auの総合音楽サービス「au LISTEN MOBILE SERVICE」、通称「LISMO」(リスモ)が対応端末「W41S」の登場により利用可能となった。LISMO対応携帯電話と、Windowsパソコン向けソフトウェアの双方がauから提供され、携帯電話の音楽プレーヤー機能や関連サービスがより手軽に使ようになった。着うたフルの利用を中心に、ユーザーの生活シーンを幅広くカバーする総合音楽サービスを目指すというLISMO。本稿では、パソコン向けソフト「au Music Port」の使い方を中心にLISMOを紹介しよう。
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「au Music Port」の画面
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まず、LISMO全体では、パソコン向けソフト「au Music Port」と、対応携帯電話に搭載される音楽プレーヤー機能「au Music Player」の2つが大きな柱となる。
Windowsパソコン向けのソフトウェア「au Music Port」では、音楽CDから着うたフル相当の楽曲ファイル(同ソフトでは「CDデータ」と呼ばれる)を作成し、携帯電話に転送できる。同ソフトでは携帯電話でダウンロードした着うたフルのバックアップや再生、管理、プレイリスト(曲目リスト)作成も行なえる。同ソフトを用いて携帯電話に転送した楽曲ファイルは、「au Music Player」で再生できるようになっている。
さらに、4月からはパソコン向け楽曲配信サービス「DUOMUSIC STORE」が開始される予定だ。詳細は明らかにされていないが、「au Music Port」には同サービスにアクセスできるメニューボタンが用意されており、ここから楽曲を購入できるようになる。
このほか、「au Music Port」は、携帯電話のスケジュールの同期や画像、メール、EZコンテンツなどのバックアップ機能も備えており、総合的な携帯電話ユーティリティソフトとしても利用可能だ。電話番号が同じであれば、機種変更の際のデータ移行ツールとして利用できる。
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カレンダーを表示。左のタブからスケジュールやアドレス帳も表示できる
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画像・ムービーのバックアップや管理が可能
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携帯電話に搭載される「au Music Player」では、着うたフルの再生やプレイリスト作成、BGM再生などの音楽プレーヤー機能が提供される。作成したプレイリストはメールに添付するなどしてLISMO対応携帯電話を持つユーザー同士で交換できる。また、コミュニティ機能として「うたとも」サービスが用意され、同じ時間に同じ曲を聴いているユーザーを見つけたり、楽曲の好みが近いユーザーを探したりといったユーザー同士のつながりをサポートする機能にも対応する。
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「au Music Player」のプレイリスト一覧画面。画面下のリストはパソコンから転送したものだ
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■ 「au Music Port」の準備
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「MUSIC LIBRARY」画面
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新しい携帯電話を接続すると、最初にユーザー設定を行なう
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まず最初に注意しておきたいのは、「au Music Port」の対応OSだ。Windows XPのみの対応となっているため、古めのパソコンを利用しているユーザーは利用できない。
「au Music Port」をセットアップする前に行なう作業としては、LISMO対応携帯電話のパッケージに付属するCD-ROMからUSBケーブル接続用のドライバソフトをパソコンにインストールする必要がある。携帯電話とパソコンの接続にはパッケージに付属のUSBケーブルか、WIN端末用USBケーブル「USBケーブルWIN」を使用する。USBクレードルが付属するW41CA、W41Tは、クレードルに装着した状態でも利用できるので、頻繁に「au Music Port」を使いたいユーザーにはこの2機種がオススメだ。
「au Music Port」をインストールして起動すると、「MUSIC LIBRARY」の画面が表示された状態でソフトが立ち上がる。ウィンドウ上部にはこのほか、「DUOGATE」「PHOTO & MOVIE」「PERSONAL DATA」「E-MAIL READER」のメニューボタンが用意されおり、音楽関連の操作はすべて「MUSIC LIBRARY」の画面で行なう。
携帯電話からバックアップされるデータと「au Music Port」の関係を説明しておくと、1つの電話番号に対してバックアップしたデータが関連づけられるようになっている。機種変更の際は「au Music Port」にバックアップしたデータを新しい携帯電話に戻すこと(リストア)ができるが、別の電話番号を持つ携帯電話を接続した場合は、別ユーザーという形でバックアップデータが管理され、違う電話番号を持つ携帯電話のデータを移動させることはできないので注意が必要だ。
「au Music Port」に取り込んだ音楽CDの楽曲ファイルに関しては、パソコン単位の管理となり、例えば「au Music Port」で電話番号の違う複数台の携帯電話のデータを管理している場合でも、機種ごとに音楽CDから楽曲ファイルを取り込む必要はない。
■ 「au Music Port」で音楽CDから楽曲を取り込む
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音楽CDから楽曲を取り込んだ。左側のカテゴリ表示エリアで「全曲」カテゴリバーを選択し、取り込んだ楽曲を表示した状態
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ソフトウェアのセットアップが終わったら、音楽CDから楽曲を取り込んでみよう。パソコンに音楽CDを入れるとグレースノートのCDDBに接続されて音楽CDのタイトルやアーティスト名が自動的に取得される。音楽CDがパソコンに挿入された状態で、画面右上の「CD読み込み」ボタンを押すと、楽曲の「au Music Port」への取り込み(リッピング)が開始される。取り込めるのは音楽CDからのみで、MP3、WMA形式といった楽曲ファイルや、他のソフトを利用して取り込まれた楽曲ファイルなどは「au Music Port」で扱うことができない。また、他のパソコンで読み込んだ音楽CDの楽曲ファイルもサポート対象外となる。
リッピングが終了すると、楽曲は「CDデータ」としてユーザーのライブラリに追加される。携帯電話でダウンロードした着うたフルを同ソフトでバックアップした場合も、同じライブラリにリスト表示されるが、「タイプ」の欄で表示されるアイコンで種類を判別できる。
リッピング時の音質に関する設定は3種類用意されている。「システム設定」の「MUSIC LIBRARY」の項目、「エンコード設定」から変更可能で、「エコノミー」「スタンダード」「高音質」(初期設定)の3種類が選択可能。19日の発表会場では、リッピング時のエンコードは着うたフルと同等と案内されていたことから、初期値の「高音質」の設定は、HE-AAC形式でビットレートが48kbpsになると思われる。ファイルサイズは約4分の曲で1.4MB程度となった。なお、リスト項目ではファイルサイズを表示できるが、ビットレート、エンコード方式の表示項目は用意されておらず、プロパティ画面などからも確認できなかった。
■ 取り込んだ楽曲をケータイに転送
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「ケータイ」カテゴリに楽曲がコピーされた状態。実際に転送は行なっていないのでグレーで表示されている
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「au Music Port」に取り込んだ楽曲ファイルを携帯電話に転送するには、2段階の手順をふむ。まず、取り込んだ曲から携帯電話に転送したい曲を選択し、「カテゴリ表示エリア」の「ケータイ」のエリアにドラッグ&ドロップでコピーする。プレイリスト作成すれば、プレイリストをドラッグ&ドロップでコピーすることで対応する楽曲が自動的に「ケータイ」側にコピーされる。
カテゴリ表示エリアの「ケータイ」の項目(カテゴリバー)をクリックして選択すると、コピーした楽曲がグレー表示になっていることが確認できる。この状態は携帯電話への転送準備ができた状態で、まだ実際に転送は行なわれていない。ウィンドウ右上に表示されている「ケータイへ転送」というボタンを押すと実際に転送が開始される。
携帯電話を「au Music Port」と接続していれば、ウィンドウ右上には「ケータイ使用状況」としてメモリの最大容量と使用量が表示される。ここに表示されるのは内蔵メモリとメモリカードを合計した数値で、例えば転送の際に特定の曲をメモリカードに転送、違う曲は内蔵メモリに転送といった、転送先の指定を行なうことはできない。転送先はメモリカードが優先的に使用される設定になっている。なお、4GBのHDDを搭載するW41Tに関しては、HDDを優先的に使用する設定。携帯電話に転送された楽曲ファイルの、メモリカード・内部メモリ間の移動は可能だが、ユーザー独自のフォルダ分けなどは行なえない。
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「ケータイへ転送」ボタンで転送を開始
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ケータイに転送された曲を再生。プレイリストの転送にも対応する
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■ パソコンで着うたフルを再生
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バックアップに関する動作は変更可能
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ダイナミックプレイリストで複雑な絞り込み表示もできる
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「au Music Port」のもう1つの機能が、楽曲データの管理だ。音楽CDから取り込んだ楽曲だけでなく、携帯電話でダウンロードした着うたフルも管理できる。初期設定では、携帯電話と「au Music Port」を接続すると、自動的に携帯電話側の着うたフルが「au Music Port」に取り込まれる(バックアップされる)ようになっている。再生回数や期間に制限のある着うたフルはバックアップの対象外となるが、通常の着うたフルであれば自動的にバックアップが行なわれ、パソコンで再生やプレイリストの作成が可能になる。ちなみに、着うたフルではない「着うた」はパソコンでの再生やプレイリスト作成の対象外となり、バックアップのみの管理となる。
バックアップや同期の際の設定は、「ツール」メニューの「システム設定」、「ケータイとの連携」の項目で同期、追加といった設定変更が可能。楽曲ファイル転送時や着うたフルのバックアップ時の設定が変更できる。
ちなみに、「au Music Port」でバックアップした着うたフルは、ユーザーが音楽CDから取り込んだ楽曲ファイルと同様にパソコン上で再生することが可能だ。ただし、この場合は必ず携帯電話と「au Music Port」を接続している必要がある。「au Music Port」では、携帯電話を接続していないとバックアップした着うたフルやその他のバックアップデータは表示されない仕組みになっており、着うたフルを再生中に「au Music Port」と携帯電話の接続を解除した場合、再生は途中で終了する。
「au Music Port」に取り込んだ楽曲やバックアップした着うたフルの数が多くなってきた場合、「ファイル」メニューから選択できるダイナミックプレイリストを利用することで、最大30曲を任意の条件で絞り込んで表示することも可能だ。
アーティスト名やジャンル、再生回数、合計ファイル容量など複数の項目で楽曲を絞り込んだリストを自動的に生成でき、例えば「ジャンル」が「R&B」で、合計ファイル容量が10,000KB(10MB)以下、といった絞り込みが可能。ユーザーのライブラリの楽曲が変更されるとダイナミックプレイリストの内容も更新される。
ダイナミックプレイリスト自体は携帯電話に転送できないが、ダイナミックプレイリストの表示結果は通常のプレイリストとして保存でき、携帯電話に転送できる。
■ ケータイを音楽プレーヤーに変える「LISMO」
総合音楽サービスとして開始された「LISMO」は、近年盛り上がりつつある“ケータイで音楽”という利用スタイルに、キャリアとして正面から取り組んだサービスだ。これまで端末メーカーごとに異なっていた音楽プレーヤー機能の使い勝手や仕様について、auがソフトとサービスを統一して提供することにより、機種間の違いを吸収してユーザーの利便性を向上させている。機種変更時だけでなく、友人と使い方について情報を交換する際などにも、同じ仕様、同じソフトを利用していればより理解が得られやすいだろう。
また、パソコン向けの「au Music Port」は、音楽管理ソフトとしてだけでなく、携帯電話ユーティリティソフトとしても十分に利用できるものに仕上がっている。インターフェイスなど細かな使い勝手は、ユーザーの意見を採り入れながらバージョンアップされることに期待したい。
さらに、LISMOでは、携帯電話では「うたとも」、パソコンでは「DUOMUSIC STORE」といった新規サービスにも注目される。「うたとも」などのコミュニティサービスは、音楽をダウンロードして聴くだけではない、音楽と共にあるライフスタイルを携帯電話ならではの手軽さで提案・サポートする試みだ。
パソコン向けの楽曲配信となる「DUOMUSIC STORE」は、「iTunes Music Store」など他社の楽曲配信サービスと少なからず競合するサービスになると予想される。これまで着うたフルは1曲315円程度で販売されてきたが、「iTunes Music Store」ではその半額程度で販売されているだけに、「DUOMUSIC STORE」で配信される楽曲の価格帯や、着うたフルの価格体系についてもどうなっていくのか、注目されるところだろう。
■ URL
au LISTEN MOBILE SERVICE 案内サイト
http://www.kddi.com/lismo/
KDDI 2006年春モデル紹介ページ
http://www.au.kddi.com/collection_win/06spring/
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(太田 亮三)
2006/01/27 12:49
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