石川温の「スマホ業界 Watch」

「Galaxy S25/S25 Ultra」発表、実機でさっそく「Galaxy AI」をチェックしてみた

 サムスン電子は1月22日(米国時間)、新製品発表イベント「Galaxy Unpacked」をアメリカ・カルフォルニア州サンノゼで開催。Galaxy S25シリーズを発売すると発表した。

 今回、注目は同社のAI機能である「Galaxy AI」だ。昨年発売のGalaxy S24シリーズから搭載されているが、1年が経過し、さらに進化した感がある。サンノゼの会場でいち早く体験できたので、その「実力」をお届けしたい。

 Galaxy S25シリーズのAIで特に驚かされたのがアプリ間の連携だ。

 これまでのAIスマホは、Geminiのように単体のアプリを起動して調べ物をしたり、Galaxy AIではユーザーインターフェースのなかにAIメニューがあり、そこからAIに助けてもらうという流れだった。

 今回のGalaxy S25シリーズでは、グーグルの「Gemini」にお願いするというのはこれまでと変わらないが、「調べた結果を他のアプリに渡す」ということができるようになっている。

 サンノゼの会場に並べてあったGalaxy S25 Ultraを拝借し、まず本体を日本語表示に切り替え、さらにGeminiもきちんと日本語表示になっているかを確認。

 また、本体を日本語表示設定にした際、ついでに、アドレス帳に自分の名前である「石川」とアメリカの携帯電話番号を登録しておいた。

 その後、本体横のボタンを押しつつ、Geminiに対して「近所の日本料理店を調べて、メッセージで石川さんに送って」と頼んでみた。

 すると、Geminiがきちんと反応してくれ、まずはGoogle Mapでサンノゼにある日本料理店を調べてくれた。最初、「石川さんの連絡先がありません」と拒否られてしまったが、その後、ちゃんと見つかったようで、Geminiの画面上で日本料理店のリストをメッセージで送る直前までの画面が表示された。あとは「送信」ボタンを押すと、メッセージが飛んで行き、実際に、自分のスマホにメッセージが飛んできたのだった。

 これまではGoogle Mapアプリを開き、日本料理店を探し、その一覧をコピーして、メッセージアプリを開き、新規作成を選び、本文にペーストして、宛先を探して入力するという行程が発生していた。

 これを一発の音声で、シームレスに実現してしまうのは、かなり便利だし、スマートフォンにおけるユーザーインターフェイスを大きく変えるような気がしている。

 今後、こうした操作体系があらゆるところで、実現できれば、スマホはもっと便利で生活に欠かせないツールにさらになることだろう。

 ただ、勢いよくGalaxy S25 Ultraに「YouTubeの動画を要約して」と頼んでみたものの、滑舌が悪かったようで、「動画を予約して」と聞き取られてしまい、なぜかカメラアプリが起動してしまうなんてもこともあったりもした。

 いまのところ、Galaxy S25シリーズでアプリ連携に対応するのはGoogleアプリとサムスン電子が提供するメッセージやノート、カレンダー、SpotifiyとWhatsAppのみとなっているが、これは今後、拡大していくものと見られている。

 「Galaxy AIでは何ができるのか」を考えながら、スマホに話しかける必要があるため、AIが人に寄り添うというよりも、今のところは人がAIに寄り添って、なんとか機能を使いこなしている感が出てしまっている。

 とはいえ、サンノゼの会場では、例えば、冷蔵庫の中を写真に撮り、「これで作れる料理のレシピを教えて」と問いかければ、具体的なレシピを押してくれたりもした。

 また、フランス語のメニューを読み取り、英語で何がおすすめかを教えてくれ、さらにフランス語でオーダーするといったこともデモされていた。

 これまではカメラアプリを起動して、撮影して、問い合わせとか、翻訳アプリを起動して読み取るなど、用途に応じて、別々のアプリを起動していたが、これからは、とりあえずAIに聞いてみるという使い方が主流になってきそうだ。

Galaxyが先行する「つかいやすいAI」

 ちなみにGalaxy AIといっても、実際はグーグルのGeminiに問い合わせるカタチとなっている。

 現在のところ、グーグルのPixelなどで提供されているGeminiでは、こうしたアプリ間の連携には対応していない。あくまで、サムスン電子によるカスタマイズが効いているようだ。

 実際、本体の側面ボタンを押しつつ、Geminiを起動。Google Mapアプリで検索した情報をメッセージアプリに渡すといった処理に関してはサムスン電子がグーグルや他社に先駆けて実装したようだ。

 かつて「かこって検索」もグーグルの検索がベースでありながら、サムスン電子のGalaxyがいち早く実装し、その後、他社にも解放されたということがあった。

 今回もまさにサムスン電子が先駆けて搭載したということのようだ。

 サムスン電子の場合、Androidベースではあるが、同社独自の「One UI」となっているため、こうした独自の実装が可能なのだろう。ほかにもAndroidメーカーは数多いが、同じAndroidでもあっても、Galaxyにユーザーインターフェイスで追いつくには、若干の時間が必要なのかもしれない。

GalaxyをリードするサムスンのTMロー氏(中央)と、クアルコムでSnapdragonをリードするアレックス・カトゥージアン氏(左)、スマホ担当のクリストファー・パトリック氏(右)
石川 温

スマホ/ケータイジャーナリスト。月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。