インタビュー

シャオミに聞く「REDMI」新製品の狙い――1万mAh超大容量バッテリーと4Gエントリー機で挑む市場戦略

 シャオミ・ジャパンは27日、新型Androidスマートフォン「REDMI Note 17 Pro Max」や「REDMI 17」を始めとする新製品を発表・発売した。部材高騰の波が押し寄せるスマートフォン市場において、1万mAhの大容量バッテリーを搭載したシリーズ最上位モデルと、4Gエントリーモデルを同時投入した理由はどこにあるのか。プロダクトプランニング部本部長の安達晃彦氏とマーケティング本部シニアIMCマネージャーの片山将氏がインタビューで語った。

――2026年上半期は大容量メモリー・ストレージ搭載モデルを早めに展開したことで、他社に先駆けて価格面での強みを発揮できた印象がある。実際の手応えと、部材高騰が続く中で今後もアドバンテージを維持できるのか。

安達氏
 メモリー価格の上昇傾向は昨年の後半頃から顕在化し、各社の事情に応じて徐々に製品価格へ反映されてきました。弊社としても積極的なラインナップ展開を行ってきましたが、単に「メモリーが安いうちに」ということではなく、昨年後半の段階で今年上半期の投入計画を立てていた結果、従来に近いコスト感で投入できたのが実情です。

 その結果、充実したカメラ機能を備えた個性豊かな製品群を上半期に投入でき、どのモデルも手応えを感じています。一方で、部材高騰の影響がダイレクトに反映され始めているのも事実で、今回の新製品はその影響を強く受けています。

 1週間ほど前に一部製品の値上げも発表させていただきましたが、今後も市場環境に即した上で最大限の努力を続けてまいります。「Innovation for Everyone」という哲学のもと、単純な値上げではなく、期間限定の早割価格の設定や魅力的なアクセサリーの同梱など、工夫を重ねてお客様へ価値を提供していきたいと考えています。

シャオミ・ジャパン プロダクトプランニング部 本部長 安達晃彦氏

――現在の日本市場におけるシリーズ別(Xiaomi/REDMI/POCO)の売上比率や分布はどうなっているのか。

安達氏
 詳細な数字はお控えさせていただきますが、実感としては全セグメントでバランスよく成果が出ている印象です。

 エントリー層ではキャリアに採用いただいたモデルが数を牽引し、ミドルクラスでも「POCO X8」シリーズなどのボリュームモデルが存在します。さらに6月初頭に投入した「Xiaomi 17T」シリーズもProモデルを中心に好評で、「Leica Leitzphone powered by Xiaomi」も予定数を早々に完売いたしました。

 数量ベース・金額ベースの双方において、特定のカテゴリに偏ることなく成果を出せています。

――今回の新製品はどれもバッテリー容量を大きく打ち出しているが、現在最も注力すべき訴求ポイントなのか。また、1万mAhを実現した背景について教えてほしい。

安達氏
 大容量バッテリーに対するユーザーニーズは以前から強くありましたが、技術的に1万mAhを達成できる目途が立ち、今回の「REDMI Note」新型モデルのタイミングと重なりました。

 実はグローバル市場を見ると、国によっては約9000mAhの仕様となるモデルもありますが、日本向けにはシングルセルで1万mAhのバッテリーを導入することができました。

 業界全体として5000mAh前後で一度伸びが停滞した感がありましたが、シャオミとしては6000mAh、7000mAhを経て、ついに1万mAhというマイルストーンに到達しました。これをいち早く日本のユーザーに象徴的な形で届けられた意義は大きいです。

 バッテリーはスマートフォンにおいて本質的な要素ですので、容量と安全性の両面で今後も進化を続けていきます。

シリーズ最上位モデルのみの投入となった「REDMI Note 17 Pro Max」

――1万mAh級の大容量バッテリーは、今後のProやUltraといった最上位フラッグシップモデルにも搭載されていくのか。

安達氏
 可能性はありますが、製品ごとの優先順位によります。たとえば今回の「REDMI Note 17 Pro Max」では3眼カメラを採用していません。大型のカメラモジュールを搭載するとバッテリー容積が削られるため、コストや全体のバランスを含めたトレードオフが発生します。今回のモデルは、よりバッテリー性能に特化した構造設計を行っています。

片山氏
 実際、SNSや消費者の声だと「僕が持ってるXiaomi 17 Ultraも1万mAhだったら良いのに」といった声がありますが、やはりそのバランスは見極めなきゃいけないところがあるから難しいところです。

シャオミ・ジャパン マーケティング本部 シニアIMCマネージャー 片山将氏

安達氏
 カメラモジュールが大きくなると、どうしてもバッテリーを入れられるスペースが減ってしまいますし、たとえば「REDMI Note 17 Pro Max」では、ワイヤレス充電が非対応になっているなど、構造的にトレードオフが発生してくるかなと思います。ただ、全体傾向としては大容量化へ向かっていくと考えています。

――競合他社も値上げを進める中、日本市場で特に注力したい価格帯や攻めどころはどこなのか。

安達氏
 幅広くモデルを展開しているため一つに絞るのは難しいですが、プレミアム帯においてしっかりと付加価値を提示し、ブランドとしての存在感を高めることが第一歩だと考えています。

 一方で、日本市場において「REDMI」のミドルレンジ帯は非常に重要なポイントです。エントリー層では機能面の妥協が必要になる場面もありますが、シャオミならではのユニークさやコストパフォーマンスを最も実感していただけるのがミドルセグメントです。

 部材高騰によりかつてのハイエンドの価格帯がミドルにシフトしていく中、この層へしっかりと魅力を訴求していくことが重要になると見ています。

――今回の「REDMI 17」が4G対応として投入されたのは意外だったが、現在も4Gスマートフォンの需要は根強く存在するのか。

安達氏
 需要はあります。「最も手頃なスマートフォン」を求める層や、買い替えプログラムなどを組まずに店頭で安価に持ち帰りたい層、または外国人旅行者などの実需要が根強く残っています。

――「REDMI 17」は、FeliCaだけでなくNFCも非搭載となっているが、最廉価エントリーモデルとしての割り切りなのか。

安達氏
 最廉価の4Gモデルとしてそのまま導入しているため、結果的にNFCも非搭載となっています。店頭や製品スペックでもその旨を明確に周知した上で展開していきます。

「REDMI 15 5G」はFeliCaも対応していたが、「REDMI 17」では4Gまでの対応でNFCも非対応

――3万円程度というニーズは強いのか。

安達氏
 価格高騰により5Gのエントリーモデルが4万〜5万円台にシフトする中、3万円前後の価格帯を実現するには4Gという選択肢が有効になります。

――5Gで3万円のエントリーを買っていた人が「この製品は4Gのみ対応?」と戸惑いそうだ。

安達氏
 そこは調べていただくしかないかなと思います。ただ、5Gのエントリーが5万円、4万円台になってくるため、まずは5Gモデルで検討される方が多いのではないかと思います。やはり、4G/5Gの差は大きいので……。

――中国でも需要は大きいのか。

安達氏
 中国ではなく、途上国市場です。インフラ整備の状況に応じて4Gモデルの需要は非常に大きいです。

 「REDMI Note 17」シリーズ全体でも、地域やニーズに合わせて5G版と4G版を細かく展開しており、世界的にはまだまだ4Gが主要な選択肢の一つとなっています。

――日本が途上国に近い購買力になった証とも言えるか。

安達氏
 まあ、そういう商品(4Gのエントリーモデル)の価格帯がそれなりの価格になってきちゃったということですね……。

――「5G SA(スタンドアローン)」への対応状況や課題はどうなっているのか。

安達氏
 技術的な準備は進めておりますが、現状のSIMフリーモデルにおいて一斉に対応できる環境には至っていません。

 キャリアモデルとして展開する製品では試験を経て対応しておりますが、各キャリアごとのネットワーク仕様への最適化など技術的な課題があり、順次対応を進めている段階です。

――折りたたみスマートフォンの日本市場投入について、これまで見送ってきた理由と今後の参入可能性について聞きたい。

安達氏
 弊社は「MIX Fold」や「MIX Flip」などで折りたたみ技術の開発を継続しており、中国市場を中心に展開してきました。しかし、グローバル市場全体で見ると折りたたみ端末のシェアは依然として1%程度にとどまっています。

 今後、市場の広がりや他社の動向を注視しつつ、単なる追随ではなく「シャオミらしさ」を備えた魅力的な製品を適切なタイミングで投入できるよう準備を進めています。

――日本市場に導入しているロボット掃除機など家電製品について、日本固有のローカライズやカスタマイズは行っているのか。

安達氏
 アプリや音声の日本語化、日本の法令・規格への適合は行っておりますが、商品自体の日本専用カスタマイズは行っていません。

――日本側からフィードバックをあげて、それが組み込まれたといったこともないのか。

安達氏
 品質面でのフィードバックは継続的に本社へ報告していますが、日本市場専用の小型モデル開発といったレベルでの反映は現時点ではありません。グローバルで実績のある優れた仕様の製品をそのまま導入することで、高品質な製品をお買い求めやすい価格で提供するアプローチを取っています。

 現状は量販店での店頭認知などに課題がありますが、Xiaomi Storeでの体験などを通じて徐々に浸透させていきたいと考えています。

――多数の製品を展開する中で、ガジェット層以外の一般ユーザーやファミリー層へ「Xiaomi/REDMI」ブランドを普及させるための今後のアプローチ施策について教えてほしい。

片山氏
 ご指摘の通り、「Xiaomi Store」の展開は非常に大きな役割を果たしています。出店先のイオンモール利用者でもまだシャオミをご存知ないケースがあるなど課題は残っていますが、今まで全く接点のなかったファミリー層などに徐々に知っていただける機会は増えてきたと感じています。

 これまでのプロモーションは、目前の売り上げを確保するためにガジェット関心層へかなりフォーカスしていました。しかし、今年に入ってからは裾野を広げる動きを強めています。たとえば、前回の「Xiaomi 17 Ultra」では丸の内で写真展のような体験会を開催するなど、製品の特性に合わせて「非ガジェット関心層」へのリーチを積極的に進めているところです。

 さらに今後は大型家電の展開も控えており、それらが登場することで「Xiaomi」を知ってくださる層が一気に広がると期待しています。その流れの中で、後続的にスマートフォンにも興味を持っていただけるような見せ方を考えていきたいと思っています。