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イオンモバイルが10周年、新アプリや店舗受け取りサービスなど今後の戦略明かす

 イオンリテールのMVNOサービス「イオンモバイル」が、誕生から10周年を迎えた。あわせて専用アプリ「イオンモバイル公式アプリ」やオンライン申し込みと店頭受け取りサービスの提供が始まる。

イオンリテールの井原龍二氏(写真中央)

 16日、東京都内でイオンモバイルの10周年を記念した記者説明会と実際のユーザーがオンラインで参加した座談会が実施された。

誕生から10周年のイオンモバイル

 イオンモバイルは2014年、ほかの通信事業者と協業して通信と端末を提供する「イオンスマホ」として誕生。その後、2016年にMVNO型の携帯電話サービス「イオンモバイル」として通信市場に参入した。イオンスマホ時代から数えれば、12年の歴史を持つ。

 店内でMNOの代理店としての店舗も展開するイオン。その中で「料金が高い」「2年縛りが嫌」といったユーザーの声を聞き、イオンスマホが誕生。さらにイオンモバイルへとつながったとイオンリテール イオンモバイル商品統括マネージャーの井原龍二氏は説明する。

 契約回線数は、2021年度に純減に転じたが、2022年度以降は微増傾向で推移している。解約率も2025年10月~2026年2月の期間では1.19%と低水準を保っている。契約者の年齢層は、60代以上が4割弱を占めている。サービス開始間もない2017年のデータでは、2割弱にとどまっていた60代以上のユーザーが大幅に増加した。井原氏は「リテラシーの高い層のものだったMVNOが広く浸透した結果」と分析する。

 大容量をシェアすることで、月々の利用料金をおさえられる「シェアプラン」の利用は2021年度の料金改定後、家族での契約が増加。2026年2月末時点でのイオンモバイル全体の契約に占めるシェアプランの割合は4割を超える。

 ユーザーが契約している月間のデータ通信容量の平均は2017年には3.3GBだったが、この2月には8.7GBと大幅に増加。シェアプランの拡大や大容量プランの追加などもあり、20GB以上の契約が増えており、全体のおよそ25%のユーザーが20GB以上を選んでいるという。

安くて魅力的なサービスをつくる

 異業種から続々と参入が増えているMVNO業界。為替やエネルギー高など、市場環境を取り巻く環境は厳しい。MNOでは一部、料金プランの値上げに踏み切っているが、井原氏はイオンモバイルでの料金の値上げは考えていないと話す。

 一方で、2月には「イオンゴールドカード割」を発表した。イオンモバイルの毎月の月額料金をイオンゴールドカードで支払うと、オプション料金を含めた料金から5%が割り引かれる。株主優待で提供している基本利用料5%オフ特典とイオンゴールドカードのWAON POINT5倍を組み合わせると、基本利用料が実質12%オフとなる。

 イオンゴールドカードは、対象のイオンカードで年間50万円のショッピング枠利用で切り替えられる。イオンモバイルユーザーのイオン利用率は高く、この割引を受けられるのは全体の28%に達するという。井原氏は「イオンのロイヤルカスタマーにしっかりと安いサービスを提供したい」と狙いを語る。

 安さが魅力のひとつである以上、安易な値上げはユーザー離れにつながる。「料金は一番敏感な部分。しかし料金だけで(他社から)乗り換えてもらうのも難しい」と、慎重な舵取りが求められることを語る井原氏。

 異業種からの参入についても、MNOとは違う切り口でのサービスが広がることから業界としても望ましいとする。イオンモバイルは、全国に広がる店舗やMNOの代理店として得たスキルや知識を持つ人材、さらにイオンカードやイオン銀行などのアセットを強みと位置づける。

 「MNOのユーザーは世の中の80~90%くらい。市場に合わせた料金設定をしつつ、MNOユーザーがMVNOに乗り換えてもいいかなと思ってもらえるサービスをしっかり作っていきたい」と熱意を示した。

16日に都内で開かれた説明会には、実際にイオンモバイルを利用しているユーザーもオンラインで参加。契約のきっかけや魅力を話した

ユーザーからの声を拾い続ける

 今後の展開としては、3月26日に「イオンモバイル公式アプリ」がAndroidとiPhone向けにリリースされる。料金プラン変更のアクセスが容易になるほか、シェアプランの回線の一覧性を向上させた。さらに2026年上期中には対話形式で質問や手続きができるAIチャット機能が利用できるようになる。

 さらに同じく2026年上期中には「オンライン申し込み」と「店舗受け取りサービス」の提供を開始する。店舗での契約は、時間的に難しいことや待ち時間が苦痛といった声に応える。手続き情報はWebで入力し、スムーズに端末などを受け取れるもので、スマートフォンの使い方が分からないといった場合に向けて、有料設定サポートも提供する。

 井原氏は「これからも業界は変化していく。さまざまな事業者も現れてもっと活性化していくのではないか。そのなかで、ユーザーに寄り添った通信事業者としてこれからも頑張っていきたい」と語った。