レビュー

Google渾身のフラッグシップ「Pixel 7/7 Pro」、実機の仕上がりをじっくりチェック

「Pixel 7」(左)と「Pixel 7 Pro」(右)

 Googleよりスマートフォンの最新モデル「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」が発表され、10月13日より発売が開始された。

 そこで今回は、Googleから貸し出されたテスト用の評価機を使って、あらためて、この2モデルをチェックしていこう。

Pixel 7 Pro

 まずは「Pixel 7 Pro」から。

 プロセッサーはGoogle独自の「Google Tensor G2」を搭載しており、メモリーは12GB、内蔵ストレージは128GBもしくは256GB、512GB(Google直販モデル)となっている。

 Pixelシリーズは「Pixel 5」の世代から、ハイエンドのプロセッサーを搭載せず、コストパフォーマンスに優れたミッドハイ(Pixel 5ではSnapdragon 765G)を採用する。

 前モデルの「Pixel 6シリーズ」から、Google独自の「Tensor」となっているが、そのあたりは変わっておらず、CPU性能としては、クアルコムの「Snapdragon」で言えば、700番台と同じレベル。今回の「Tensor G2」も同様と推測される。

「Google Tensor G2」を搭載した「Pixel 7 Pro」

 ただし動作などがハイエンドのプロセッサーと比較して緩慢というわけではなく、画面のスクロールやアプリの切り替えなどは滑らかで、フラッグシップとしては申し分ない。

 また「Tensor」では、CPUだけでなく、AI処理能力やセキュリティー機能などを強化しているため、カメラ機能や画像編集といった性能も上がっている。

操作自体は滑らかに反応する

 本体サイズは162.9×76.6×8.9mmで、重さは212g。ディスプレイは、6.7インチのLTPO OLEDディスプレイ(QHD+、1440×3120、512ppi)を搭載している。またリフレッシュレートは最大120Hzをサポートしている。

ディスプレイは6.7インチ

 最大輝度は1000ニト(HDR)、1500ニト(ピーク輝度)で、明るい屋外でもかなり観やすい印象。さらに輝度の自動調整にもAI機能が活用されており、一定期間手動で設定して学習させる(1日以上)と、以降はユーザーの好みにあわせた明るさ調整をしてくれる。

ディスプレイの輝度調整にもAI機能が投入されているとのこと
指紋認証はディスプレイ埋め込み型で、反応は前モデルと体感で差はない

 ディスプレイ面の両サイドは丸みを帯びたデザインとなっているが、いわゆる「カーブドディスプレイ」といえるほど両サイドまで表示部分が広がっているわけではないので、コンテンツなどは観やすい印象で、グリップした際にも握りやすい。

ディスプレイの両サイドは角を落としたデザイン
本体背面

 本体デザインは前モデルの「Pixel 6シリーズ」を踏襲しており、背面は上部にカメラが横一列に並び、帯状に突出しているエリアが特徴的。

 この帯状の部分は今回メタリックな仕上げになっているので、高級感がある。ちなみに突出部分は実測で約11mmだったので、本体よりも2.1mmほど厚くなっている。

本体右側面
本体左側面
本体上部
本体下部
カメラの突出部分
カメラ部分は実測で約11mm

 本体右側面には、電源ボタンと音量ボタンを配置。ただし、一般的なAndroidスマートフォンとは逆で、電源ボタンが上、音量ボタンが下というレイアウトとなっている。

 また左側面にはピンで押し出すタイプのSIMトレーを装備。nanoSIMが1枚セットでき、microSDには非対応だ。

SIMトレーはnanoSIMサイズ

 本体下部にはUSB Type-C(USB-C)端子を装備。USBの規格は、「USB 3.2 Gen2」対応なので、高速のデータ転送などが期待できる。

 イヤホンジャックは装備しておらず、本体上部にはボタンやポート類はない。トレーのような窓が見えるが、これはミリ波用のアンテナ部分となっている。

 バッテリーは約5000mAhで、Type-C端子からの充電は最大23Wに対応している。またワイヤレス充電にも対応しておりワイヤレス充電器「Google Pixel Stand(第2世代)」を利用すると最大23Wでの充電が可能なため、ケーブルでもワイヤレスでもほぼ同じ充電速度だ。

ワイヤレス充電でも23Wに対応

 ちなみにテストとして、フル充電からWi-Fi接続・最大輝度でYouTubeの4K動画を7時間視聴し続けたところ、バッテリー残量は32%だった。

Pixel 7 Proのカメラ

 カメラは背面が5000万画素の広角カメラ(F値1.85)、1200万画素のウルトラワイドカメラ(F値2.2、画角125.8度)、4800万画素の望遠カメラ(F値3.5)のトリプル仕様。

 望遠はペリスコープ機構を採用しており、光学で5倍、「超解像ズーム」で最大30倍での撮影が可能。ここまで倍率が高いと、どこを撮影しているかわからなくなることもあるが、15倍あたりから小窓でどのあたりをフレーミングしているかガイドが表示されるので便利。

カメラはトリプル仕様
高倍率のズームでも、どこを狙っているのかわかりやすい

 また、「Pixel 7 Pro」では、「マクロ フォーカス」機能が搭載されており、被写体にレンズを近づけると自動でウルトラワイドカメラに切り替わり、「マクロ フォーカス」となる。iPhoneシリーズでもおなじみの機能だ。

 作例は、基本的にはオートで撮影しており、被写体にレンズを向けたらピントや露出は設定せずにそのままシャッターを押している。

1倍で撮影
2倍で撮影
5倍で撮影
デジタルズーム最大30倍で撮影
0.5倍で撮影
マクロ フォーカスで撮影
1倍で撮影
ナイトモードで1倍での撮影

 全体的にコンピュテーショナルフォトグラフィの効果が表れており、それぞれのシーンで的確な設定で撮影できている。

 動画撮影は最大で4K/60fpsでの解像度に対応。また「10ビットHDR」や風切り音などのノイズを軽減する「音声拡張機能」も利用可能。ただし両機能を使う場合は30fpsまでの設定となる。

動画撮影時の設定項目

【お詫びと訂正】
 記事初出時、メモリーを8GBとしておりましたが、正しくは12GBです。お詫びして訂正いたします。

Pixel 7

 「Pixel 7」は、プロセッサーに「Pixel 7 Pro」と同じく「Google Tensor G2」を搭載。

 メモリーは8GBでストレージは128GBもしくは256GBとなっており、Pixel 7 Proよりもメモリーが少ない仕様だ。

こちらも「Google Tensor G2」を搭載した「Pixel 7」

 本体サイズは155.6×73.2×8.7mmで、重さは197g。前モデルの「Pixel 6」よりは10g軽くなって200gを切っている。ただし2世代前の「Pixel 5」は151gだったので、Pixel 5と同じく軽量コンパクトモデルを狙っての買い換えを検討しているユーザーは注意が必要。

本体重量は200gを切っている

 ディスプレイは6.3インチのOLEDディスプレイ(FHD+、1080×2400、416ppi)を搭載。最大90Hzのリフレッシュレートに対応し、最大輝度は1000ニト(HDR)、1400ニト(ピーク輝度)となっている。

本体背面
ディスプレイの両サイドはフラットな仕上げ

 「Pixel 7 Pro」よりもひとまわりディスプレイが小さく、解像度も低いがドットが目立つというわけではなく、十分高精細。画面の書き換えなども滑らか。さらにディスプレイのスペックからバッテリーの消費も少ない。

 搭載バッテリーは4355mAhと、「Pixel 7 Pro」よりも645mAh少ないが、フル充電からWi-Fi接続・最大輝度でYouTubeの4K動画を7時間視聴と同条件のテストで、バッテリー残量は35%と「Pixel 7 Pro」より多かった。

本体右側面
本体左側面
本体上部
本体下部
カメラの突出部分
カメラ部分は実測で約11.1mm

 全体的なデザイン、ボタンやポート類のレイアウトは「Pixel 7 Pro」と同じ。充電はUSB Type-Cからが最大21W、ワイヤレス充電器「Google Pixel Stand(第2世代)」を利用すると最大20Wで充電可能だ。

SIMスロット
指紋認証はディスプレイ埋め込み型で、反応は「Pixel 7 Pro」との差は感じなかった

Pixel 7のカメラ

 カメラは背面が5000万画素の広角カメラ(F値1.85)、1200万画素のウルトラワイドカメラ(F値2.2、画角114度)のデュアル仕様。

 ウルトラワイドカメラの画角が「Pixel 7 Pro」よりも狭いため、カメラアプリでの倍率表示は「.7」(Pixel 7 Proは『.5』)となっている。

 そのほか、望遠カメラは搭載しておらず、デジタルズームの最大も8倍までとなっている。また、「マクロ フォーカス」にも非対応だ。

 作例では、基本的には「Pixel 7 Pro」と同じ条件になるように撮影している。やはりズームでの撮影に関しては、光学式のカメラを搭載したPixel 7 Proに劣るものの、2倍程度なら十分常用の範囲といえる。動画撮影も「10ビットHDR」や風切り音などのノイズを軽減する「音声拡張機能」は利用可能だ。

1倍で撮影
2倍で撮影
デジタルズーム最大8倍で撮影
0.7倍で撮影
1倍で撮影
1倍で撮影
ナイトモードで1倍での撮影

Pixel 7シリーズの新機能

 Pixel 7シリーズでは、いくつかの新機能が追加されている。 そのひとつが「Photo Unblur(ボケ補正)」機能 だ。被写体が動いてブレてしまった写真をシャープに仕上げてくれる機能で、過去に撮影した写真でも利用可能。

 使い方はフォトアプリで補正したい写真を選び、編集から「候補」→「ボケ補正」とタップ。あとは補正度合いをスライダーで調整するだけでオーケー。ミスショットもある程度「使える写真」に補正できるので、子どもや動物などを撮影した写真で効果がありそうだ。

ボケ補正前の状態
ボケ補正をすると、ぼやけた写真がシャープに補正された

 また、アクセシビリティ機能「TalkBack」に「ガイドフレーム」を搭載。インカメラで自撮りをする際に、音声ガイドでフレーミングなどを教えてくれる。アクセシビリティ機能のため、一般的なユーザーが使用するケースは少ないが、実際使ってみるとカメラを向ける位置がわかりやすくて便利。

アクセシビリティ機能で、インカメラ撮影時に音声ガイドをしてくれる

 この機能が通常機能としてカメラアプリに搭載され、さらに背面カメラでも音声ガイドで通知してくれれば、高性能なカメラで自撮りができるので今後の進化に期待したい。

 そのほか、今回のレビューでは時間がなく試せていないが、就寝時の咳・イビキの検知機能も搭載している。

 また、音声メッセージの文字起こしや、音声入力中の絵文字サジェスト機能も追加されているが、音声メッセージの文字起こしはGoogleメッセージでの対応で、音声メッセージをMMSで送信する必要があるため、筆者の環境では利用できなかった。

 絵文字サジェスト機能も、現在は、英語とドイツ語のみのため、日本語環境では利用できない。このあたりGoogle以外のアプリやサービス、そして日本語の対応を待ちたい。

「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」、どちらを選ぶか

 「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」、両モデルの大きな違いはディスプレイとカメラ性能。

 動画コンテンツを楽しむユーザーなら大型の「Pixel 7 Pro」だが、そのほか、WebサイトやSNSなどで使うぶんには「Pixel 7」の大きさと解像度でも問題はない。

ディスプレイサイズが大きな違い

 また、カメラも望遠での撮影が多いユーザーは「Pixel 7 Pro」がオススメだが、基本的にはメインの広角でしか撮影しないなら「Pixel 7」でも、十分、高画質な撮影が行える。

 価格は、128GBモデルで比較すると、「Pixel 7 Pro」は12万4300円で、「Pixel 7」が8万2500円。 価格差は4万1800円 となっている。普段使いで数年は使用したいというなら、コストパフォーマンス的に「Pixel 7」がオススメ。

 ただし、現在オトクな下取りキャンペーンも実施されている。もし通常の価格よりも割安で購入できるなら、「Pixel 7」よりも機能面で充実している「Pixel 7 Pro」を選択するというのもオススメだ。