特集:5Gでつながる未来
KDDI高橋社長、「5G/6Gに向け2030年まで2兆円投資」――2030年に向けた「KDDI Accelerate 5.0」とは
2020年10月13日 07:00
KDDIが8月に発表した「KDDI Accelerate 5.0」は未来社会に向けた同社の取り組みを示したもの。その具体的な取り組みはどういったものか、9日、高橋誠社長が同社の法人向けイベントで語った。
政府が掲げるSociety 5.0をKDDI流で実現
政府では今後、Society 5.0と題し、デジタル化を意欲的に進める方針を打ち出している。これに高橋氏は「サイバー空間とフィジカル空間(現実)でデータが循環する。データを使い、いかに現実を良くにするのか。これがSociety 5.0」と指摘する。
具体例としてビッグデータによる人流分析を挙げる高橋氏は「この期間のほうが、この場所にお客さんが多かったと分析できる」と述べる。これは、フィジカル空間で得たデータをサイバー空間で見える化し、そこから得たフィードバックを現実で活かしていく、わかりやすい一例だ。
Society 5.0に向けたKDDIの取り組みが、8月に発表された「KDDI Accelerate 5.0」だ。
その実現には「ネットワーク」「プラットフォーム」「ビジネス」という3つのレイヤーが必要だと高橋氏は指摘する。
2030年までに約2兆円投資
下支えとなるネットワークレイヤーでは、5Gネットワークの構築を挙げた高橋氏は「2020年度末に1万局まで立ち上げる。2021年度末に約5万局。2030年まで、5GおよびBeyond 5G(6G)まで約2兆円を投資する」と意欲を見せる。
その上で、「5Gを日常使いにしたい」と高橋氏。
そこで、auでは9月25日に発表した新機種群を全て5G対応モデルで揃え、「みんなの5G」(高橋氏)という位置づけにしていく。
さらに法人向けには、最適な5G環境を提供すべく、「KDDI 5Gビジネス共創アライアンス」を設立。さまざまな資産、ノウハウを持つ企業がアライアンスに参加し、いわゆるローカル5Gを含め、新たなビジネスを立ち上げられるようにする。
プラットフォームレイヤーでの取り組み
5Gネットワークの上に構築されるプラットフォームの整備では、海外企業のクラウドサービスや、日本企業とのIoTサービスの提供を進める。
具体例としてAWS Wavelengthと5G MECで、超低遅延を実現する。年内にもサービスが提供される予定。
日立製作所とは、世界で使える「IoT世界基盤」を提供している。
ビジネスレイヤーで3つの例
「大企業からスタートアップまで、オープンイノベーションで日本のDXを加速したい」と意気込む高橋氏は、虎ノ門に設置した「KDDI DIGITAL GATE」の利用企業数が400を超えたことを紹介。
事業共創として、かねてより取り組んできた「KDDI∞Labo」について高橋氏は、かつてKDDIによるスタートアップ育成プログラムだった「∞Labo」ではKDDIだけの資産では足りないと判断。そこで、ほかの大企業と連携し、スタートアップ企業とのマッチングに踏み込むことになったと振り返る。
ローソンとの取り組み
ビジネスレイヤーにおけるサイバーとフィジカルの循環例として、ローソンと協力し、位置情報や購買情報を活用。
状況やニーズにあわせて、店舗ごとの値引き情報などをユーザーへ配信するもので、「フィジカルからデータを挙げて分析し、またフィジカルに戻す。ダイナミックプライシングで、食品ロスの削減も期待している。社会的に意義がある」(高橋氏)という取り組みだ。
カインズホームとの取り組み
またカインズホームでは、レンガのようなバーコードが貼れない商品も、スマートフォンのカメラで撮ることで、画像を解析。どの商品か判別できるようにし、価格などがわかるようにした。
これにより業務の効率化、レジ待ち時間の短縮を実現する。
J POWERとドローンで設備点検の実験
電源開発(J POWER)とは、ドローンで撮影した映像をAIで分析し、風力発電設備の損傷箇所を自動点検を行えるよう実験を進める。
保守保全業務の効率が上がるだけではなく、損傷箇所の早期発見も期待できる。ひいては電力の安定供給に繋がるという。