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eSIM対応や多彩なモードが魅力、富士ソフトの5G対応モバイルルーター「+F FS050W」を試す

富士ソフト「+F FS050W」

 5Gの普及が本格化しモバイルルーターも5G化が進んでいるなか、多用途ぶりで一部で人気の富士ソフトのモバイルルーターからも、5G対応版「+F FS050W」が登場した。もちろん4キャリア対応でeSIMにも対応。さらに据え置きや自動車車載用のモードもあって多彩に活用できそうなモデルだ。

eSIMと国内4キャリアに対応する多機能ルーター

 「+F FS050W」はキャリア以外から登場するモバイルルーターということで、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルの国内4キャリアのネットワークに対応している。具体的には5Gではn1、n3、n28、n77、n78、n79、4Gはバンド1、3、8、18、19、26、28、39、41、42と国内で4キャリアの主要周波数をカバーしている。

各社5Gに対応する

 さらに、eSIMにも対応している。特にeSIMはこれまで国内モバイルルーターでは初。物理SIMとeSIMを切り替えて利用することで、デュアルSIM運用ができる。

eSIMにも対応。利用したIIJmioのデータ専用のeSIMは5Gに非対応のため4G表示となる

 また、本体の機能も多機能だ。4000mAhのリチウムイオンポリマーのバッテリーは本体の裏蓋を開けて交換できる。バッテリーが劣化したらユーザーの手で交換用バッテリーに取り替えられるほか、長時間運用の際にはバッテリーを複数個用意すれば、取り換えながら稼働時間を伸ばすこともできる。

 電源アダプターがあればバッテリーなしでも使えるため、据え置き時や車載時にはバッテリーを抜いて利用できる。また、車載時には電源を繋いでオン、外してオフということもできるため、クルマのキー連動でオンとオフを自動で切り替えることも可能だ。

 本体からパソコンやスマートフォンなどとの接続は、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応、最大通信速度は1201Mbpsとモバイルルーターから先のクライアント側の接続速度を高めることで、5Gで高速通信をするメリットを活かすことができる。

バッテリーは裏蓋を外して着脱する
バッテリー容量は4000mAh
バッテリーなしの運用も可能。ちなみに裏蓋を開いたところにストラップの取付フックがある
バッテリーなしの場合は電池残量表示が赤い枠になる

eSIMの読み込みはスマートフォンのアプリから

 eSIMを使う方法だが、QRコードを読み込むカメラも長いコードを入力できるインターフェイスもない「+F FS050W」でどのようにeSIMを読み込むかといえば、接続したスマートフォンアプリから行う。

設定アプリ「+F SmartApp」。Wi-Fi接続したスマートフォンから利用する
トップ画面から操作もできるが、詳細機能は設定アプリの設定項目から行う

 やり方は、まずスマートフォンにアプリ「+F SmartApp」をインストールする。スマートフォンと「+F FS050W」を接続した状態でアプリを立ち上げ、アプリからeSIMとして通信事業者から出されたQRを読み込む。QRコードを読み込むところはスマートフォンにeSIMを適用する場合と同じような操作となる。

 なお、発売間もない時期もあって、eSIMの利用時の動作に不安定なところがあるほか、eSIMの手続きがしやすい楽天モバイルや、ドコモと契約するプランが動作確認キャリアにないなど、eSIMの利用を目当てに「+F FS050W」を考えているなら、十分に利用実績が確認できてから利用をおすすめしたい。eSIMの場合、eSIMの再発行手続きごとにお金がかかるキャリアもあり、使えない上に無駄な出費を重なることは避けたいからだ。

 今回、筆者は動作確認のあるIIJmioのギガプランのデータ専用のeSIMで使ってみたが、動作確認のない楽天モバイルでは何度かやってもeSIMの登録はできなかった。

【編集部による追記 2023/03/02 23:35】
 富士ソフトは2月28日から新たなファームウェアの提供を開始し、楽天モバイルのeSIMに対応しました。

eSIMはカメラでQRコードを読んで登録。コードで手動登録も可能
eSIMの登録が完了。対応していない楽天モバイルの場合はQRコードは読み込むがこの画面まで進まなかった
IIJmioのプランの場合は、APN設定などは手動でする必要がある
eSIMを追加後はアプリのトップ画面にも2つのSIMが登場する

 また、モバイルルーターなので着信を待つ必要もないため、2つのSIMは切り替えて使うことになる。手動切替なら予備のSIMを持っていればデュアルSIMの必要もないと考えるかもしれない。実際にSIMを頻繁に取り替えて試用をする筆者からすれば、nanoSIMの差し替えは紛失リスクが高く、外したSIMや予備のSIMを持ち運ぶのにも気を使うので、2枚とも本体に収まってくれることはありがたい。

 そして、物理的な差し替えをしないでSIMを切り替えられる利点もある。接続しているパソコンやスマートフォンアプリや、接続しているパソコンのWebブラウザから設定画面を表示させれば、2枚のSIMの切り替えは「+F FS050W」本体に指一本触れずにすることもできる。

SIMの切り替えは本体ディスプレイと操作ボタンでもできるが、アプリなどから切り替えられる

便利なカー・モードは車載しない人にも有効

 「+F FS050W」にはカー・モードというものがついている。モバイルルーターをクルマに持ち込むだけなのに、なぜ別モードがあるかといえば、クルマのなかで使うためにやっておきたい設定をまとめてやってくれるからだ。

 カー・モードの肝となるのが、クルマのキーに連動してオン・オフさせられること。要はクルマのDCソケットから電源をとって「+F FS050W」を使う場合、エンジンをかければ「+F FS050W」がオンになり、エンジンを切ってオフポジションにすれば「+F FS050W」の電源も落とすということができる。

カー・モードを設定する
アプリからもモード変更は可能

 この機能はほかにも応用がきく。たとえば、ルーターを必要に応じて、オン・オフさせる場合、このモードにしておき、バッテリーを抜いておく。すると、電源アダプターをコンセントから抜き差しすれば、ルーターの電源オン・オフが簡単にできる。

 家で据え置きルーターとして使う場合や、遠隔地に置いたIoT機器とそのシステムの入り口として「+F FS050W」を使った場合などで、誰かに再起動を頼んだり、電源のタイマーで稼働時間を制御したりするにも便利そうだ。

 また、カー・モードにしなくても電源設定から「起動設定」を「有効」にしておき、バッテリーを外しておけば電源の接続次第で本体をオン・オフできる。

 ちなみにカー・モードだとWi-Fi側の5GHz帯(W53またはW56)が有効になる。5GHz帯は屋外で利用できなかったり、一定時間の混信確認の時間があったりするため少々不便。確かにルーターと接続子機間の通信は速くなるが、現在のLTEの実効速度や利用シーンから、無理に5GHz帯を使う必要性はあまり感じられない。車載モードでも2.4GHz帯はすぐに使える状態になるので困ることはないが、必要がなければ5GHz帯をオフにしてもよさそうだ。

電源を接続した場合に起動するようにするには「起動設定」を「有効」にする
カー・モード時は本体ディスプレイ上部にクルマのアイコンが表示

買ったらすぐ街に連れ出して、すぐ使える

 実際に使い始めるには、キャリアに依存しない製品のため、設定が難しいと思ってしまうかもしれないが、SIMは自動設定の範囲が広く、SIMを挿入して電源を入れればすぐに通信を開始する。

「+F FS050W」を街に持ち出して使ってみた

 手元にあったドコモ、au、UQ mobile、ワイモバイル、楽天モバイルとMVNOのIIJmioは挿すだけで動作した。IIJmioについては物理SIMでは自動で設定されたが、eSIMでは手動でAPN設定の項目を埋めていく必要があった。

 そして、子機端末との接続について、スマートフォンなどQRコードを読める機器であれば、本体ディスプレイにQRコードを表示させてカメラなどで読み込めるので簡単だ。

 手動で設定する場合は、本体の操作でディスプレイにSSIDと暗号化キーを表示させられる。ただし、ほかのルーターと違って表示させるためメニュー項目がわかりにくい。セキュリティの観点から歓迎すべきことでもあるので、あらかじめ説明書などで確認しておくことをおすすめしたい。

 また、「+F FS050W」の本体は120×74×19mmとこれまでの富士ソフトのLTEタイプのモデルに比べて縦に大きく、重さも約198gと重くなっている。バッテリー容量の増大もあり、持ち運び性能という面では多少マイナスだが、他社の5G対応モバイルルーターも大型化していることを考えれば、こちらも大型化は仕方のないことかもしれない。

本体は120×74×19mmで重さは約198g
右側面にはロックボタン
左側面には本体操作ボタンがある。この2つのボタンで各種設定をする
USB Type-Cポートがあり、ここから充電する。USB PDにも対応
背面には「FUJISOFT」と記載。裏蓋は写真手間の切り欠きに爪を引っ掛けてはがす

 なお、アプリからは設置場所アシストという機能もある。電波の強度を時間経過でグラフで表示するもので、「+F FS050W」の置き場所を探るために便利。据え置き以外にも、モバイル時に電波が弱いときなど、置き場所を探るときにも有効だ。

設置場所アシスト。画面下のグラフはリアルタイムに電波強度の変化がグラフになっていくので、移動させて強かった場所がわかりやすい
データ通信履歴もグラフで表示できる
「+F FS050W」を外で使ってみた

多機能だが、まだ安定していない可能性もある

 今回、試用した「+F FS050W」は発売まもない時期でもあり、内蔵ソフトウェアのバージョンは「FS050W_V1.0.4」と、まだ初期の段階と思われる。実際、試用している途中でも、接続が不安定になったり、突然動作が停止したりして、電池を抜いてリセットしないと復旧しないということもあった。

今回試用したバージョンは「FS050W_V1.0.4」

 eSIMの登録も、当初はGoogle Pixel 7にアプリで登録しようとしたものの、eSIM登録の最初にモバイルでの通信を切断してしまうことから、Google Pixelではネットの接続が切れたと認識、アプリが続行不可能になってしまった。iPhoneから登録したところうまくいったのでAndroid版のアプリではまだ動作不良が潜んでいる可能性もある。

 そもそもとして現時点では楽天モバイルやドコモと契約のeSIMが動作確認サービスに入ってないことからも、まだまだ対応はこれからといった印象も受ける。

5GとeSIMに対応の多機能モバイルルーターは現時点ではこれひとつ

 一部不具合もあるものの、現時点ではeSIMの対応など唯一無二の存在でもある「+F FS050W」。前作「+F FS040W」では有線LANポートのある専用ホームキットや、車載用のホルダーなどが用意されていたことから、今後は専用アクセサリーの充実など、まだまだ進化が楽しみな1台でもある。

 ただし、「+F FS050W」が必要なものならば今すぐに導入してもよいと思うが、eSIMの利用をメインに考えている場合や、より高いレベルの安定動作を必要とするなら、もうしばらく様子見とすることも検討したほうがいいだろう。

 ソフトウェア的な不具合ならばアップデートで解消することもあり、「+F FS050W」はしばらくしたあと、機能面でも安定動作の面でも優れた1台になっていることを期待したい。

「+F FS050W」にはまだ専用アクセサリーはなく、本体付属品として両端がType-CのUSBケーブルが付属する
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