レビュー
Google Pixel Watch 4レビュー、正統進化で魅力向上のモデル
2025年10月9日 02:00
Googleは、Pixelシリーズのスマートウォッチ新モデル「Pixel Watch 4」を10月9日より販売開始した。従来モデルのPixel Watch 3同様に、41mmモデルと、一回り大きい45mmモデルがあり、双方ともWi-Fiモデルと4G/LTEモデルがラインアップされる。
今回、発売前にPixel Watch 4をいち早く試用する機会を得たので、ハード面や使い勝手を紹介する。ただし、試用機は販売開始前の評価機のため、製品版とはアプリ動作など異なる可能性がある点はご了承願いたい。
外観デザインはPixel Watch 3から大きく変わっていない
まずはじめに、Pixel Watch 4の外観からチェックしていこう。Pixel Watch 4になったからといって、外観デザインは大きく変更されておらず、基本的には従来までのデザインをほぼそのまま踏襲している。
ボディは円形で、右にリューズ、リューズの上にサイドボタンを配置。底面には、心拍数や血中酸素濃度、ストレス、睡眠状態などを計測する各種センサーを搭載。41mmモデル、45mmモデルとも外観デザインは共通で、サイズ以外の違いはほぼないと言っていい。このあたりはPixel Watch 3と同じだ。
本体の大きさは、41mmモデルが直径41mm、厚さ12.3mm。45mmモデルが直径45mm、厚さ12.3mm。これもPixel Watch 3と全く同じだ。
付属のバンドも従来と同じで、フルオロエラストマー製アクティブバンド、SサイズとLサイズの2サイズが製品に同梱される。バンドデザインや装着方法も変わっておらず、従来までのバンドや、サードパーティ製のPixel Watch用バンドもそのまま利用可能だ。なお、41mmモデルと45mmモデルのバンドはサイズが異なるため互換性がない点も同様。
本体のみの重さは、41mmモデルが31g、45mmモデルが36.7g。Pixel Watch 3では重さが小数点以下まで公表されていなかったが、おそらくこちらも従来と同じと考えていいだろう。
実測の重さは、41mmモデルは本体のみで31.4g、Sサイズのバンドとの組み合わせで55g、Lサイズのバンドとの組み合わせで57.8g。45mmモデルは本体のみで37.1g、Sサイズのバンドとの組み合わせで67.2g、Lサイズのバンドとの組み合わせで69.4gだった。
それぞれ、装着した時の印象は、大きさ、重さとも従来モデルとほぼ変わらないこともあって、全く違いがわからなかった。
カラーは、本体とバンドの組み合わせで41mmモデルが4パターン、45mmモデルが3パターン用意される。今回の試用機は、41mmモデルは本体がMatt Blackアルミケース、バンドがObsidianの組み合わせ、45mmモデルは本体がPolished Silverアルミケース、バンドがPorcelainの組み合わせだった。
充電方式が変更され、従来までの充電アダプターが利用不可に
Pixel Watch 4は、デザインはほぼ従来と同じだが、1つ大きく変わっている部分がある。それは充電方式だ。
Pixel Watch 2およびPixel Watch 3では、底面に充電端子を備え、専用の充電アダプターを底面に装着して充電を行うようになっていた。
それに対しPixel Watch 4では、本体の左側面に充電端子が用意され、製品に付属する新型の充電アダプターに本体の左側面を下向きにセットして充電を行う方式へと変更された。なお、今回も有線充電となっており、ワイヤレス充電ではない。
充電アダプターは、本体とマグネットでしっかり固定されるため、装着から充電まで安定して行える。しかも、充電アダプターへの装着はWatchの向きを問わないようで、前後どちらの向きに装着しても問題なく充電が行える。必ず正しい向きに装着しなければならないという制約もないわけだ。このあたりは従来までの充電アダプターよりも利便性に優れると感じる。
もうひとつ面白いのが、この充電アダプターは底面にもマグネットを装備しており、場所は限られるものの、充電アダプター自体もマグネットで固定できるようになっている。
充電アダプターをマグネットで固定しておけば、Watchを取り外すときでも充電アダプターを押さえることなく無造作にWatchを持ち上げるだけで取り外せるため、この点も便利だ。
しかも、充電アダプターとWatchは比較的強力にマグネットで装着されるため、充電アダプターを垂直な壁などに装着した状態でもWatchを保持できるようだ。
もちろんこれは、安定して保持できている状態とは言えず、金属製のバンドなど重いバンドを取り付けた場合にはしっかり保持できずに落下してしまう可能性もあるためお勧めはできないが、ちょっと面白い特徴と言える。
さらに、充電速度も従来より25%速くなっている。41mmモデルでは15分で50%、25分で80%、45分で100%の充電が、45mmモデルでは15分で50%、30分で80%、60分で100%の充電が可能とのことで、充電忘れで短時間しか充電できない場合でも安心だ。
最新チップセットの採用で電力効率を向上
Pixel Watch 4の主な仕様は、以下の表にまとめたとおり。2種類のサイズ展開となっているが、搭載チップセットやメモリー、内蔵ストレージをはじめ、多くの部分でほぼ同じ仕様となっている。
チップセットはQualcommのスマートウォッチ向け最新チップセットのSnapdragon W5 Gen2を採用。プロセッサーの処理能力はほとんど向上していないが、電力効率が高められており、より長時間の駆動を実現。
また、GPS精度の向上や衛星通信を利用した緊急メッセージの送受信に対応している。ただし、日本では衛星通信を利用した緊急メッセージ送受信は利用できない。そのため、電力効率の向上やGPS精度の向上などが主な強化ポイントとなる。
このほかには、このあと紹介するようにディスプレイサイズの大型化、国内での心電図アプリの利用開始、Bluetooth 6.0対応、搭載バッテリー容量の増量と駆動時間の延長などを実現している。
ディスプレイは一回り大きく、より明るくなった
ディスプレイは、41mmモデル、45mmモデルともにピクセル密度が320ppiの有機EL「Actua 360ディスプレイ」を採用。リフレッシュレートは従来同様の1~60Hzの可変リフレッシュレートに対応。
従来からの違いはサイズで、どちらも従来モデルと比べて一回り大きくなっている。具体的なディスプレイの大きさは非公表だが、スクリーンショットで確認してみると、41mmモデルは従来の408×408ドットから426×426ドットへ、45mmモデルは456×456ドットから480×480ドットへとそれぞれ解像度が増えていた。
ピクセル密度が変わっていないことから、ディスプレイはいずれも約10%大きくなったと考えていい。
実際に画面を比べてみると、Pixel Watch 4のほうが画面が大きくなり、ベゼル幅も狭くなっていることがよくわかる。Googleによると、ベゼル幅は約16%狭められているとのことだ。
そして、わずか10%ほどとはいえ、より多くの情報を表示できるようになっており、利便性は間違いなく向上したと感じる。この進化は素直に歓迎できる。
もうひとつの変更点が輝度で、双方ともピーク時の輝度が最大3000nitsへと大きく高められている。41mmモデルを利用して実際に屋外の直射日光下で確認してみたが、Pixel Watch 4のほうが明らかに明るく画面をよりはっきり確認できた。
もちろん45mmモデルもほぼ同等の違いとなっているはずで、屋外での視認性が高められている点も嬉しい進化だ。
新UI「Material 3 Expressive」採用
基本的な操作性も、従来モデルをほぼそのまま継承している。画面を上から下へスワイプすると、クイック設定パネルが表示される。また、下から上にスワイプすると、通知を確認できる。これらはリューズの操作で表示できるのも同様で、リューズを上に回転させると通知を表示、下に回転させるとクイック設定パネルを表示する。
左右へのスワイプはタイルの切り替えで、初期設定ではメインの時計表示に加えて「Fitbit エクササイズのクイック起動」、「Fitbit メインの目標」、「Fitbit 睡眠」、「Fitbit 日々の心拍数」、「連絡先」、「安全確認」、「Google デジタルアシスタント」、「カレンダー 次の予定」、「Googleマップ」、「天気予報」の10種類が設定されている。
タイルの並びや種類は、スマートフォンのWatchアプリで変更可能。全部で35種類のタイルが用意され、自由に設定可能だ。
リューズを押し込むとアプリ一覧メニューを表示する。アプリメニューは、横3列にアイコンを並べて表示するグリッド表示と、アイコンの横にアプリ名を表示して縦一列に並べて表示するリスト表示の2種類から選択できる。
そして、リューズ上のサイドボタンは、クリックすると最近使ったアプリを表示し、長押しするとGeminiが起動する。
ところで、クイック設定パネルやアプリ一覧メニューのUI、アプリのUIなどは、Pixel Watch 4より最新の「Material 3 Expressive」を採用。こちらはスマートフォンのPixel 10シリーズから採用された新UIだが、スクロールすると円形のディスプレイに合わせてメニューやアイコンが動的に拡大縮小しながら表示される。見やすさはもちろん、よりダイナミックな表示となっているため、この点でも進化したと感じる。
標準で設定されるウォッチフェイスは「モジュラー」と呼ばれるもので、従来まで「ユーティリティ」として親しまれたウォッチフェイスを進化させたような新デザインとなっている。
このほかにも「コルサ」、「リヴィール」、「探索」、「Art&Culture」など複数の新ウォッチフェイスが追加されており、新たな気分で利用できる。もちろん「アクティブ」、「アナログ」などの従来から用意されているウォッチフェイスも用意されているので、従来同様に利用したい場合でも安心だ。
決済機能は従来から変化なし
決済機能の「Googleウォレット」は、対応する決済手段が新たに追加されることもなく、従来から特に変化は見られない。
対応する決済手段は、Googleのサポートページに記載されているとおりで、Visaのタッチ決済、Mastercardのタッチ決済、電子マネーがSuica、PASMO、QUICPay、iDに対応。ただし、VisaとMastercardのタッチ決済は、対応するクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードが限られる点は従来同様だ。
決済方法も従来同様で、電子マネーのSuica、PASMO、QUICPay、iD利用時には画面部分を決済端末にそのままタッチする。VisaとMastercardのタッチ決済は、リューズをダブルクリックし、その時点でまだPINを入力していない場合にはPINを入力。画面に登録カードの券面が表示された状態で決済端末にタッチすればいい。
新機能も多数搭載
Pixel Watch 4には、新機能が多く搭載されている。まずFitbitのフィットネス関連機能では、アクティビティ検知機能が進化し、ランニングやウォーキング、自転車などのアクティビティをより正確に検出できるようになっている。
実際にウォーキングや自転車で試してみたが、検出までに数分かかるのは従来と大きく変わっていない印象だったが、なかなか正確に検出できており、これならアクテイビティを設定し忘れても大丈夫と感じる。
自転車向けには、スマートフォンでサイクルコンピューター的な情報を表示できる機能を追加。今回試した限りでは、Pixel Watch 4からうまく情報が伝わらずに正しい表示が行えなかったが、移動距離や速度、心拍数、経過時間、累積標高差などを表示できるようになっており、こちらもきちんと動作すれば便利な機能と言える。
そして、デュアル周波数GPSに対応したことで、都会などでも正確な移動軌跡を記録できるようになっている。こちらもウォーキングと自転車で試してみたが、実際に移動した経路からほとんどズレることなく軌跡が得られていた。
また、睡眠トラッキングも精度が向上しているという。従来と比べて睡眠ステージの軌跡精度が18%向上しているとのこと。こちらも試してみたが、従来と比べてどう変わったのかよくわからないのが正直なところだ。それは、自分の睡眠がどう推移しているのか、自分ではわからないからだ。とはいえ、得られた結果では、覚醒状態、レム睡眠、浅い眠り、深い眠りの推移が細かく計測できており、なかなかの精度で睡眠軌跡が計測できていると考えて良さそうだ。
このほか、心電図アプリも日本で正式に利用可能となり、心拍リズムを計測できるようになった。こちらはPixel Watch 4だけでなく、Pixel Watch 2/3でも利用可能となる。計測は、安静にした状態でPixel Watch 4を装着した腕をテーブルに起き、反対の手の指でPixel Watch4のリューズにタッチしたままにして行う。
計測には30秒ほどかかるが、手軽に心拍リズムを計測して健康管理が行えるのはありがたい。また、結果をPDF形式のデータとして出力し、医療機関に提出することが可能となっているのも、何かあったときに備えられるという意味で嬉しい。
生成AIのGeminiは、すでにPixel Watch 3でも利用できているため新機能ではない。リューズ上のサイドボタンを長押しすればGeminiが起動し、声で話しかけることでさまざまなアクションを実行できる。
ただ、Gemini関連でPixel Watch 4でのみ利用できる機能もある。それが「手をあげて話す」だ。
設定で手をあげて話すを有効にしておくことで、Pixel Watch 4を装着した腕を口元まで上げるだけでGeminiが起動し、そのまま話しかければGeminiを利用できる。いちいちサイドボタンを長押ししたり、従来のように「OK Google」と呼びかける必要なくGeminiを利用できるため、とても便利に利用できる。
ただ、残念ながら今回の試用機では、手をあげるとGeminiの起動を示す画面下部のラインは表示されるが、話しかけても一切声を認識してくれなかった。サイドボタン長押しで起動したGeminiでは、話しかけた内容をきちんと認識してアクションを実行してくれるので、Geminiが正常に動作していないわけではなかった。
おそらく試用機に何らかの問題があった可能性が高い。正常に利用できなかったのは残念だが、こちらも正常に利用できれば、かなり便利に活用できそうだ。
駆動時間は従来より長くなったが、まだまだ足りない
Pixel Watch 4では搭載バッテリー容量が増えるとともに、電力効率に優れる最新チップセットの搭載で、駆動時間は常に表示状態のディスプレイを利用して41mmモデルが最長30時間、45mmモデルが最長40時間と、従来の24時間からかなり長くなっている。
実は従来のPixel Watch 3も、何度かバージョンアップを繰り返して、発売当初と比べて駆動時間が延び、通常利用では24時間以上の利用も十分可能となっている。
今回、Pixel Watch 4の41mmモデルで簡単に駆動時間をチェックしてみた。ディスプレイは常に表示状態で、Wi-FiとBluetoothに接続。ディスプレイ輝度の自動調整はオンにし、位置情報の使用もオンに設定した状態で試した。
夜に入浴するタイミングで充電を行って100%になった状態を確認して装着し、0時頃に就寝、翌日1日外出などで活動し、夜11時過ぎに入浴前にバッテリー残量をチェックしてみると45%を示していた。23時間装着しっぱなしで利用してもまだ45%もバッテリーが残っていたのには、ちょっとびっくりした。
その後、入浴時に外したが充電は行わず、入浴後に再度装着して就寝、翌朝7時に起床し残量を見ると15%となっていた。つまり、30時間問題なく利用できた形だ。
ただ、アクティビティを活用すると、結構激しくバッテリーを消費するようだ。実際に、ウォーキングを手動で有効にして1時間ほど利用してみたところ、バッテリーを15%ほど消費した。
おそらくGPSが有効になると、比較的大きく消費電力が増えるようだ。この日は、24時間経過時にバッテリー残量が25%ほどだった。このことから、長時間アクティビティを利用する場合には、駆動時間がかなり短くなる可能性もありそうだ。
それでも、従来より駆動時間が長くなっていることは間違いなく、素直に歓迎だ。ただし、この駆動時間でもまだまだ足りないのは事実で、駆動時間はもっともっと長くなるよう、さらなる改良を進めてほしい。
正統進化で魅力が向上
ここまで見てきたようにPixel Watch 4は、見た目にはほぼ従来から変化がないものの、中身はかなり大きく進化している。今回の試用機では、一部正常に試せないものもあったが、フィットネスまわりや生成AIのGemini関連機能、ディスプレイの大型化、駆動時間の延長など、着実な進化によって、正統に魅力が向上したと言っていいだろう。
もちろん、駆動時間が延びたとは言っても、まだ満足できるレベルには遠く、この点はさらなる改善が必要だろう。
それでも、スマートウォッチとしての魅力はしっかり高められている。Pixelスマートフォンとの組み合わせでは、優れた親和性とGeminiを腕で簡単に活用できる便利さを最大限享受できるので、Pixelスマートフォンユーザーに特にお勧めしたい。
| 41mmモデル | 45mmモデル | |
| チップセット | Snapdragon W5 Gen 2 Cortex-M55 コプロセッサー | |
| メモリー | 2GB | |
| 内蔵ストレージ | 32GB eMMC | |
| OS | Wear OS 6.0 | |
| 大きさ/重さ | 41×12.3mm/31g(本体のみ) | 45×12.3mm/36.7g(本体のみ) |
| ディスプレイ | 320ppi LTPO有機EL「Actua 360ディスプレイ」、表示解像度420×426ドット (スクリーンショットで確認) 、輝度最大3000nits(ピーク時)、 最小輝度1nit(AOD)、リフレッシュレート1~60Hz、Corning Gorilla Glass 5 | 320ppi LTPO有機EL「Actua 360ディスプレイ」、表示解像度480×480ドット(スクリーンショットで確認)、輝度最大3000nits(ピーク時)、 最小輝度1nit(AOD)、リフレッシュレート1~60Hz、Corning Gorilla Glass 5 |
| 通信機能 | 4G LTEおよびUMTS(対応モデルのみ)、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax、2.4GHz/5GHz、Bluetooth 6.0、UWB(超広帯域無線)NFC/FeliCa | |
| GPS | デュアル周波数GPS、Galileo、GLONASS、Beidou、QZSS | |
| センサー | コンパス、高度計、酸素飽和度(血中酸素ウェルネス)モニタリング用の赤色光および赤外線センサー、心電図アプリに対応する多目的電気センサー、マルチパス光学式心拍数センサー、ジャイロスコープ、周囲光センサー、身体反応の計測を目的とした皮膚コンダクタンスを測定する電気センサー(cEDA)、遠赤外線皮膚温センサー、気圧計、磁力計 | |
| 耐久性、防水性 | 5気圧防水、IP68 | |
| バッテリー容量 | 325mAh | 455mAh |
| 駆動時間 | 常に表示状態のディスプレイで最長30時間、バッテリーセーバーモードで最長48時間 | 常に表示状態のディスプレイで最長40時間、バッテリーセーバーモードで最長72時間 |




















































