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「932SH」レビュー
フルモデルチェンジしたAQUOSケータイ最新モデル

 「932SH」は、新たなサイクロイド機構を採用したシャープ製のAQUOSケータイだ。ワンセグのダブルチューナーや、8メガCCDカメラ、最新サービスへの対応など“全部入り”と言っていいモデルに仕上がっている。今回は、そんな「932SH」の機能面を中心に紹介しよう。


新型サイクロイド機構

 「932SH」において、もっともわかりやすく新しさを感じられるポイントが新型サイクロイド機構ではないだろうか。

 従来のサイクロイド機構は、その構造上、背面パネル部にどうしても段差が生まれてしまっていた。ただ、サイクロイド機構を採用したAQUOSケータイが進化していく中で、その段差がAQUOSケータイの外観を特徴づける要素にもなっていったように思う。

 2006年、当時のボーダフォン(現在のソフトバンクモバイル)において、サイクロイド機構を採用した国内最初の携帯電話「905SH」が登場した。サイクロイド機構はその後、AQUOSケータイのブランドとともに、NTTドコモやauにも投入されていった。

 背面部の段差は当初、素材感を変え、あえて目立たせることでデザイン上のアクセントになっていた。最近では端末をよりシンプルにみせるためか、段差をボディカラーと同色同素材にして、一体感をもたせたデザインを取り入れているようだ。たとえば、ソフトバンクの「822SH」、NTTドコモの「SH-01A」などがそうだ。しかし、いずれの場合も、背面パネルに段差があることを前提に、デザインが組み立てられている印象を受ける。

 「932SH」のインタビューにおいて、シャープの商品企画担当者は「905SH」「911SH」「912SH」といったAQUOSケータイから買い換えるユーザーに驚いてもらえるよう、フルモデルチェンジと言ってもいい端末に仕上げたと語っている。機能面については後述するとして、デザイン上の新しさは「Newサイクロイド機構」にある。

 「Newサイクロイド機構」は、従来のサイクロイド機構の前提となっていた背面パネルの段差がなく、シンプルな折りたたみ端末のようなデザインが採用されている。

 基本的な構造は、従来のサイクロイド機構と変化はないものの、段差のあるパネルの上にもう1枚パネルをかぶせたような形状で、ヒンジ部に繋がる軸がカタカナの「コ」の字状のパネルに挟み込まれた格好をしている。おそらく、言葉で説明するよりも写真をご確認いただくのが手っ取り早いと思われる。店頭などの実機があれば、新しい仕掛けを確認してみよう。

 なお、画面を90度回転させるという端末の構造上、ディスプレイ側パネル側面にはどうしても隙間ができてしまう。「932SH」では、横画面へ回転させていく流れの中で、隙間が隠されていく。細部にわたって配慮を感じさせる工夫の1つで、日本メーカーらしいというか、シャープらしい“目の付けどころ”ではないか。


ディスプレイ側側面 90度回転 回転させていくと、隙間からパーツが現われる

隙間が埋められていく 横画面にすると隙間は完全に埋まる

そのほかの外観

 端末の大きさは、50×109×18mm、重さは約140g。前述の「Newサイクロイド機構」によって背面パネルがすっきりとした印象となったものの、手にした感覚は大きめの端末といった印象を受けた。機能面で非常に充実した端末となっているため、トレードオフといったところかもしれない。サイズ感は購入前に店頭で確認することをおすすめしたい。

 背面部には、時刻などが表示されるサブディプレイを搭載。48×32ドット、2行全角4文字表示の白色1色有機ELとなる。ヒンジ部にはセンタースピーカーも装備する。

 側面部には、サイドボタン、ストラップ穴、ステレオスピーカー、microSD/microSDHCカード(最大16GB)対応のメモリカードスロット、平型イヤホンマイク端子などが用意される。なお、両側面部にステレオスピーカーも搭載されている。

 バッテリーのある底面部のパネルには、8メガピクセルCCDカメラ、赤外線通信機能(IrSimple)、モバイルライトを装備。おサイフケータイを利用する場合は、こちらの底面部を読み取り機にかざすことになる。バッテリーカバーを外すと、電池パックのほかにSIMカードスロットがある。

 端末を開くと、メインディスプレイと方向キー、数字ボタンなどが現われる。メインディスプレイは、3.3インチ、854×480ドット、最大1677万色表示のNewモバイルASV液晶を採用する。ディスプレイの上部には、テレビ電話機能などで利用する31万画素CMOSカメラなどもある。

 なお、端末を開いた際に、ディスプレイ側のボディが若干重たく感じた。横画面での利用時には感じられないため、おそらく端末のバランスの問題だろう。ディスプレイ側が重たい場合、メールなどの文字入力の使用感に影響することが考えれるので、実機で確認してみるといいだろう。

 方向キー部分は、パソコンのマウスポインタのように操作できる「光TOUCH CRUISER」を採用する。フルブラウザなどのスクロールや、モバイルウィジェットの操作などにも利用できる。数字ボタンは、押下感のある「アークリッジスリムキー」が採用されている。数字キー下部には、カメラ起動ボタン、辞書ボタンなどがある。

 ボディカラーは、シャンパンゴールド、ホワイトシルバー、クリアブラック、ベリーピンクの4色展開。金色やピンク色もラインナップされてはいるが、全体的に高級感や上質感を感じさせる色味が採用されている。


ワンセグ、音楽

 3.3インチ、854×480ドットのフルワイドVGAサイズのディスプレイは、輝度を約120%向上させた「高演色バックライト」を採用する。反射を抑える「リフレクトバリアコート」や6色フィルタ、SV+エンジンなども搭載している。ディスプレイの表現力の高さは、数年前のモデルから買い換えた際に端末の進化を感じやすいのではないか。

 AVポジションを「高画質」に設定すると、通常320×240ドットのワンセグ映像を854×480ドットに拡大する「リニアエッジ」機能も利用できる。ワンセグ映像は15fpsとなるため、中間フレームを補間する技術なども取り入れられている。

 「932SH」ではさらに、ワンセグ用のチューナーが2つ搭載されている。横画面で2番組を同時に視聴したり、2番組を同時に録画したりと活用できる。2画面表示の場合、音声は一方の番組のみ再生される。決定キーで音声再生する番組の切替も可能だ。タイムシフト再生(追っかけ再生)などの機能も従来通り利用できる。

 また、字幕表示機能には、縦画面での視聴時に字幕を最大11行表示できる「字幕読むモード」を搭載する。電車やバスなどの車中でワンセグ映像の音が出せない場合など、消音状態でも映像を楽しみやすくなっている。なお、ワンセグ用のアンテナは端末に内蔵されている。

 「932SH」には、側面部左右にステレオスピーカー、ヒンジ部にセンタースピーカーを装備している。3つのスピーカーを活用して、擬似的に5.1ch環境を作るヤマハの音場技術も用意されている。設定してみると、通常のワンセグ放送がコンサートホールのような広がりのある音で再現される。映画や音楽番組などでより効果的な演出で楽しめるはずだ。

 音楽機能としては、Windows Media Playerに対応している。パソコンからダウンロードした音楽や、CDからリッピングした楽曲(WMA形式)がmicroSDカードに記録可能となっている。AACやノンセキュアAACなどもサポートされており、着うたフルや着うたも楽しめる。楽曲は前述の3つのスピーカーでも再生できるが、Bluetoothヘッドセットなどでも楽しめる。


ワンセグ全画面表示 2画面表示

縦2画面も可能 字幕読むモード

カメラ機能

 カメラ機能は、800万画素CCDカメラモジュールを搭載する。シャープは秋冬モデル以降、各キャリアに供給する端末において8メガCCDモジュールを拡充させている。「932SH」もこの例に漏れず、8メガCCDと画像処理エンジン「ProPix」を採用している。

 CCDとなるため、高感度(ISO100~2500)で低ノイズの画像が得られる。また、機械式シャッターや光量を抑えるNDフィルタを採用しているため、強い光源に光の筋が発生する、いわゆる「スミア」が軽減される。

 レンズは35mmフィルムカメラで29mm相当の広角レンズを搭載する。オートフォーカス機能には顔検出機能もあり、被写体が笑顔になった瞬間に写真が撮れる「笑顔フォーカスシャッター」や、振り向いた瞬間にシャッターが切れる「振り向きシャッター」などが利用できる。撮影サイズは、縦画面で最大8Mサイズ(2448×3264ドット)、横画面にすると最大3Mサイズ(2048×1536ドット)になる。

 また、4秒間シャッターを開放した撮影も行える。夕暮れや夜景、花火など用途は限られるが、カメラをしっかり固定してより本格的な撮影にも対応する。こうした機能はNTTドコモ向けの「SH-03A」などでも用意されていた。

 このほか、撮影画像のバックグラウンド保存や、864×480ドット、30fpsの動画なども撮影可能。ブログツールや名刺読み取り機能といった機能も利用できる。


メール関連

 文字入力関連では、従来通りシャープのLCフォントを採用する。日本語予測変換に加えて、新たに英語の予測変換などにも対応した「ケータイShoi7」が搭載された。ビジネスモードやプライベートモード、男女別といった設定が可能で、設定に合わせた変換候補が優先的に表示される。

 これまで通り逆トグルにも対応する。文字入力で「う」を入力する際、通り過ぎて「え」まで進んでしまっても、発話ボタンを押せば1つ前の「う」に戻れる。「お」まで通り過ぎた場合は、発話ボタンを2回押せばいい。文章をあやまって消去してしまった場合も、終話ボタンで1文字ずつ最大64文字まで復元が可能だ。

 メールは、S!メールやPCメールなどが利用できる。添付ファイルはこれまでの最大300KBから、「932SH」では最大1MBに拡張されている。デコレメールやデルモジ表示などもサポートされる。

 このほか、受信メールでメールボタンを押すと、内容をカレンダーに登録してひもづけられる。辞書機能「スマートリンク辞書」なども用意される。


基本機能

 「932SH」は、W-CDMA方式のほかGSM方式にも対応している。HSDPAもサポートしており、通信速度は下り最大3.6Mbpsとなる。通話関連では、聞き取りにくい高音域を強調して聞き取りやすくする「ボイスクリア機能」なども用意されている。

 フルブラウザは最大1MBのファイルが表示でき、RSSフィードも取得できる。あらかじめ設定しておけば、ブログへの投稿が手軽に行える「ブログツール」機能も利用可能。ドキュメントビューアにも対応する。

 新しいところでは、「931SH」でサポートしているバッテリーメーターを採用している。充電地残量をより%表示、残り時間表示などで確認できる。「モバイルウィジェット」も利用できる。

 シャープ製端末に搭載されているのぞき見防止機能「ベールビュー」のほか、おサイフケータイ、GPS機能なども用意されており、歩数計も利用できる。S!アプリの仕様を拡張し、3D描画を強化した「リアル3Dゲーム」の体験版などもプリセットされている。


端末ポジション

 「932SH」は、盛りだくさんな機能を搭載し、多くの機能を求めるユーザーを満足させるAQUOSケータイとなっている。機能重視で端末を選ぶなら、ぜひ手にとって使用感を確かめて欲しい端末の1つだろう。

 ソフトバンクの春モデルでは、高機能モデルとしてカシオ製のスライド式端末「EXILIMケータイ 930CA」や、パナソニック製の「VIERAケータイ 930P」などもラインナップされている。

 「932SH」の3Gハイスピードが下り3.6Mbpsであるのに対し、「930CA」と「930P」は下り7.2Mbpsに対応している。また、「930CA」は、EXILIMのブランドを採用するように、よりデジタルカメラを意識した機能が盛り込まれている。

 「932SH」は、マルチメディア系の機能が充実している。「930CA」には、ワンセグのダブルチューナー、GPS機能、モバイルウィジェット、リアル3Dゲームなどの機能は用意されていない。

 「930P」もマルチメディア機能が充実したモデルとなり、端末が縦横に開閉するヨコオープンスタイルがほかのメーカーには見られない特徴となっている。横画面で開くと、数字キーなどの各ボタンが横画面用に切り替わる「2WAYキー」を採用しており、ソフトバンクとしては初めて搭載機能となる。

 「932SH」との機能面で比較すると、「930P」はモバイルウィジェットに非対応となる。また、カメラ機能は、「932SH」の8メガピクセルCCDに対して、「930P」5.1メガピクセルCMOSとなっている。これらの機能の違いが、端末選びの参考になるだろう。

 デザインの好みやサイズ、利用スタイルなどによって、購入の決め手となるポイントは十人十色だが、「932SH」はその中でも多くのユーザーに満足いただけるのではないか。



URL
  製品情報(ソフトバンク)
  http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/932sh/
  製品情報(シャープ)
  http://www.sharp.co.jp/products/sb932sh/

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(津田 啓夢)
2009/03/06 13:38

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