富士通が新端末説明会を開催、CMの瑛太も登場


 富士通は、NTTドコモから発売される夏モデル「F-06B」「F-07B」「F-08B」に関する説明会を開催した。富士通の携帯電話戦略や各機能と特徴などが解説されたほか、新CMに出演する瑛太が登場し、新しい端末の魅力を語った。

 富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏

 

目標以上の出荷実績、LTEではまずデータ通信カードを提供

 説明会で登壇した富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏は、クラウドコンピューティングを中心とした富士通全体の戦略を示した上で、「携帯電話は中心、フロントという位置づけ」と語り、グループ全体でも携帯電話が重要な位置を占めている様子を語った。

 その携帯電話事業は、昨年度の出荷が518万台、前年度比118%と好調で、「下期に出した3機種が好調で、目標以上の数字になった」と振り返る。また、シェアでもMM総研の数字ではパナソニックに迫る僅差で3位につけ、「まずますだ」と評価した。

 同氏は携帯電話のラインナップについて、「開発陣、企画陣には技術と訴求をマッチングしろと言っている。具体的には、“5秒でアピールできるようなケータイ”にと言っている」として、分かりやすい訴求ポイントを設定して開発していることを明らかにした。これは、同氏がかつて「らくらくホンと同じようなキーワードを見つけろ」と指示したことがきっかけとのことで、店頭で販売スタッフが一言で説明できるといったメリットがあるという。また、社内的にはアピールポイントを企画・開発段階で共有するとのことで、「開発がブレず、販売にもつながっていると思う」とした。

 佐相氏は今後についても触れ、「2010年度の下期にはLTEのサービスが始まる。富士通もカード(型の端末)を提供する予定で、サービス立ち上げを支援していきたい」と、データ通信端末を早い段階で提供する意向を明らかにした。

 

「5秒アピール」で明確な訴求ポイントを設定

富士通 執行役員常務の大谷信雄氏

 富士通 執行役員常務の大谷信雄氏は、製品開発の方針として、これまでの提唱してきたブロードバンドリーダー、デザイントレンドリーダー、ケータイテクノロジーリーダーという3つの軸を紹介。これに加え、カメラ、センサー系のセンシング技術、富士通のクラウド技術を組み合わせ、スポーツ、健康、生活行動など、人の嗜好や行動を解析し、情報・サービスをタイムリーに提供する「ヒューマンセントリックケータイ」を目指すことを明らかにした。

 携帯電話の進化では、テンキー部分の使い慣れた操作性を損なわない点を基本にしつつ、大画面化やタッチ操作、縦・横画面を自由に使うといったさまざまなスタイルに進化させていく方向を示す。

 その新端末では、“5秒アピール”としてF-06Bを「フルハイビジョンムービー対応の1320万画素カメラ搭載、ハイスペック防水×スライドヨコモーション」と紹介。同様にF-07Bを「ワンプッシュ×スリムヨコモーション」、F-08Bを「充実シンプル防水ケータイ ekubo」とそれぞれ簡潔なキャッチコピーを紹介した。

 F-06Bについては、防水でスライド機構を搭載し、1320万画素カメラやフルハイビジョンムービーの撮影機能といった盛りだくさんの機能を紹介。広辞苑など28コンテンツもの電子辞書を搭載した点も特徴に挙げた。また、通信機能として無線LANのほか、要望が多いというFMトランスミッターを復活させた点もポイントとし、連続待受時間が690時間という電池の持ちの長さもアピール。全方位で進化している様子を紹介した。

 F-07Bは折りたたみ型で、画面が左右のそれぞれ90度回転するFOMA端末。同様の機構はF903iで初めて搭載され、以降F906iまで5機種に搭載された。大谷氏によれば、これらの「折りたたみヨコモーション」のユーザーは200万人以上に上り、かつ7割以上が同様の機構を求めているという。こうしたことから、F906iの買い替え時期となる今回、2年ぶりに折りたたみヨコモーションを復活させたとのことで、「新たに進化したヨコモーションを提案する」と、ワンプッシュオープンボタンの装備やスリム化したボディ、大画面化や1220万画素カメラなどの特徴を示した。

 F-08Bはシンプルで使いやすさにこだわったモデル。ekuboと名付けられたように、液晶背面には特徴的なくぼみが設けられ、LEDを内蔵。くぼみに触れるとLEDが瞬くといった工夫も凝らされている。

 大谷氏からはこのほか、フォーミュラ・ニッポンのチーム「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」に技術協力していることが紹介され、最新のマシンではコックピット内に「F-06B」を搭載していることが明らかにされた。ドライバーとチームスタッフは、一方通行の無線による会話ではなく、携帯電話の回線で双方向の会話をしているとのことで、騒音対策などで富士通の技術が投入されている。

富士通の考える携帯電話の進化「5秒アピール」として、わかりやすい訴求ポイントを設定
F-06BのポイントF-07BはF906i以来の形状

 

防水や電子辞書などさまざまなデモ

富士通 モバイルフォン事業本部 マーケティング統括部長の松村孝宏氏

 富士通 モバイルフォン事業本部 マーケティング統括部長の松村孝宏氏からは、各機種を使って特徴的な機能のデモが行われた。松村氏はまず、防水を実現した「F-06B」を紹介。実際に水中で「スライドヨコモーション」を操作し、カメラを起動して写真を撮影するデモを実施して、「水深1.5mでカメラが楽しめるのはFだけ」とアピールした。また、F-06Bに搭載されたシャッター前後の7枚連写・抽出機能「ベストショットセレクト」機能のデモも行い、目を閉じていない写真を自動的に選択する様子が紹介された。

 F-06Bには電子辞書として、広辞苑(DVD-ROM版)をはじめとする28の電子辞書コンテンツが収録される。松村氏は「マルチメディア電子辞書」として単語を動画で確認できる機能を紹介し、「4~5万円分の電子辞書を搭載したが、(携帯の)価格は変えていない。電子辞書が欲しいと思っているユーザーはぜひ」とアピールした。

 このほか、F-06B、F-07B、F-08Bのいずれにも搭載された、ブログ・SNSの簡単投稿機能や、不在着信時のメール自動返信機能、感度や操作性を向上させた「サクサク操作タッチパネル」といった機能のデモも行われた。

防水性能のデモンストレーション水中でカメラを起動し撮影できる
ベストショットセレクトはシャッター前後の7枚からおすすめを自動抽出王冠マークのついた写真がおすすめ写真
F-06Bには多数のコンテンツを収録した電子辞書機能を搭載メール自動返信機能は、電話に出られない状況をサポートする

 

瑛太がベストショットセレクトや防水+カメラに感心

 説明会の後半では、新CMにも登場する俳優の瑛太が登場した。瑛太はF-06Bを楽屋で試したとのことで、連写した写真から自動抽出する「ベストショットセレクト」機能に「携帯が選んでくれるのはすごい」と感心した様子。防水性能では「雨でも不安は無くなる」としたほか、水中撮影が可能と聞かされると、「(自宅にある)水槽に入れて撮れるんですか? やってみます」と興味を示してした。

 CMは2つのバージョンが明らかにされており、5月21日から順次放映される。撮影現場は高級感を意識したセットだったとのことで、シチュエーションも豪華なもの。セリフを含め「照れくさいけど、一生懸命演じた」と感想を語った。

 F-07Bを手にしたCMでは、ワンプッシュオープンボタンで端末を開き、画面をすぐに回転させる一連の動作が会場でも話題に。「誰がかっこよく開けられるか、試してみてほしい」と語ったほか、最後にはファンへのメッセージとして、「木曜10時、フジテレビで『素直になれなくて』というドラマに出ています。最終回に向けて盛り上がってくるので、見てください」と語り、Twitterや携帯電話をテーマにしたドラマのアピールも忘れなかった。

 

フォトギャラリー

フォーミュラ・ニッポン「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」のマシンF-06Bは左肘の後ろあたりに固定されていた

 



(太田 亮三)

2010/5/20 17:15