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18年分の購買データから行動変化を検知、楽天が挑む「AIスーパーエージェント」

 楽天が考えるAIサービスの将来像はどのようなものか? 5日に開幕した同社最大のビジネスイベント「Rakuten AI Optimism」その一端が示された。

楽天グループの三木谷浩史会長

人間味を持つAIが必要

 楽天グループ 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は「AIと人間の差はどこにあるのか」と問いかける。人間の脳には約800億個の脳細胞と2兆を超えるシナプスが存在し、そこを電子が走ることで思考や記憶が行われている。一見するとAIのネットワーク構造と酷似しているが、三木谷氏は「AIには感情がない」と言われる理由について次のように語る。

 人間が愛や好きといった感情を抱き、現代において「推し活」に熱中する背景には、脳が単純な電子回路ではないという事実がある。脳内を走る電気信号に加え、ドーパミンやアドレナリンといった脳内物質(ホルモン)が分泌されることで、別の信号処理をするというのが三木谷氏の結論だ。

 この仕組みをマーケティングに取り入れる「ドーパミンマーケティング」を提唱し、楽天グループが目指すAIは単なる機能的ツールにとどまらず、最終的には人間味を宿した存在へと近づけていくことだと語った。

過去の履歴を把握してユーザーに寄り添うAI

 楽天は外部モデルの活用だけでなく、自社独自LLMの開発を進めてきた。同社では、LLMによる大量の履歴の処理に挑んでいる。ユーザーが長年積み上げてきた膨大な行動履歴や購買データをLLMに直接読み込ませ、傾向の変化を捉える試みで、実際に18年間におよぶ購買データを分析・検証した。

 2021年のコロナ禍に伴う在宅勤務の浸透をきっかけに、特定のガジェットブランドの商品を購入するようになった行動傾向の変化を、AIで検知することに成功した。顧客データを深く理解することで、ほかにはない質の高い顧客体験を提供できるようになるという。

 そうしたパーソナライズ技術を応用した未来の顧客体験として公開されたのが、開発中の「楽天AIスーパーエージェント」だ。楽天AIスーパーエージェントは、「サービス横断」「決済まで完結」「外部サービスとも連携」の3つを柱とし、楽天エコシステムをさらに拡大させる存在として位置づけられている。具体的な利用シーンとして、AIアシスタントに「9月に沖縄に旅行したい」と入力すると、AIが旅程と予算管理パネルを生成し、その後に詳細なプランが示される。AIはユーザーの家族構成、旅行履歴、カード利用傾向を記憶しており、これを基にプランをパーソナライズするという。

 「もう少しのんびり過ごしたい」と指示すれば即座にスケジュールが組み直され、カレンダーやタスクへの追加も完了する。また、持ち物リストの作成を求めると、去年の楽天市場での購入履歴から過去に旅行先で日焼けに困っていたことを読み取り、日焼け止めをリストに追加して同じ商品をワンタップで注文できるよう手配する。

 三木谷氏は「AIは、好きか嫌いかに関わらず、(ビジネスに対しての)激震」と語る。楽天グループはこの変化を乗り越えるため、マーケティング効率、オペレーション効率、そして加盟店やホテルの業務効率をそれぞれ20%向上させる「トリプル20」という目標を掲げている。