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ソフトバンクQ1決算は増収増益、セブン&アイ提携や決済強化で社会インフラ企業へ
2026年8月4日 20:58
ソフトバンクは、2026年度第1四半期連結業績を発表した。売上高は前年同期比9%増の1兆8147億円、営業利益は同4%増の3023億円と増収増益を達成。AI関連投資の収穫期入りや、セブン&アイとの資本業務提携、米国のAIインフラ事業進出など、通信会社から社会インフラ企業への進化を象徴する戦略が数多く示された。
全セグメント増収で一過性要因を乗り越え増益
ソフトバンクが発表した2026年度第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比9%増の1兆8147億円と好調な推移を示した。営業利益は前年同期比4%増の3023億円となり、進捗率は27%を確保。前年度に発生したLINEヤフー関連の一過性利益要因があったものの、全社的なコスト削減の取り組みが機能して増益を達成した。
純利益は前年同期比3%増の1501億円となり、こちらも進捗率27%と順調な滑り出しを見せた。すべてのセグメントで増収を達成しており、中でもエンタープライズ、ディストリビューション、ファイナンスの3事業が2桁の増収を記録した。
エンタープライズはAIデータセンターが牽引、セキュリティ新サービスも始動
エンタープライズ事業は、売上高が前年同期比11%増の2604億円、営業利益が同28%増の622億円と大幅な成長を遂げた。新設したクラウドAI領域の売上高が31%増と急成長しており、AIデータセンターの稼働が事業を牽引した。宮川潤一社長は、今年度よりAI投資が収穫期に入っていると手応えを語る。
セキュリティ分野では、システムの脆弱性判断から修正パッチの適用までを自動化する「PaaS(Patching as a Service)」の本格提供を7月14日に開始した。1000人規模の専門体制を構築し、インフラを担う法人顧客3000社への提供を目指す。8月1日から有料化を開始し、すでに対象顧客との商談が活発化している。
コンシューマはARPU上昇で順調な滑り出し
コンシューマ事業は、売上高が前年同期比4%増の7497億円、営業利益が同1%減の1529億円となった。顧客獲得費用の償却負担が重い時期のため微減益となったものの、進捗率は27%に達し、通期増益に向けて想定以上の好業績だという。
スマートフォンの通信品質向上やサービス強化により、モバイルARPUは前年同期比で60円上昇した。乗り換えを繰り返すホッピングユーザー対策を本格化したことで一時的に契約者数が減少したものの、解約率は大幅に改善した。
ファイナンスはSP.LINKS完全子会社化で決済首位へ
ファイナンス事業は、売上高が前年同期比27%増の1159億円、営業利益が同76%増の318億円と大幅な伸びを記録した。PayPayはT&Dフィナンシャル生命の連結子会社化を決定し、株式の70%を取得して保険分野を強化する。
オンライン決済分野では、SBペイメントサービスがSP.LINKS(旧ソニーペイメントサービス)を72億円で完全子会社化すると発表。この買収により両社のオンライン決済取扱高の合計は約13兆円に達し、業界トップの座が視野に入った。
PayPayも含めると、2025年度ベースで34兆円規模の決済インフラとなる。宮川社長は、中長期的に年間100億円程度のシナジーを期待する。
米国でAIインフラ事業を展開、子会社SBネオを設立
グローバル展開として、GPUクラウドやデータセンターのノウハウを活かした新会社「SB Neo」を米国に設立した。米国企業向けに「Infrinia AI Cloud OS」を活用したAIインフラサービスを段階的に提供する。資金調達はSPCを通じたノンリコースローンを活用する。
当初はSBエナジーへの出資を通じた進出を計画し、第1四半期に10億ドルを投じたが、役割分担の整理に伴い同社株の売却を決定した。売却価格は15億ドルを予定しており、売却益が発生する見込み。
これにより第1四半期のフリーキャッシュフローは1285億円のマイナスとなったが、第2四半期には売却収入が入るため財務への悪影響はない。宮川社長は、第2四半期決算で上方修正を検討する意向を示した。
主な質疑応答
――セブン&アイへの出資について、いつ頃から検討されていて、どちらから声をかけたのか。また、何億円のシナジーを目指すといった数値目標があれば教えてほしい。
宮川社長
いつから、どちらからかという詳細については憶測を呼ぶため回答を控えるが、1年以上前から様々な議論をしており、短期的な話ではありませんでした。
シナジー効果について、ソフトバンクとしては1000億円(3社合計3000億円)を出資するが、これはセブン&アイが目指す未来型コンビニのAI強化などのDX投資の原資となります。我々はそのビジネスパートナーとして協力させていただきます。1000億円の投資で3000億円規模の予算がある中、思い切った大改革ができると非常に期待しています。
――PayPayと合わせても出資比率は4%程度と小さく見える。もっと大きく出資して経営に踏み込んでいくのがソフトバンクのやり方ではないのか。
宮川社長
出資比率について、我々はコンビニ業界を経営したいわけではなく、小売業界全体のデジタル化やAI導入、効率化をサポートしたいと考えています。
今回のヒューマノイドやロボットも、AIが前面に出るにはまだ時期尚早であり、裏側で人間をサポートする形を想定しています。経営に口を出すための株保有ではないため、2%でも多いくらいだと考えています。
――今回の熊本地震では約30時間で通信が復旧したと伺っているが、改めて今回の対応を振り返ってどのような教訓が得られたか。
宮川社長
今回、復旧が早かったり倒壊が少なかったのは、たまたまその場所が被災を免れたといった偶然の積み重ねであり、他社よりネットが強かったなどと言うつもりはありません。停波した22局のほとんどは停電によるバッテリー切れが原因でした。
今回の教訓として、他社と相互に支え合う「JAPANローミング」が機能したことを挙げたいです。最初は我々が回線をお貸ししたが、バッテリーが切れるにつれて他社から借りる側にもなりました。
4キャリアが被災地をエリア分けして担当エリアをサポートし合えたのも、これまでの議論の成果であり、通信業界の災害への向き合い方は確実に強くなっています。
――今後も重大な災害の発生が多く予想される中、基地局が被災した場合の対応として、HAPSの活用など、現時点で検討していることはあるのか。
宮川社長
ちょうど現在、HAPSをアメリカから打ち上げて日本上空へ1週間かけて移動させているところだが、もっと早く打ち上げておけばよかったと思いました。将来的には日本国内に打ち上げ発射場を作り、1時間程度で上空に上げられる体制を作りたいです。
また、今回は災害対策でSoftBank Starlink Directが非常に役立っており、静止衛星も活用しています。将来HAPSが実用化されれば、災害時でも映像転送が可能な高速ネットワークを提供できるようになるため、急いで準備を進めたいと考えています。
――スマートフォンの契約者数が減少しているように見えるが、今後も減少傾向が続くと考えていいのか。
宮川社長
第1四半期は「ホッピングユーザー(他社への乗り換えを繰り返す顧客)」対策を厳しくやりすぎたため契約数が18万件減少したが、解約率は大幅に改善しています。7月の状況から見ても、第2四半期は減少せず、第3四半期以降は純増に転じると見ているので心配しなくて良いと思っています。現在が一番我慢のしどころだと考えています。
――NTTドコモがahamoのデータ容量を30GBから40GBに容量を増やしたが、料金競争に追随する考えはあるか。
宮川社長
ahamoの40GB増量については、現時点で追随するつもりはありません。中容量帯は競争が激しく、これ以上追従してもあまり変化はありません。我々には「増量オプション」などの組み合わせがあり、十分に競争力を維持できていると考えています。
――KDDIがローソンで店舗に深く踏み込んだ施策を行っている。ソフトバンクは「コンビニ経営には踏み込まない」とのことだが、セブン&アイの店舗運営のあり方についてどこまで関与するのか。
宮川社長
店舗の運営や経営には一切関与せず、あくまで「デジタル提案」をするビジネスパートナーに徹します。「バックヤードのこの位置にヒューマノイドを入れれば人件費を削減できる」「配送車の自動運転化」といった提案を行います。
ただ、ソフトバンクは自社でバッテリーの製造を開始しています。これ以上電力の発電・供給能力が上がらない日本において、街の重要拠点であるコンビニにバッテリーの配置を提案したいと思っています。これは災害時にも強固な電源ライフラインとなります。
――スマートフォンの価格が値上がりし、消費者が買いづらくなっている。また総務省の会合でホッピング対策は議論されたが、端末価格自体の引き下げへの変更はなかった。このような中、消費者の負担軽減や販売に向けてどのような対応を取るのか。
宮川社長
メモリー価格が大幅に上昇したため、下期のモデルから一部で影響が出始めます。ローエンドモデルについては大量に確保していたため今期はあまり影響ありませんが、ハイエンドモデルはお客様の負担が増えてしまうだろうと考えています。
価格が上がるとお客様の負担軽減には限界があるため、長く端末を使っていただくことを約束していただけるお客様に対して、しっかりと還元できるようなルール作りが必要だと思います。「ホッピングユーザー」とは真逆の、長期利用者を優遇するルール作りを業界として行っていく時期だと考えており、国などにも提案していきたいと考えています。














