レビュー

Zenfone 12 Ultraレビュー、AIとカメラが織りなす次世代のフラッグシップスマートフォン

 ASUSのフラッグシップスマートフォン「Zenfone 12 Ultra」は、最新のハイエンドスペックを備えながら、14万9800円から購入できる、コスパに優れた1台。ASUS内には、ゲーミングシリーズのROG Phoneも販売されているが、よりシンプルなデザインや、〝普通に〟使いやすいバランス感覚が、Zenfone 12 Ultraの特徴となる。

 今回、Zenfone 12 Ultraの実機を借り受けることができたので、気になる機能や使い勝手について紹介していく。

大画面有機ELディスプレイは最大144Hzリフレッシュレートに対応

 まずは外観、ディスプレイについて。本体の大きさは高さ163.8mm×幅77.0×奥行8.9mm、重さ220gとなる。背面の左右が湾曲したデザインになっているため、握った際には手になじむようになっているが、大画面モデルならではの大きさ、重さは感じる。

 ディスプレイは6.78インチの有機ELで、解像度はフルHD+(2400×1080)となる。最大輝度は1600ニト、HBM輝度は2500ニトで、直射日光下でも、十分な明るさだと感じる。スペック上、解像度はそこまで高くないが、使っていて気になることはなかった。フラットなデザインになっており、扱いやすい印象だ。

 リフレッシュレートは、通常時1Hzから120Hzの可変式となり、1Hzでの常時表示ディスプレイにも対応する。

 また、ゲームプレイ中には、設定で最大144Hzまでリフレッシュレートを上げられる。120Hzと144Hzで、違いを体感できる人は少ないだろうが、頭一つ抜けたスペックに対応するのは、自社にゲーミングシリーズを持つASUSならではの特徴だろう。

 本体カラーはセージグリーン、エボニーブラック、サクラホワイトの3色展開。今回はサクラホワイトをお借りしている。かなり薄い色合いで、主張しすぎないかわいらしさがいい。手触りも非常にさらさらしており、指紋の付着などもほとんどない。また、購入時には本体を保護するクリアケースが同梱される。

 ボタン類は本体右側面に集約されているのに加え、底面に3.5mmイヤホンジャックを備えるのも特徴だろう。昨今はイヤホンジャックを搭載しないスマートフォンがほとんどだが、バッテリー残量を気にせずに使える有線イヤホン、ヘッドホンが好きという人も多いはず。

 使用頻度はさておき、有線イヤホンが使える選択肢を残してくれている点は、ありがたいポイントだ。ただし、背面左上にまとめられたカメラの出っ張りが気になることもある。

カメラにもAIを使った便利機能が豊富

 アウトカメラは、5000万画素メイン、1300万画素超広角、3200万画素望遠の3眼構成となる。メインカメラには、Zenfoneシリーズの特徴でもあるジンバルOISを備える。超広角カメラの視野角は120度、望遠カメラは、光学3倍ズーム、デジタルズーム最大30倍に対応する。

 メインカメラは解像感が高く、明るい写真に仕上がる。夜景撮影も、しっかりと光を取り込み、コントラストがはっきりとした写真が撮影できた。

 夜景撮影の場合、シャッタースピードがかなり長く、しばらくカメラを固定しておかないといけないのだが、シンバルOISの力か、仕上がった写真に手ブレの影響はほぼ見られなかった。

 超広角カメラは、若干暗さを感じるシーンもあるが、十分実用的な仕上がりという印象。歪みなどもほとんど見られず、基本的に不満はない。望遠カメラも、光学3倍ズームの解像感が高く、パキッとしたきれいな写真が撮影できる。30倍ズームでは、さすがに劣化も見られるが、被写体をしっかりと認識できる程度に収まっている。

超広角カメラ
光学3倍ズーム
30倍デジタルズーム

 AIを使ったユニークな機能が使えるのも、Zenfone 12 Ultraの面白いところ。「AI流し撮り」では、動く被写体にのみピントを合わせ、周囲の風景が流れるように表現することで、躍動感のある写真の撮影ができる。

 個人的に最も便利に感じているのが、「ドキュメントキャプチャー」という機能で、書類を撮影する際に、歪みを自動的に調節し、影の除去まで行ってくれる。紙の書類をPDF化したいシーンなどに、助かる機能だ。

 動画撮影では、「AIトラッキング」機能が面白い。AIが被写体を認識した後に、人やペットを指定することで、被写体が動いても画面の中央に収められるように自動追尾してくれる。

 ズームイン、ズームアウトも勝手に行ってくれるので、被写体を指定した後は、なんとなく被写体の方向にカメラを向けておくだけで、簡単にピントの合った動画が撮影できる。

AIを含むユニークな機能と日本ローカライズを両立

 近年のスマートフォンにおける、1つの大きな競争軸であるAI機能も、前モデルより充実している。音声レコーダーアプリでは、リアルタイムでの文字起こしが可能で、最大3人の話者を識別し、会話をしっかりと文字に起こせる。

 リアルタイムという名前ではあるが、Pixelシリーズのように、瞬間的に音声が文字に変換されるというより、数秒かけ、ある程度まとまった量のテキストが、一気に出力されるようなイメージだ。

 また、録音した内容を要約することも可能となる。文字の認識制度もそれなりに高く、十分実用的なレベルに仕上がっている。

 面白いのが、「AI記事の要約」という機能で、Webページを簡潔に要約してくれる。記事を書く身としては複雑な気持ちにもなるが、長い文章を読む時間がないシーンなどに、サクッと内容を把握できるのは便利だろう。

 また、要約した記事はアプリに蓄積していくことができるので、あとからまとめて、複数ページの要約文をチェックするといった使い方もできる。

 また、AI機能ではないが、Zenfoneシリーズに長らく搭載されている「片手モード」や、背面タップでのスクリーンショット撮影といった機能は引き続き搭載される。

 特にZenfone 10以前のコンパクトモデルから脱却し、大画面スマートフォンになっているZenfone 12 Ultraにとっては、これらの機能が非常に有用だ。

 バッテリーは5500mAhで、必要十分な駆動時間という印象。カメラアプリやゲームアプリをそれなりに多用した日でも、バッテリー持ちには余裕があった。充電器が同梱されていないのは少々残念だが、最大65Wの急速充電や、最大15Wのワイヤレス充電にも対応している。

 そのほか、おサイフケータイ機能やIP65/IP68の防塵防水性能にも準拠。生体認証は、画面内指紋認証と顔認証の両方が利用できる。搭載プロセッサはSnapdragon 8 Eliteで、メモリは12GBか16GB、ストレージは256GBか512GBとなる。

 また、本モデルよりeSIMに対応し、物理SIM+eSIMのデュアルSIM運用ができるようになったのもポイント。近年はサブ回線として運用しやすい料金プランも各社から提供されているので、気軽にSIMを追加できるのはありがたい。

 優秀な大画面ディスプレイと高い処理性能、カメラを含む普段使いに便利なAI機能を搭載したZenfone 12 Ultra。キャリア採用はないものの、14万9800円で購入できると考えると、お買い得感はかなり強いだろう。