ニュース
楽天モバイル「Rakuten Link」はスーパーアプリを目指す――7月の「my 楽天モバイル」統合と通話品質向上の背景
2026年5月27日 00:00
楽天モバイルは26日、コミュニケーションアプリ「Rakuten Link」の今後の展開に関する記者説明会を開催した。
無料通話を最大の武器に成長してきた「Rakuten Link」が、単なる通話ツールを超え、楽天のエコシステム(経済圏)を統合するプラットフォーム、いわば「スーパーアプリ」へと役割を広げる方針があらためて示された。
2026年4月のアップデートで通話品質を改善
まず、利用者からの不満が多かった通話品質について、4月20日に改善のためのアップデートを実施。移動中の通話品質指標は、「Rakuten Link」同士で26%、他社携帯や固定電話宛で16%向上したという。
技術面の工夫について、詳細は明らかにされていないが、基地局と端末間のネットワーク接続を安定化させたほか、アプリ内での音声データの暗号化処理をよりスマートにしたことが寄与しているという。
あわせて会場では、AIを活用したノイズキャンセリングのデモンストレーションを披露。あえて砂嵐のような音を鳴らす環境下で、騒音を抑えて話し手の声が明瞭に届く様子が紹介された。
7月に「my 楽天モバイル」を統合、管理と利用を一本化
「Rakuten Link」は、2020年4月の「楽天モバイル」本格サービス開始と同時に提供が開始された。当初は国内通話無料を主軸とした通信アプリだったが、2023年8月にはデスクトップ版をリリースするなど、マルチデバイスでの利便性を高めてきた。楽天モバイルLink部シニアマネージャーの山田彩氏は、同アプリを「楽天モバイルユーザーとエコシステムをつなぐ架け橋」と定義する。
大きな変化として、2026年7月に契約管理アプリ「my 楽天モバイル」の機能を「Rakuten Link」内へ完全に統合する。
これまではデータ残量の確認や契約変更のために別アプリを開く必要があったが、今後は「Rakuten Link」ひとつで完結するようになる。
利用状況の確認から通話、メッセージ送信までをひとつのアプリに集約することで、利便性の向上とアプリの利用頻度向上を狙う。
月間5000万回を超える「エコシステム」への送客
楽天グループエコシステムプロダクト戦略企画部シニアマネージャーの山田浩史氏によれば、楽天グループとの相乗効果として、楽天モバイルユーザーは非契約者と比較して、楽天市場での年間購入額が約1.5倍(+48.8%)に達するという。
Rakuten Linkのホーム画面には楽天市場の公式アカウントやキャンペーン情報が集約されており、2025年12月にはグループサービスへの送客回数が月間5000万回を突破した。
さらに「Rakuten Link」の「スーパーアプリ」化の一環と言える機能のひとつが、楽天グループ内のサービスを横断検索できる機能だ。
楽天市場や楽天トラベルといった5つのグループサービスと連携し、検索や提案を実現した。
たとえば、楽天市場での商品探しや楽天トラベルでの旅行予約など、楽天グループの広範なサービスの中から、ユーザーの状況に合わせて提案する。1億人以上の楽天会員基盤を背景に、モバイルを入り口としたクロスユースの拡大が加速している。
2026年夏に「最強感謝祭」
今後の展開として、2026年夏頃に「楽天モバイル最強感謝祭」の開催が予告された。
楽天市場で最大50%OFF、楽天トラベルで最大20%OFFと、総額2億円相当の還元が予定されている。
質疑応答で明らかになった課題と展望
一方で、いくつかの課題も浮き彫りになった。
たとえばiOS版(iPhone版)の制約だ。アップル側の仕様上、海外での着信時に標準アプリに切り替わってしまう問題などは、現時点では根本的な解決に至っていない。
また、他社ユーザーとの壁も指摘されている。「Rakuten Link」は、もともと携帯電話サービスで広く利用されてきたSMSの後継規格である「RCS」をベースとしている。
しかし、楽天モバイルのユーザーだけが利用できるアプリでもある。競合他社は、「RCS」の導入を着々と進めており、先行するKDDIに続き、ソフトバンクが対応済み。今夏にはNTTドコモもRCSに対応。楽天以外はRCSでメッセージをやり取りできる環境になってきた。しかし、今回の説明会でも「Rakuten Link」での他社とのRCSでの相互接続について「決まったものはない」という回答に留まった。
主な一問一答
ここからは質疑応答の様子をお送りする。答えたのは、楽天モバイルLink部の山田彩シニアマネージャー、楽天グループエコシステムプロダクト戦略企画部シニアマネージャーの山田浩史氏、楽天モバイルLink部マネージャーの渡部巽巳氏。
――通話品質を向上させた技術について教えてほしい。また向上を示す指標とは、どういったものか。
渡部氏
技術的な改善点については、まず楽天モバイルとして、基地局と端末間のネットワーク接続の安定性の向上に取り組んでいます。
その上で、アプリ内部での音声暗号化処理をよりスマートなものに変更しています。また、ノイズキャンセリング機能を加えることで、改善に繋がりました。
指標については、非公開ですが、通信業界で利用されているものでも改善が見られています。
――Rakuten Linkの利用者数と、今後の成長の余地について教えてほしい。
山田(浩)氏
具体的な数字については非公開ですが、楽天モバイルをご契約いただいているお客さまの多くに、日常的に利用いただいています。
送客数については、まだ連携できていないグループサービスも多いため、今後さらに積み上がる伸びしろがあると考えています。
――楽天モバイルのエリア内でも、Rakuten Linkの通話が途切れたり、遅延したりすることがある。
渡部氏
確かにそういうケースはあると承知しています。日々、改善に取り組んでおり、たとえば移動中で、基地局と基地局の狭間での場面といったところで、遅延を制御する仕様などを取り込んでいます。
まだまだご迷惑をおかけするところもゼロではないと認識しているのですが、改善に取り組んでおり、お待ちいただければとお願いするところです。
――通話品質向上は、法人向けサービスでも適用されているのか。デスクトップ版は?
山田(彩)氏
今回のアップデートについては、まずはコンシューマー版を先行しています。Rakuten Link Officeへの導入については、現在技術的な検討を進めており、順次対応していく予定です。
渡部氏
デスクトップ版は、継続的にアップデートしています。ただ、今回紹介した内容は、スマホアプリ内の暗号化技術などになります。デスクトップ版は具体的にお伝えできるものがありません。
――品質が改善された「Rakuten Link」は、通話品質の指標であるMOS値などがどれくらいのレベルなのか。
渡部氏
開示はできないのですが、品質のアップデートをするときには、VoLTEと同じ場所、テストで、自信を持ったクオリティで提供しています。実際のVoLTEとも遜色がないと思います。
――音声のビットレートでどれくらい改善されたのか。
渡部氏
コーデックやビットレートは非公開なのですが、最適な技術を定期的にアップデートしています。快適に通話できるものを選択して通話できるよう実装しています。
――AndroidとiOSで品質に差はあるのか。
渡部氏
ローエンドのAndroidスマートフォンをお使いの場合でも、その時々のネットワークにあわせて最適なビットレート、ノイズキャンセリングで制御しており、「このスマホだから品質が悪い」といったことがないようにしています。
――Rakuten Linkでエコシステムと連携が強化される一方で、通話アプリとしては使いづらくなったという声もあるのではないかと思う。通話の画面を起動時に表示するといったことは検討しているのか。
山田(浩)氏
機能を追加したあとも、メッセージ・通話はしっかりご利用いただいていると思うのですが、アクセシビリティについてはご指摘のような側面もあると思います。
現時点ではまだまだ検討段階で、お答えできるものはないのですが、ご意見として今後検討していきます。
――デスクトップ版について、MacのAppleシリコン向けにも対応する計画はあるのか。
Mac版の最適化については、ユーザーの皆様から多くご要望をいただいていることは認識しており、段階的に対応していければと考えています。
――iPhone版では、海外利用時に標準アプリで着信してしまい、着信料が発生する。アップル側の仕様が要因だろうが、Rakuten Linkとしてサードパーティのアプリストアを介すなど、対応策はどう考えているのか。
山田(浩)氏
iOSの着信仕様については、認識しています。何か変更できないか、という点は、今の私たちからはお答えできないものになります。
――迷惑電話を着信拒否したくても、Rakuten Link内で設定できない。詐欺電話が増えるなかでの対策を採る考えは?
山田(彩)氏
迷惑電話の対策や、知らない番号からの着信については把握しています。
「Rakuten Link」内で対策しない理由について、現時点でお話できるものはないのですが、電話としての基礎よりもほかを優先しているのではないか、という指摘は社内でもあり、随時、そうした対応も今後広げられたらと考えています。
――迷惑電話を着信拒否したくても、Rakuten Linkをログアウトしないと端末標準の拒否設定が機能しないという理解でいいか。SMSの迷惑メッセージも「Rakuten Link」で対策できないということでいいか。
渡部氏
ご認識の通りです。
――他社のRCSメッセージとの相互接続についての考えは?
渡部氏
RCSの相互接続については、現時点で具体的にお話しできる決定事項はありません。




















