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【一問一答】KDDI子会社で最大2460億円の架空取引、松田社長が語った「還流スキーム」

 KDDIは6日、連結子会社であるビッグローブおよびジー・プランにおいて、長期間にわたり組織的な架空取引が行われていた可能性があると発表した。現時点では、累計の売上高の過大計上額を約2460億円と認識している。

KDDI 代表取締役社長 CEO 松田浩路氏

 不正の内容は、広告主が実在しないにもかかわらず、複数の代理店を介して資金を循環させる、いわゆる循環型の架空取引。本件子会社の社員が、上流の広告代理店から受託した架空案件を下流の代理店を通じて還流させるスキームを構築し、複数年にわたり売上高などを過大に計上していたという。

 2025年12月、一部代理店からの入金遅延をきっかけに社内調査を実施したところ、具体的な疑いが浮上したという。

 現時点での影響額は、2018年度以降の全取引を対象に算出している。財務面への影響は大きく、累計で約500億円の営業利益の取消に加え、手数料などの名目で約330億円が外部に流出したと見込まれている。

 KDDIは、元最高検検事らを含む特別調査委員会を設置し、事実関係の解明と再発防止策の策定を進めている。今後、同委員会による調査結果によって、影響額が増減する可能性もある。

 代表取締役社長CEOの松田浩路氏は、経営トップとしての責任を重く受け止めていると述べるとともに、多大な迷惑をかけたとして謝罪した。

主な質疑応答

――5社にそれぞれ手数料が入っていたのか。

松田社長
 掲載媒体に入る広告料を含めて還流をしていました。

――不正計上はいつから行われていたのか。何人が関わっていたのか。

松田社長
 複数年だと認識しています。ジー・プランは2017年度、ビッグローブは2022年度から事業を行っています。今回はこの全てが架空取引と想定して算出しています。いつから、どこからなのかは特別調査委員会の調査中です。

 ジー・プランでは2名が関与していると認識です。この2名がビッグローブにも出向していました。2名が当社が認識しているのみで、正確性についても調査中です。

――KDDI本体の社員は関わっていないのか。

松田社長
 KDDIの取締役、社員は関わっていません。

――事業を始める前からスキームが想定されていたのか、事業が始まってからなのか。

松田社長
 近年になって額が高くなってきたため、管理の強化をしていかねばならないと。いつからいつまでが正規の取引だったかは、調査に委ねています。

――代理店も仲間じゃないとできないスキームだと思う。330億円の回収で損害賠償を請求するなど、想定しているか。

松田社長
 調査解明を待ちたいと思っています。それに応じて適切な対応をしていきたいと考えています。

――取り消した売上もそのまま架空取引の額ではないということか。

松田社長
 額が大きくなってきた時期からは架空取引だろうという認識でいます。

――2名、出向していたというのは、兼務できる権限があったということか。

松田社長
 ビッグローブが参入した際に担当していました。出向でも兼務の出向もあります。

――2025年12月中旬に架空取引の疑いがあったのか。

松田社長
 疑いを認識したのは、このときに発注を減らして、入金が滞った事をもって具体的な疑いの認識を示しました。

 10月には会計監査人から、不自然な取引の可能性について指摘がありました。このときは客観的な証拠を得られませんでした。

――外部流出としている部分は、何を示しているのか。

松田社長
 外部流出というのは、ジー・プラン、ビッグローブ以外に手数料として支払われたものです。

――原因について現時点でどのように考えているか。

松田社長
 原因の兆候を調査して、再発防止に努めています。請求書や契約書などの書面が存在していた、資金の決済の出入金も問題がありませんでした。取引の妥当性についてもビッグローブから問題ないとの回答がありました。

 上流下流まで、見に行かなかったことなどが、今後改善すべきポイントだろうと理解しています。

――どのように会社として、ガバナンスを担保していくか。

松田社長
 事業の拡大をしているので、社外取締役を含めて企業倫理をしっかりしていくと昨年から進めています。

 1点目として、KDDIフィロソフィを改めて、しっかりと繰り返し浸透させていくこと。2点目は未然に防ぐプロセス、兆候を踏まえた検知プロセスを磨きあげる必要があると思っています。

――掲載代理店の関与の度合いについて、不正に協力したのか、利用されたのかどちらなのか。

松田社長
 一部の代理店は連携があったと考えていますが、調査中です。

――これまでどのような監視体制を取っていたのか。

松田社長
 しっかりと請求書、帳票も揃っていて、ジー・プラン、ビッグローブで決済が行われていた認識です。

――下流内で、親子関係の企業が2社入る構造だった理由は。

松田社長
 途中からビッグローブが入った形です。ジー・プランに比べると信用度があったため、新規事業の開拓として参入しました。

――累計とはいえかなり巨額だと思う。1つ1つが高額だったのか、積算でこの額になったのか。

松田社長
 直近では数百億円が還流していました。毎月取引が増えていくことを前提としたスキームのため、この規模の売上高になりました。毎月の広告掲載に関わる手数料を各社とやり取りしていました。

――外部流出先はどういった会社なのか。

松田社長
 外部流出先企業については調査中です。大手広告代理店ではありません。

――今後、警察への相談や被害届の提出など対応は。

松田社長
 現時点では相談していません。進捗に応じて速やかに検討します。

――広告料の原資が必要だと思う。

松田社長
 もともとジー・プランとビッグローブの手持ちの資金がありました。それに加え、KDDIからビッグローブに対してグループファイナンスを行っていました。もともと通信に対しての投資として貸し付けていました。その一部が、還流の一部に使われたのではないかと想定しています。

――必ず掲載代理店が注文するようになっていたのか。

松田社長
 ジー・プランとビッグローブには、上流の会社との契約、下流の会社との契約があります。下流から先を見ていませんでした。

――なぜサプライチェーン全体で不正に気づかなかったのか。

松田社長
 取引自体は裏付ける証憑があったこと、実際に資金も動いていたことから正常なものと判断していました。客観的な証拠が見つからなかったため、長引いてしまいました。

――不適切に関与した広告代理店の規模感は。

松田社長
 複数社が関与しています。具体的な数は調査委員会の調査中です。