMを装着。単三電池4本で動作し、パッケージにはeneloopが同梱される
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ニンテンドーDSと比較。底面積はどこでもWi-Fiの方が小さいが、厚みがあってずっしり重たい
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どこでもWi-Fiは、ほかにはあまりないタイプの製品だが、あえてジャンル分けするならば、「モバイルWi-Fiルーター」となるだろう。どこでもWi-Fi自身にはディスプレイも操作ボタンもなく、通話もできない。ユーザーは別の無線LANデバイスをつなぎ、どこでもWi-Fiに内蔵されるW-SIMのインターネット回線を利用する。家などで無線LANを使っている人ならば、「どこにいてもインターネットにつながる無線LAN」とイメージしてもらえればわかりやすいかも知れない。
機能面で見ると、どこでもWi-Fiには無線LANアクセスポイントとルーター、ウィルコムネットワークへのダイヤルアップ機能が内蔵されている。ちなみにメーカーは、パソコン用周辺機器などの国内大手、バッファローだ。バッファローはモバイル機器はあまり作っていないが、無線LANアクセスポイントやルーターはかなりの数を手がけている。
なお、どこでもWi-Fiに近い機能を持つデバイスとしては、Cradlepoint製の「PHS300」という製品がある。PHS300もモバイルWi-Fiルーターではあるが、それ自体にインターネット回線に接続する機能がなく、別途USBモデムを用意する必要があるため、単体でネットにつながるどこでもWi-Fiとは少し異なるだろう。
どこでもWi-Fiは単三電池×4本で駆動できる。標準では三洋電機の充電池eneloopが4本付属するが、どこでもWi-Fi自身に充電機能はなく、充電器が同梱される。
正式な駆動時間は公表されていないが、eneloopでは2~3時間程度の連続使用ができるようだ。ちょっと短いような気もするが、予備の電池も準備しやすいのでフォローはしやすい。ちなみにACアダプタによる駆動も可能なので、自宅などではバッテリーを気にせず使用できる。
重さは電池込みで約262gと、ケータイなどと比較するとわりとズッシリくるサイズだ。カバンに入れて気にならないほどコンパクトではないが、持ち運びが困難というほどのサイズでもない。ちなみに電池抜きの重さは約158g。単三電池も4本も集まれば意外とずっしりと重たく感じてしまう。
どこでもWi-Fiの販売は、W-SIMとのセットのみ。価格は頭金4800円、24回払いの割賦金と通信費用あわせて月額1980円となっている。あまり大量の通信は行われないと見込んでいるのか、非常に安価な価格設定だ。
■ ワンタッチでつながるシンプルな使い勝手
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スイッチ類はこの3つのみ
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どこでもWi-Fiの設定ページ。電池残量なども確認できる
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ポート変換など詳細な設定が可能
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どこでもWi-Fiにはメインの電源スイッチとAOSSボタン、リセットスイッチ(細いピンなどが必要)の3つのスイッチがある。逆に言うと、それ以外のスイッチ類はない。電源を入れれば自動でダイヤルアップしてインターネットに接続される。接続までは30秒ほどかかるが、操作はシンプルだ。
なお、パソコンやゲーム機などの端末をどこでもWi-Fiにつなぐには、無線LANの設定が必要だ。無線LANの設定と言うと、慣れない人には面倒に感じられるかも知れないが、実際にはいたって簡単だ。
まず、初期設定のSSID(アクセスポイントの名称)とWEP暗号キーは、電池カバーを外したところに書かれている。基本的にはそれらを端末側に設定すれば良い。標準設定だとアクセスポイント名は公開されているので、リストから選び、暗号キーを入力するだけだ。
また、無線LANの自動設定技術AOSSも利用できる。これは、アクセスポイント側と接続する端末側の両方で同時にAOSSボタンを押せば、1分ほどで自動設定が行われるというものだ。AOSSはバッファローの技術だが、最近はゲーム機などでも採用されているものも多い。
端末がどこでもWi-Fiにつながると、端末からインターネットを使えるようになる。初期設定ではDHCPで自動的にローカルアドレスが割り当てられるので、ただネットにつなぐだけならば細かい設定は不要だ。「モバイルWi-Fiルーター」なんていうマニアックな製品ジャンルではあるが、バッファローの技術を活かされ、機能も使い勝手も洗練されている印象だ。
どこでもWi-Fiのローカルアドレスをブラウザに入力すれば、固定回線用のルーター同様に、どこでもWi-Fiの詳細設定画面を呼び出せる。詳細設定画面では、ルーターやアクセスポイントに必要な詳細な設定もほぼ一通り行える。ダイヤルアップするアクセスポイントも変更が可能だ。また、設定を変更するなどして接続できなくなってしまった場合なども、リセットスイッチで初期状態に戻せる。
標準のアクセスポイントでは、有害サイトフィルタリングが適用されるということなので、適用対象となるようなサイトを使いたい人は、別途アクセスポイントを用意する必要がある。お借りした実機では、まだフィルタは適用されておらず、フィルタリングがどのようなものかを確認できなかった。
■ 通信の速度や遅延は?
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動作中はインジケーターランプが点灯
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どこでもWi-Fiには、最大204kbpsに対応するW-SIM(アルテル製RX420AL)が同梱される。現在のところ、どこでもWi-Fi単体では販売されないので、普通はこのW-SIMを使うことになるだろう。
無線LANの機能としては、IEEE802.11b/gおよびARIB STD-T66に対応。セキュリティ機能としてWEPキーのほか、WPA-PSK、WPA2-PSK、WPA/WPA2 mixed PSKなどもサポートする。
今回はせっかく実機をお借りできたので、パソコンなどをつないでネットワークのスペックを測定してみた。なお、今回のレビューで使用した機器は、発売前の段階なので、正式サービス時とは異なる可能性がある。また通信速度は時間や場所などの環境によって変わるものなので、あくまで参考として見てもらいたい。
今回はスピードテスト系のサイトで通信速度を測定してみた。時間帯などにもよるが、ダウンロード速度はほぼ100kbpsくらいで、ときどき150kbpsを超える数字も見られた。カタログスペックが最大204kbpsなので、それほど悪くはない。しかしモバイルでも「メガ」が当たり前になってしまった昨今、ちょっと寂しい速度でもある。
■ ポータブルゲーム機とは相性よし
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ニンテンドーDSのソフトの中のWi-Fi設定。AOSSが用意されるなど、どこでもWi-Fiとの相性は抜群
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どこでもWi-Fiでメリットを受けられるデバイスは、無線LANしかインターネットにつなぐ手段を持たないポータブルゲーム機やポータブルプレーヤー、具体的に言えばニンテンドーDSやPSP、iPod touchなどだ。これらの機器にとって、どこでもネット接続を手軽に使えるという点で、どこでもWi-Fiのメリットは大きい。
ゲームで使うことを考えると通信の遅延が気になるポイントだが、ポータブルゲーム機でインターネット対応しているタイトルは、もともと遅延が大きくてもプレイできるようにデザインされているものが多い。アクションゲームでない限り、それほど問題にならないかも知れない。
通信速度については、ネットゲームは意外と通信量が少ないため、ほとんど問題にはならないだろう。Webブラウザを使うときや大きなファイルをダウンロードすると、もどかしさを感じるかも知れないが、ポータブルゲーム機のネット利用に致命的なほど遅いわけではない印象だ。
ただし一方で、PSPのモンスターハンターシリーズのような、その場にいる人同士の通信、いわゆるアドホック接続対応のゲームを、インターネット経由でプレイすることはできない。どうしても、というならば、PS3を別途用意するか、あるいはパソコンと非公式ツールなどを利用する必要がある。ここは注意が必要だ。PSPのアドホック接続対応ゲームの多くは低遅延が求められるので、どちらにせよどこでもWi-Fiではツライかもしれない。
■ 低廉な料金とユニークな機能をどう活かすか
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何とどう組み合わせるかで価値が大きく変わってくる
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ゲーム機以外でも、無線LANを使うデバイスならば、なんであれたいてい、どこでもWi-Fiを利用できる。3GやWiMAXなどに比べると、通信速度こそ見劣りするが、価格の安さや無線LANによる共有など、ほかにはない利点もある。それらの利点をしっかり理解すれば、これまでとは違う便利な使い方ができそうだ。
たとえば学生ならば、部室などで何人かとネット接続を共有しつつ、LANを形成するというのも面白いかもしれない。会社やお店などで、ゲスト用のネット回線として提供するのも便利そうだ。無線LAN内蔵SDカード「Eye-Fi」や無線LAN対応ネットワークカメラと組み合わせることもできるかもしれない。また、通信速度が気にかかるものの、複数のスマートフォンなどを所有するガジェッターにもパケット通信費をまとめられる利点があるだろう。
これまでのモバイルインターネット回線のように、パソコンでバリバリ使いたいユーザーには不向きかも知れないが、逆にこれまでのモバイルインターネットでは難しかったことが、どこでもWi-Fiでは実は簡単にできてしまう、ということもありうる。無線LAN機器を使っていて不便を感じているようなら、どこでもWi-Fi導入で便利にできるかどうか、検討する価値がありそうだ。
■ URL
製品情報
http://www.willcom-inc.com/ja/lineup/ws/024bf/
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(白根 雅彦)
2009/02/24 15:18
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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