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KDDI子会社の架空循環取引、発覚のきっかけは

 31日、KDDIが子会社で発生した架空循環取引について、特別調査委員会の報告書および今後の対策を発表した。

 架空循環取引の概要は2月に発表され、その詳細は追って本誌でもお伝えするが、そもそも、どうやって親会社であるKDDIは、子会社での不正に気づくことができたのか――。

 その経緯について、特別調査委員会の名取俊也委員長(新丸の内総合法律事務所弁護士)は、「2025年2月、KDDI本体の経営戦略会議で、当時の社長が懸念を示した」と説明する。

名取俊也委員長

 つまり、現会長の髙橋誠氏が、社長職にあった当時、指摘したということになる。だが、親会社からすれば、今回の不正は、子会社・孫会社の事業のひとつ。親会社のトップが、そこまで細かな点までチェックするのか。

KDDI 代表取締役会長 髙橋誠氏(写真は2025年2月のもの)

 特別調査委員会の報告書によれば、2025年2月の会議で、不正があった広告代理事業について髙橋氏から「あまりにも伸びているので怖い」「(ビッグローブの)通信より大きくなっている。事業として指標で管理していることを見せてほしい。これだけ伸びているといつか何かが起きるかもしれないので注意してほしい」などとの指摘が挙がり、「コンプライアンス的に問題ないか」との懸念が示されたという。

 さらに報告書では、こうした指摘をした背景について、髙橋氏は、「単発取引の積み重ねのため、売上が急激に落ちる可能性がある広告代理事業でありながら、その伸びが、主要事業である通信事業と比較して極めて大きくなっていたことを踏まえ、事業リスクがあると感じ」たと調査委員会のヒアリングに応えている。

 こうしたやり取りが生まれた背景に、現社長の松田浩路氏は、しっかりと解説。

KDDI 代表取締役社長 CEO 松田浩路氏

 2018年8月ごろには始まっていたとされる架空循環取引は、7年もの長期に渡って続いた。不正取引の舞台となったKDDI孫会社のジー・プラン、そしてKDDI子会社で、ジー・プランの親会社であるビッグローブでは、新規事業である広告事業だからこそ、知見がなく、不正に気づけなかったとされている。

 最終的に、雪だるま式に不正取引が拡大したことで発覚したことになるが、松田社長は、対策としてグループ内でのガバナンス強化などを掲げつつ、特にKDDIが事業戦略として、通信を軸に新規事業へ参入を続けていることを踏まえ「知見だけではなく、関心を持つことも重要」として、今後取り組む方針を示した。