レビュー
あえての「画面なし」が最適解か――“超軽量で1週間駆動”のトラッカー「Google Fitbit Air」先行レビュー
2026年5月26日 22:22
Googleは、最新ウェアラブルデバイス「Google Fitbit Air」を5月26日に発売した。今回、製品をいち早く試用する機会を得たので、ハード面や使い勝手を紹介する。なお、使用したのは発売前の評価機のため、製品版とはアプリ動作などが異なる可能性がある点はご了承願いたい。価格は1万6800円。
薄型軽量で軽快に装着できる
「Google Fitbit Air」の最大の特徴となるのが、ディスプレイがなく、生体情報の取得に特化したフィットネストラッカーであるという点だ。
ディスプレイ非搭載ということで、本体はスリムかつ軽量。「ペブル」と呼ばれる本体は、サイズが17×34.9×8.3mmと非常に小さく、専用バンドのアタッチメントに装着して利用する。重量はペブル本体のみで5.2g、製品付属のベルクロバンド「パフォーマンスループバンド」込みでも12gと非常に軽量。
パフォーマンスループバンドのカラーは、Obsidian、Berry、Lavender、Fogの4色。今回試用したのはLavender。
パフォーマンスループバンドは、素材としてリサイクルポリエステル繊維とスパンデックス繊維を使用。通気性が良く、実際に装着してもウレタン製バンドのように汗で貼り付いたり蒸れたりといった感覚はない。そして、薄型でとにかく軽いため、装着した場合の異物感が少ない。
Pixel Watchなどのスマートウォッチは、その重量からどうしても異物感が強く、それが原因で特に就寝時の装着をためらう人も少なくないと思う。筆者も同様で、これまでスマートウォッチでの就寝データの取得は諦めていたが、Fitbit Airなら装着したままの就寝もほぼ気にならない印象だ。
本体のペブルは、IP68準拠の防水防塵性能および5気圧防水仕様を実現。付属のパフォーマンスループバンドは、水に濡れたら乾かして装着するよう案内されているため水泳時の装着には向かないが、アクセサリーとして用意されているシリコン製「アクティブバンド」を利用すれば、ハードな運動や水泳でも問題ないとのこと。ペブル自体はバンドのアタッチメントから簡単に着脱できるので、トレーニングの内容に合わせて複数のバンドを使い分けるという場合でも、それほど面倒はなさそうだ。
センサー類は、光学式心拍数センサー、3軸加速度センサー、ジャイロスコープ、血中酸素飽和度モニタリング用の赤色光および赤外線センサー、温度センサーを搭載。これにより、心拍数、心拍変動、呼吸数、血中酸素濃度、体温変動、睡眠状態、歩数や移動距離、消費カロリーなどを記録する。
振動機能も内蔵しているが、こちらはFitbit Airのアラーム「サイレントアラーム」と「スマートアラーム」の通知や、Fitbit Airのバッテリー残量が低下した場合の通知などに利用され、電話の着信通知やアプリの通知などには対応していない。
1週間を超えるバッテリー駆動を確認
Fitbit Airでは、Pixel Watchなどのスマートウォッチと比べて比較的長期間のバッテリー駆動が可能。具体的には、公称で約1週間の連続駆動が可能とされている。
実際に、入浴時(30分ほど)以外は常に装着して1週間過ごしてみたところ、1週間経過してもまだバッテリーが20%近く残っており、8日間使用したところで残量が10%ほどとなった。使い方によって上下する可能性はあるが、ほぼ24時間連続で装着したとしても1週間は問題なくバッテリーが持つと考えられる。
筆者はスマートウォッチにPixel Watch 4を利用しているが、バッテリー駆動時間が長くて3日程度と短く、異物感がある重量であることも就寝時に装着をためらう要因となっている。それに対し、Fitbit Airならその心配がなく、安心して連続装着が可能だ。
内蔵バッテリーの充電は、付属の専用充電器を使用する。本体底面にマグネットで装着するが、装着の向きは決まっておらず、簡単に装着し充電できる。
充電時間は、0%から100%のフル充電に約90分かかる。また、5分の充電でほぼ1日分の容量を充電できる。ほぼ24時間連続で装着するという場合でも、1週間に1度、入浴などで外す時に充電すれば問題なさそうだ。
バッテリー残量はスマートフォンアプリから確認できるが、装着時にペブル部分をダブルタップすると、左側面のLEDの点滅でおおよその残量を確認できる。白で点滅すれば残量20%以上、赤で点滅すれば20%未満、赤で点灯すればほぼ0%を示す。
このほか、20%を下回ればペブルが振動して知らせてくれるが、振動がそれほど強くないのか、今回の試用中に残量が20%を切っても振動による通知には気付かなかった。
ダブルタップでバッテリー残量を確認する様子。これは残量20%以上の状態
アプリが「Google Health」にリニューアル
Fitbit Airの発売に先駆け、5月19日より従来の「Fitbit」アプリが「Google Health」アプリへとリニューアルされた。Fitbit Airは、基本的にGoogle Healthで利用することになる。
まず、起動して最初に気付くのがデザインだ。Google Healthアプリは、「今日」「フィットネス」「睡眠」「健康」の4つのタブで構成され、それらを切り替えることで生体情報やフィットネス情報などをより直感的に確認できるようになった。各タブは、アプリ下部のボタンをタップすることで切り替えられる。
「今日」タブでは、当日の睡眠やワークアウトの状況をまとめてチェックできる。また、上部にあるダッシュボードでは、歩数やエナジースコアなどがタイル表示され、簡単に確認できる。この情報タイルは自由にカスタマイズ可能なので、特にチェックしておきたい情報を登録しておくといいだろう。
「フィットネス」タブでは、ワークアウトの開始を指示したり、当日および最新の1週間のワークアウトの状況を確認したり、過去のワークアウトの状況を振り返ることができる。
「睡眠」タブでは、睡眠の状況が表示される。睡眠時間や睡眠の質、睡眠の状況をベースとした睡眠スコアを確認できる。
そして「健康」タブでは、Fitbit Airなどで取得した心拍数や心拍変動、血中酸素濃度の推移といった各種生体情報などを細かく確認できる。このほか、「ヘルスコネクト」対応の体組成計と連携して体重や体組成情報を取得したり、食事管理アプリと連携して摂取カロリー情報を取得してダイエット管理を行ったり、といったことも可能となっている。
筆者はヘルスコネクトと連携できる体組成計を利用しており、そちらの情報もGoogle Healthに問題なく取り込まれた。
ただし、医療機関と連携した受診情報の同期は米国の医療機関のみの対応となっているなど、日本で利用できない機能が存在するため、このあたりの拡充を今後進めてもらいたい。
Pixel WatchとFitbit Airなど2台同時ペアリングに対応
Google Healthアプリでは、新たにウェアラブルデバイスの2台同時ペアリングに対応した。これにより、Pixel WatchとFitbit Airの2台をペアリングして双方を使い分ける場合でも、双方が収集した生体情報を同じアカウントに同期して統合できる。
筆者は普段、Pixel Watch 4を利用しているが、バッテリー持ちの短さや重さなどから、基本的に就寝時は外して利用していた。それに対しFitbit Airは、先にも紹介したように就寝時に装着していてもほぼ気にならないため、これまで自宅でPixel Watch 4を外していた時間帯でも積極的に装着できる。
今回はFitbit Airのバッテリー持ちを検証するため、当初はFitbit Airのみを10日間ほど連続で装着し利用したが、その後数日Pixel Watch 4と併用してみたところ、双方で収集した生体情報が問題なく統合されることを確認できた。個人的にも、これまで諦めていた、ほぼ24時間途切れることのない生体情報の収集が可能になったという意味でも、大きな進化と感じる。
Geminiを活用しAIでさまざまなアドバイスが受けられる
Google Healthアプリでは、Geminiを活用したAIベースのパーソナルヘルスコーチ機能「Google Healthコーチ」が搭載されており、Fitbit Airで収集した生体情報やワークアウト情報などをベースとした健康やトレーニングのアドバイスが受けられる。
これまでの睡眠やワークアウトの状況をAIが解析し、睡眠の質を向上するにはどうすればいいか、より高い効果が得られるトレーニングの内容はどういったものか、といった提案をしてくれる。
たとえば「体重を10キロ落としたい」と聞くと、現状の体重と過去の睡眠やワークアウト内容などをベースに、効果的なトレーニング内容を提案。そして、その提案をベースに日々の目標が設定される。その後は、ワークアウトの過程もきちんと追いつつアドバイスが更新されるので、思った以上にモチベーションの維持につながる印象だ。
また、文字入力や音声入力、写真などを活用したマルチモーダル処理も可能。実際に夕食を写真に撮ってGoogle Healthコーチに送ってみると、その内容を解析して、総カロリーや栄養バランスの概算を割り出してくれた。
ただ、今回は販売開始前の先行試用だったこともあってか、Google Healthコーチの提案が英語で表示される場合が散見されるなど、アプリの完成度はまだまだこれからと感じられる部分もあった。このあたりは今後アプリのアップデートによって改善されていくだろう。
Google Healthコーチを利用するには、月額1580円または年額1万3000円の「Google Health Premiumサブスクリプション」に加入する必要がある。ただ、Fitbit AirにはGoogle Health Premiumサブスクリプションの3カ月間無料体験が付属するので、まずはそちらで試し、サブスクリプションに加入するか検討するといいだろう。
なお、Google HealthアプリやGoogle Healthコーチは、Fitbit Airだけでなく、対象となるFitbit端末やPixel Watchでも利用可能で、そのほかの端末にも順次対応を拡大する予定だ。
機能は弱いが、Pixel Watchとの併用で威力を発揮
Fitbit Airは、薄型軽量で優れた装着性を実現している反面、Pixel Watchなどのスマートウォッチや、Fitbitシリーズをはじめとしたフィットネストラッカーやスマートバンドと比べると、かなり機能が制限されている印象だ。
まず、ワークアウトのスタートや終了はFitbit Airからは行えず、スマートフォンのGoogle Healthアプリで行う必要がある。ディスプレイ非搭載のためしかたのない部分ではあるが、少々面倒だ。
また、GPSを搭載しないため、Fitbit Air単体ではウォーキングやランニング、サイクリングなどのルートを記録できない。ルートを記録するには、ペアリングしたスマートフォンを同時携帯し、アプリでワークアウトを開始・終了させる必要がある。実際に、スマートフォンを同時携帯してスマートフォンからワークアウトを開始・終了した場合には正常にルートが記録された。
スマートフォンでワークアウトを開始せずとも、ワークアウトを自動検出する機能は用意されており、ウォーキングやランニング、サイクリングなどさまざまなワークアウトが自動検出される。しかし、ワークアウトを自動検出した場合には、スマートフォンを同時携帯していてもルートは記録されない。そのため、ルートを確実に記録したい場合には、必ずスマートフォンを同時携帯し、スマートフォンからワークアウトを開始しよう。
このほかにも、ミュージックアプリの再生コントロールが行えない、NFC/FeliCa非搭載で決済が行えない、画面がないので時間を確認できない、先にも紹介した着信通知やアプリ通知が行えない、といった制限がある。
Fitbit Airは生体情報の記録に特化していることもあり、こういった点を割り切って設計されているのだろう。それでも利便性という点では少々残念に感じるのも事実で、もう少し機能が充実していても良かったように思う。
ただ、Pixel Watchと併用し、外出時やトレーニング時にはPixel Watch、自宅でゆっくり過ごしたり就寝する時にはFitbit Airというように、シーンに合わせて双方を使い分ければ、それぞれがそれぞれの欠点を補い、かなり便利に活用できるだろう。
細かいことを気にせず生体情報や睡眠情報などを取得できればいいということならFitbit Air単体でも十分期待に応えてくれると思うが、Pixel Watchをはじめとしたスマートウォッチとの併用こそがFitbit Airの最も有効な活用法であり、そういった使い方をおすすめしたい。





































