レビュー

「ahamo」「povo」「LINEMO」オンライン専用プランに変更する際の注意点まとめ

 大手携帯電話各社から遂に大幅値下げされたオンライン専用プランの提供がスタートした。2000円台で20GBと必要十分なデータ容量を、大手携帯電話会社が提供するという安心感や割安感に惹かれているユーザーは多いだろう。

 この安さの理由は世間での呼ばれ方の通り、「オンライン専用」として実店舗でのプラン受付やサポートを省いていることにある。また、従来プランと違いキャリアメールが提供されないといった違いもあり、プラン変更で安くなるだけでなくユーザーは「何が使えなくなるのか」などを把握して変更をしないと、変更した後に不便に感じる可能性があるのもオンライン専用プランの申込時には注意したい点だ。

 そこで今回は、オンライン専用プランに変更するにあたり改めて気をつけたい点を紹介していく。

キャリアメールの提供がない

 オンライン専用プランでは「@docomo.ne.jp」や「@au.com」など、携帯電話の契約時に提供されるEメールアドレスの提供がない。

 最近は連絡手段としてSNSやLINEなどのメッセンジャーを利用する場面の方が多いが、もしキャリアから提供されるメールアドレスでないと連絡を取り合えない人がいる場合は注意が必要だ。代替の連絡手段としては、SMSやGmailなどフリーメールアドレスを利用する方法があるが、送り先がキャリアメールアドレスの場合、Gmailなどは「事前に受信の許可」を行ってもらわないと、 迷惑メールフィルタなどで弾かれるケース も多い。

 また、キャリアメールのEメールアドレスを会員登録に使っていた場合は注意が必要だ。

 メールアドレスやパスワードの再設定、最近では二段階認証のワンタイムパスワードの受取に登録されているメールアドレスにメールが送信される仕組みを用いているサイトは多い。キャリアメールのEメールアドレスを会員IDや連絡先として登録しているとこれらのメールが受け取れず、以降ログイン情報の変更などに支障を来す可能性が高いため、もしオンライン専用プランへ変更する場合は、予めGmailなど別のEメールアドレスを取得し、会員登録情報を変更しておく必要がある。

 特に昨今、スマートフォンユーザーであれば生命線ともいえるのが「Apple ID」だろう。

 AndroidスマートフォンであればGmailアドレス(Googleアカウント)を新規取得しアプリストアの利用を開始するのだが、iPhoneユーザーの場合はApple IDにキャリアメールのEメールアドレスを登録しているケースが多い。

  iPhoneユーザーは特にオンライン専用プランへ変更する際、Apple IDがキャリアメールのEメールアドレスで登録していないかを確認 し、もしそうなっていた場合は別のメールアドレスへ変更した後に、プランの変更を申し込むようにしよう。

有料サイトの支払い方法に注意。キャリア決済は引き継げない会社もある。

 携帯電話各社が提供している「キャリア決済」は、有料サイトの月額や通販の支払いなどを通信料に合算して支払いができる便利なサービスだ。

 このキャリア決済だが、NTTドコモが提供する「ahamo」とソフトバンクが提供する「LINEMO」では、変更と同時に「継続課金登録」が解除されてしまう点に注意が必要だ。

たとえばNTTドコモであれば、マイメニューから継続課金を利用しているサイト・サービスを確認できる

 継続課金登録とは毎月一定額のサイト利用料の支払いなどに利用できるキャリア決済の機能のひとつだ。たとえば、「ファンクラブサイトの月額300円」のように、毎月料金が発生するサービスなどの支払い方法に設定することで、毎月携帯電話料金にサービス利用料を合算し継続して支払うことが可能だ。

キャリア決済が利用できるサイト・サービスの多くは、オンライン専用プランへの変更前に支払い方法の変更を案内している

 しかし、NTTドコモのahamoとソフトバンクのLINEMOでは、NTTドコモ、ソフトバンクの各プランから変更をした際に自動的に継続課金が廃止されてしまう。

 継続課金が廃止されると自動的にサービスが退会扱いになるサービスは多いため、もし便利に使っているサービスがあれば、変更前に支払い方法をクレジットカード払いなど別の方法へ変更する必要がある。

 また、 キャリア決済を利用してサービス利用料を支払っている場合、ユーザー登録情報にも注意 したい。先に挙げたキャリアメールのEメールアドレスで自動的に会員登録されている場合や、dアカウントなどキャリアが提供するアカウントサービスと継続課金の登録状態がセットでユーザー登録されている場合も珍しくない。

 支払い方法の変更と同時に、登録メールアドレスやパスワードも新たに設定しておくといいだろう。

対応機種に注意

 オンライン専用プランは携帯電話各社の新料金プランという位置付けではあるが、プラン変更後に現在使っている機種がそのまま利用できるかどうかは、事前にチェックしておく必要がある。

 一例としてKDDIが提供する「povo」では2014年末以降に発売した多くのスマートフォンが対象機種として挙げられているが、リストにある機種でも動作保証しないといった注意書きが添えられている機種も存在している。

 また、これは筆者自身の経験談だがオンライン専用プランは売りのひとつに「5Gが利用できる」ことが挙げられている。5Gが利用できる=5G契約のSIMカードを通信機器に取り付けることになり、4Gまで対応するスマートフォンでは一部機能が利用できないなど細かな制限があることも覚えておきたい。

 各社のオンライン専用プランは、現状、 プラン変更後、機種変更の手続きがそのままでは進められない という制限も存在している。

 もしオンライン専用プランへ変更を予定していて、今使っている機種が古い機種の場合は動作確認リストに掲載があっても、プラン変更前に機種変更を行い、その後にプラン変更を行った方が快適に利用できることも覚えておくといいだろう。

オンライン専用プランは「サポート」以外にも注意点が多い

 オンライン専用プランは店頭でのサポートがないことで安さを実現しているが、従来携帯電話各社が提供してきた便利なサービスの一部を廃するなど、サポート以外でも今まで通りといかない部分が多いことは申し込み前にしっかりと確認しておくといいだろう。

 キャリアメールのEメールアドレスのようにコミュニケーション手段として利用することは減っていても、何かしら登録に必要だからと唯一持っているメールアドレスとして利用しているケースもあるため、提供のないサービスを「活用していないからなくても大丈夫」と思い込んでいると、プラン変更後にトラブルに遭う可能性は高い。

 これらのトラブルに遭遇した場合でもプラン変更後のサポートは店頭で受けることもできないため、契約前は各社のオンライン専用プランの専用サイト内の注意事項で「提供されないもの」「使えなくなるもの」などの注意書きを、しっかり熟読してから申し込むようにするべきだ。