レビュー
Google Pixel Watch 4の心電図機能を使ってみた
2025年11月11日 00:00
グーグルのスマートウォッチ「Google Pixel Watch 4」が10月9日に発売された。従来モデルのデザインを踏襲しつつ、ディスプレイが広くなり、電池持ちが向上。AIアシスタント「Gemini」を素早く起動できることも特徴としている。
さらに、日本のユーザーにとっては、もうひとつ注目すべき機能がある。心電図(ECG)を測定できるようになったのだ。さっそく使ってみたので、使用感をレポートする。
日本でも、ようやく「心電図機能」が解禁された
Google Pixel Watch(以下、Pixel Watch)の心電図機能は、今回新たに搭載されたわけではなく、実は2年前に発売されたPixel Watch 2から搭載されていた。
しかし、日本向けモデルは家庭用医療機器としての認可を取得しておらず、心電図機能は使えないように塞がれていたわけだ。
Pixel Watch 4の発売を機に、Pixel Watch 2/3もアップデートによって心電図機能が使えるようになった。筆者が試してみると、Pixel Watch 3でもPixel Watch 4と同じように使えた。
Pixel Watch 4には「Fitbit 心電図」アプリがプリインストールされている(Pixel Watch 2/3はアップデートで追加される)。右側面のリューズ(デジタルクラウン)を押してメニュー画面を表示させて「Fitbit 心電図」を起動すると、心電図を測定できる。
なお、Fitbitには有料の「Fitbit Premium」というサービスがあるが、これに加入しなくても心電図機能を利用でき、分析の細かさにも差はない。
初めて「Fitbit 心電図」アプリを起動した際は、スマホの「Fitbit」アプリでの初期設定に導かれる。心電図の利用には、まず生年月日の入力が必要。22歳未満の利用は認められていないためだ。画面に表示される説明を読んで、「許可」をタップし、「機能をオンにする」をタップすると、機能が有効となり、測定できるようになる。
心電図は心臓の鼓動によって発生する微弱な電気信号をグラフにしたものだ。Pixel Watchでは、ウォッチの背面とリューズに電気センサー(電極)が内蔵されていて、これらのセンサーに皮膚が接触された状態で「Fitbit 心電図」アプリを開くと、心拍の電気信号が記録される仕組みだ。
なお、病院で一般的に用いられる「12誘導心電図」とは異なり、スマートウォッチの心電図は全ての心臓の状態を検知できるわけではない。
測定結果画面にも「このアプリでは、心臓発作、血栓、脳卒中、その他の心臓疾患を検知することはできません」と表示される。あくまでも補助的な検査機器として用いるべきだ。
30秒間じっとしているだけで測定できる
測定時はウォッチの着け方に注意が必要だ。手首の骨から指1本分ほど開けて、きつすぎず、ゆるすぎず、ピッタリ装着する。腕を机の上などに置いて安定させて、リューズに人差し指を軽く当てる。1~2秒ほどで測定が開始され、画面に30秒のカウントダウンが表示される。その間はじっとしておこう。
測定後、すぐに結果が表示される。筆者がこれまでに測定した結果は、いつも「洞調律」だった。これは、心拍リズムが正常で、不整脈の一種である心房細動の兆候が見られないことを示す。おそらく、多くの人は常にこの結果が表示されるだろう。
「洞調律」の他に表示されるのは「心房細動」、「判定不能(高心拍数)」、「判定不能(低心拍数)」、「判定不能」の4つ。「心房細動」は、不整脈の一種である心房細動の兆候が見られたことを示す。健康に重大な影響を及ぼす恐れがあるので、医療機関に相談したほうがいい。
心拍数が120bpm以上、または50bpm以下の場合は、心拍リズムを評価できず、「判定不能(高心拍数)」、「判定不能(低心拍数)」と表示される。
また、測定中に身体を動かしたり、不安定な姿勢で測定したりした場合も「判定不能」と表示されることがあるようだ。
なお、心電図機能は、Apple Watch(Series 4以降とUltraモデル)、HUAWEI WATCHの一部機種、GARMINのスマートウォッチの一部機種でも利用できる。筆者はApple WatchとHUAWEI WATCHで試したことがあるが、いずれも測定方法や結果表示は同じだった。
測定結果をプリントして、医師に見せることも……
Pixel Watchの画面では、心電図のグラフを見ることはできない。詳細な結果はスマホの「Fitbit」アプリで見ることができる。アプリを起動し、「自分」→「心電図」に進む。検査結果の履歴が表示され、タップすると詳細な結果を確認できる。
さらに「医療機関用のPDFをエクスポート」をタップすると、「心拍リズム評価」というレポートが生成される。30秒間の心拍のリズムを示したのだ。これをダウンロードすると、Google Pixelの場合は「Files」アプリを開いて見ることができる。「共有」をタップして、医療機関に送信したり、プリントして病院に持って行ったりすることもできる。
これらの機能も、Apple WatchやHUAWEI WATCHと変わらない。ようやくPixel Watchが追いついたと言ってもいいだろう。
心電図機能搭載ウォッチが増えた今、Pixel Watch 4の優位性は?
Androidスマホのユーザーで心電図機能を必要とする場合、スマートウォッチはPixel、HUAWEI、GARMINという3つの選択肢がある。筆者はまだGARMINの心電図機能は試していないが、GARMINのウェブサイトなどで確認したところ、機能や操作手順は同じようだ。
つまり、心電図機能に関しては、どのウォッチを選んでも変わらない。他の機能を比較して、最適な1台を選ぶ必要がある。
筆者はPixel Watch 4を使って1か月ほど経つが、他のメーカーよりも優位と感じていることを挙げておこう。
まず、複雑な設定は不要で、簡単に使いこなせることだ。Pixel Watch 4は心拍数、血中酸素濃度レベル、皮膚温を計測でき、睡眠をモニタリングしたり、ストレスをチェックしたりもできる。
それは、他社のウォッチも同じなのだが、Pixel Watch 4はそれらが完全に自動で測定される設計になっている。心拍数や血中酸素濃度を手動で測定する機能はなく、自動測定の間隔や通知の設定も見当たらない。
つまり、着けているだけでOK! 結果は「Fitbit」アプリで確認でき、異常があれば知らせてくれる。デジタル機器に苦手意識はある人には、とっつきやすいウォッチと言えるだろう。
使いたいアプリを追加できることや、キャッシュレス決済を利用できることもアドバンテージ。ちなみに、GARMINのスマートウォッチはSuicaが使える機種を選べるが、独自の「GARMIN Pay」は日本では、まだ対応する決済サービスが少ない。
さらに、Pixel Watchは、スマホと接続しない状態で、スマホと同じ電話番号で通話でき、データ通信も利用できるLTEモデルを選べることも利点だ。
機能の充実度ではPixel Watch 4に優位性がありそうだが、あえて弱点を挙げるとしたら電池持ちだ。筆者は使っている45mmモデルはディスプレイを常時表示にして最長40時間(41mmモデルは最長30時間)使える。実際、電池持ちは従来モデルより長くなったと感じている。
しかし、HUAWEIやGARMINは2週間以上持つ機種もリリースしている。電池持ちを重視する人は、HUAWEIやGARMINを選んだほうがストレスなく使えるだろう。


















