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「C108」におけるKDDIのエリア対策、ミリ波中継器とミリ波Wi-Fiで「安定した通信」を実現

 8月15日~16日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で「コミックマーケット108」が開催された。例年話題になるのが、館内と一般待機列における携帯サービスの混雑状況だ。

 ここ数年で、移動中にオンデマンド配信の動画を見るようになったユーザーが多くなり、それにつれて1人あたりのデータ通信量も急速に伸びてきている。通信事業者側も、基地局の増設や最新技術を取り入れるなど対策を進めており、「混雑エリアにおける通信対策」においても、最新技術を導入し、混雑緩和に努めている。

 今回は、KDDIがコミックマーケット108でどのような技術でエリア対策を実施したか紹介する。

ミリ波中継器を活用

ミリ波の移動基地局。ここからの電波を、後述の中継局が増幅させる

 今回、一番注目したいポイントは「ミリ波中継器」を使ったエリア対策だ。

 ミリ波とは、5Gサービスのなかでも高い周波数帯(KDDIでは28GHz帯を使用、波長が数ミリ程度なのでミリ波と呼ばれている)のものを指している。一般的に、電波は周波数が高いほど同じ時間でより多くのデータを届けられるが、届く距離が短くなってしまう。

 ミリ波では、理論値上10Gbps以上の速度を出せるが、届く距離は数百メートル程度で、直進性が高いため、経路に人の身体があるだけでも減衰してしまう。そのため、これまではもっぱらそれよりも周波数が低いSub6帯や4Gサービスで利用していた周波数を転用(NR化)して5Gエリアを広げてきた経緯がある。

 ところが、近年のデータ通信量の増大で、エリアが作りやすいこれらの周波数帯だけでは限界に達しつつあり、事業者ではミリ波を積極的に活用する動きが広がってきている。

 今回のKDDIの取り組みでは、1つのミリ波基地局の周りに、その電波を中継する装置「ミリ波中継器」を展開させることで、ミリ波エリアを効率的に広げる取り組みになる。移動基地局を設置するためには、アンテナや電源のほかにも通信機器やバックボーン回線が必要となる。中継器であれば、中継器本体と電源を用意するだけで済むため、少ないコストでこれまでよりも広く、安定した通信エリアを提供できる。

ミリ波中継器

 技術面では、複数のミリ波基地局を設置するのと比較して、干渉しづらいエリア形成ができるという。1つの基地局がカバーしているエリア(セル)と隣接するエリアの境界では、互いの電波が干渉し、通信品質が低下することがある。中継器では、親機となる基地局の制御部から電波を増幅するかたちとなるので、複数の中継器を設置しても「1つのセル」として扱えるため、エリア設計がしやすいのだ。

 イベント当日の東待機場には、1台のミリ波対応移動基地局に対して2つのミリ波中継器搭載の移動基地局を用意した。これにより、待機場(東棟屋外臨時駐車場)の広範囲でミリ波が利用できるようになった。

 また、ミリ波を活用した公衆Wi-Fiサービスも試験的に提供した。ミリ波非対応端末ではこのWi-Fiを利用することで、間接的ではあるがデータ通信をミリ波側に逃がすことができるため、4Gと5G(Sub6、ミリ波)全体で通信トラフィックの最適化につながる。

ミリ波中継器とWi-Fi。写真左側にミリ波の移動基地局があり、そこからの電波を、ミリ波中継器の1面で受信し、ほかの3面で増幅して送信している。Wi-Fiは、CPEの受信アンテナでミリ波の電波を受信し、写真右側の送信アンテナからWi-Fiサービスを提供している
ミリ波中継器の前で速度測定。午前入場と午後入場の境目であったため、駐車場の滞在人数は少ない条件であったためか、高い速度が計測できた。次の日にサークル参加するユーザーが、印刷所への入稿を行っても十分対応できる速度だ

2024年を教訓に対策強化

 同社担当者は、イベント参加者には情報感度の高いユーザーが多いと指摘。特に通信の品質については大きな反響につながるため、「一時的に混雑する時間」に対しても適切な対策を実施しなければならないと、取り組みの重要性を語る。

 同社では、イベントごとにユーザーの声を分析して次の対策に活かす取り組みを実施している。過去には、2024年冬のコミックマーケット105で「つながりにくい」「速度が出ない」という声が多かったという。これを受けて、2025年夏以降は、5G SAや2つの周波数帯に対応するアンテナ「Dual Band Massive MIMO Unit(DB-MMU)」といった最新技術を導入している。

ミリ波中継器とDB-MMU、Wi-Fi機器を搭載した中継器
赤で囲んだところがDB-MMU

 今回の「ミリ波中継器」と「ミリ波の回線をバックボーンとしたWi-Fi」は、今後もスポーツイベントなどでの活用や、通信品質を向上させる取り組みに活かしていくとしている。