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KDDI、2027年3月期上期は増収増益 モバイルなど好調――下期は楽天ローミング収入増も

 KDDIは6日、2027年3月期第2四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比4.7%増の3兆528億1100万円、営業利益は同0.8%増の5592億9100万円、最終利益は同0.9%増の3632億7400万円で増収増益となった。

KDDIの松田社長

 冒頭、KDDIの松田浩路社長は同社子会社のモビコムが関連する、モンゴルのヌムルグ自然保護区における火災について「モンゴル国政府ならびにモンゴル国民の皆様、そして長年にわたり両国の友好と歩みを支えてこられた皆様に、多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

 また、KDDIとして現地当局の調査に全面的に協力し、モンゴルの自然環境と同国民の信頼回復に向けて、継続的に社会的責任を果たしていくと話した。

全セグメントで増収、auへの移行も好調

 事業分野別に売上高を見ると、携帯電話サービスなどが属する「テレコムコア」は前年同期比3.1%増の2兆2010億円を売上げた。個人向け金融サービスなどの「パーソナルグロース」は6053億円を売上げ、前年同期比8.3%の増収を果たした。法人向けの「ビジネスグロース」も3309億円を売上げ、同様に10.2%の増収となった。

 テレコムコアの営業利益は、モバイル通信収入で280億円増、それ以外で343億円増となった。スマートフォン稼働数は前年同期比42万台増の3334万台。ハンドセット解約率は1.18%と、前年同期比で0.03ポイント低下した。ユーザー1人あたりの売上を示すARPUは4420円で前年同期比70円増となった。

 auおよびUQ mobileでの1年以内短期解約率、povoの解約率も低下しており、同社が取り組む長期ユーザー重視の戦略が成果を上げた。販売戦略の見直しによる会計処理変更も影響していると松田社長は説明した。

 UQ mobileからauへのブランド移行が増加していることと両ブランドの上位プランの契約者数が400万人を超えたことなどが、業績を下支えした。店舗におけるブランド移行の実績はオンラインショップの3倍ほどもあり、店頭スタッフの教育に導入したAIロールプレイなどの結果が現れたという。

 10月に発売された、新型「iPhone 18 Pro」シリーズやアップル初の折り畳み型端末「iPhone Duo」について、松田社長は「共に想定通りの順調な滑り出し」という。2年ほど前のモデルを使っているユーザーの乗り換えが多く、新たな体験のタッチポイントとしての期待感を示した。

 通信品質の強化も継続しており、神奈川県横浜市や福岡県福岡市の一部では、混雑エリアのパケ止まり率が10月以降、3割減少したという。楽天モバイルへのローミングエリアの縮小が影響しており、想定外の場所からのトラフィック流入が大幅に減少し、トラフィックが4~5割減少したエリアもあったという。

 英Opensignalの調査は最多受賞の5連覇を果たした。今後、通常は圏外になる場所でも高速データ通信と音声通話ができる「Starlink Mobile V2」を2027年内に導入することを目指す。ホームゲートウェイに5Gを搭載し、光回線の開通前でも申し込み後すぐに使える固定・モバイル融合サービス「auひかり プラス」の提供も始めている。

 他社の動向としては、NTTドコモが「ahamo」を30GBから40GBに増量した。対抗策を問われた松田社長は「au PAY ゴールドカードやPontaパスなどの付加価値を合わせてトータルで判断してもらいたい。ただし、店頭では容量などのスペック競争があるのは事実で必要な対応策を検討する」と話した。

Pontaなどが成長けん引、金融・エネルギーは減益も反転の見通し

 パーソナルグロース領域では、デバイス関連で96億円の増益、Pontaパスやローソン関連でも73億円の増益と、好調さをけん引した。Pontaパス会員数は前期比で19万会員増加したほか、ローソン事業は前年同期比で7.7%の増益になった。

 一方、金融関連は預金拡充や評価損、エネルギー関連は電気切り替えや期ずれの影響で一時的に減益となった。個人預金残高やau PAY ゴールドカード会員数、au PAY ゴールドカード決済取扱高はいずれも前年同期比1.3倍となった。auでんきなどの契約数は前期比で3万契約増加した。

 住宅ローンの金利改定やゴールドカードの推進、au マネ活プランの加入促進で第4四半期には増益に反転する見通しという。エネルギー分野も同様に第3四半期には増益に転じることが見込まれる。

 法人向けの「ビジネスグロース」領域では、AIインテグレーションやコネクティビティデータセンターが成長をけん引し、売上高が前年同期比10.2%増の3309億円、調整後営業利益が同18.8%増の400億円(前年同期比63億円増)となった。なかでもAIインテグレーションの売上高は前年同期比で約29%増加した。

 KDDIからグループ会社のKDDIアイレットへ営業チームを投入したことで、AI開発の案件数が約3倍に急増した。また、コネクティビティデータセンター事業も新規受注の約6割をAI推論用途が占めるなど旺盛な需要を取り込んでおり、EBITDAマージンは44.5%と高い収益性を維持している。ロンドン拠点の拡張を進めるなど、グローバルでのインフラ強化も加速させる。

サイバーセキュリティ強化、ドローンやデータセンターなどに注力

 サイバーセキュリティ関連では、メール配信基盤へ不正アクセスがあったことを踏まえて、Webサービスであれば停止をためらわない経営判断や不正アクセスを前提とした早期検知と局所化による被害の最小化を目指す。松田社長によると、データの保持時間を短時間化して使い捨てにする仕組みなどを整備し、安心感につなげるという。

 データセンターについては「単に規模(mW規模)を競わず『コネクティビティ型』と『AIファクトリー型』の2つで差別化する」という。大阪府堺市のデータセンターはその拠点となるもので、次世代GPU「Rubin」を導入する。また、新会社ELYZA Roboticsを設立するほか、タクシー会社「newmo」と2028年の自動運転タクシーの社会実装を目指す。

 ドローンの社会実装に向けても取り組みを継続しており、2027年度中にも配送事業の開始を予定しているほか、ローソンや日本郵便とも協力を続ける。

 グループガバナンスの強化は継続する。KDDI傘下のビッグローブやジー・プランがかかわる広告事業における不正還流取引が発覚して以降、同社では不正行為を防ぐための組織作りを続けてきた。ルール・仕組みを策定したうえで、KDDIとグループ各社が互いに信頼できる関係を形成する「ドライ」と「ウェット」の2つの面で、同様の事例の発生を防ぐ。

 組織体制の強化と並行し、事業ポートフォリオの見直しも加速させている。ライフネット生命やGunosyの株式売却、カカクコムの売却意思決定など、政策保有株式の売却を含めて上期で計13件・約1500億円のキャッシュ創出を進めており、成長領域への投資原資を確保する。

 こうした取り組みの背景について、松田社長は業界に先駆けたサービス展開を行う「ファーストムーバー」(先行者)としての価値づくりが業績向上を支えていると強調。持ち前の技術の目利き力や外部パートナーとの連携力を生かし、今後も持続的成長に向けた好循環をリードしていく姿勢を示した。

 テレコムコアとビジネスグロースを中心として2桁成長を続けており、期初計画に織り込んでいなかった下期分の楽天モバイル向けローミング収入(約100億円)が顕在化したことなどを受けて、業績は好調で通期目標達成への見通しも順調という。進捗率は、売上高は47.6%、調整後営業利益で52.3%となっており、松田社長は「下期も、過度な販促を抑える方針を守りつつ、長期利用促進やチャネル強化、成長投資を有効に活用する」と話した。

主な質疑応答

――モンゴルでの火災事故について、現地当局への全面協力以外に、KDDIの技術やリソースを生かした現地自然環境の回復などで具体的に想定している貢献策はあるか。

松田社長
 今回の火災につきましてはKDDIとしても非常に重く受け止めており、多大なるご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。これまで両国の友好関係に寄与された方々の歩みに影を落としかねない結果となったことを厳粛に受け止めています。

 先週、私自身が駐日モンゴル大使館をお訪ねし、バンズラグチ・バヤルサイハン特命全権大使へ直接お詫びとお見舞いを申し上げてまいりました。自然環境の回復に向けた取り組みにつきましては、現在進められている現地当局の調査結果を踏まえ、関係機関と連携しながら現地のニーズに即した社会的・道義的責任を果たしてまいります。(具体策は)準備を進め、時期がきましたらご説明いたします。

――ホッピング対策による具体的な効果数値と、総務省が検討する「新規契約特典の最長1年間分割提供」への対応方針を教えてほしい。

松田社長
 短期解約を抑制していくホッピング対策の方向性には賛同しております。数字の開示は難しいですが、長期利用者への還元は一律に制限するのではなく、利用実態に応じた柔軟な制度が望ましいと考えております。当社としては販促費競争から「価値の競争」へという前提を維持した上で、現在の制度議論に参加しております。

――newmoとの資本業務提携における自動運転タクシー事業の展開と、トヨタ自動車およびWaymoの国内展開への関与の可能性はあるか。

勝木明彦 取締役執行役員常務
 newmoとは創業の地である大阪・堺において、自動運転の試験走行やデータ収集の協力を行っております。堺データセンターのGPUクラウドを同社の計算資源として提供するほか、車両を遠隔監視・制御するモバイルコントロールセンター機能を提供し、自動運転の実装を進めていきます。また、newmoは神奈川、軽井沢、沖縄、東海地区などにも進出されているため、堺で学習した自動運転機能を全国へ広げていく際にもしっかり協力してまいります。

 トヨタとWaymoの提携案件につきましては、Waymoが開発する自動運転ソフトウェアをトヨタの「bZ4X」に搭載して販売されるものと思いますが、具体的に(KDDIが関与する)お話はありません。今後、我々がnewmoと旅客運送事業をやるなかで、自動車OEMとの協力関係が増えると思うので、協業の機会があればと考えております。

――povoの現在のアクティブユーザー数や2台目・副回線需要の比率などについて公表できる数値はあるか。また、Opensignalの国内調査で5連覇を果たす一方、国際調査などで日本の5G通信速度が低位と評価されている原因をどう分析しているか。

松田社長
 povoは基本料無料のサービス設計であるため、単なる累計契約数だけでなく「1カ月以内にトッピング利用があったアクティブユーザー」を伸ばすというKPIで管理しております。2台目(副回線)でお試しいただき、おトクなメイン回線へ促していく流れで推進しています。

 また、日本の5G速度が国際調査等で低位とされる点については、諸外国で特定の周波数をふんだんに使用して速度を出しているケースがあることが一因と考えております。我々は「新しいサービスをお届けしたい」という思いで、エリアや5G SAの拡充などにフォーカスしています。そのためスループットだけを価値基準としているわけではないということをご理解いただければと思います。