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クアルコムが「Snapdragon Reality Elite」発表、XRデバイス向けの新プラットフォーム

 クアルコムは日本時間6月17日、XRデバイス向けの新たな最上位プラットフォーム「Snapdragon Reality Elite」を発表した。

 あわせて、スマートグラスなどの操作を拡張する第2世代のスマートリングや、AIグラスの開発を支援する「Snapdragon START」プログラムも公開されている。

新ブランドを冠した「Snapdragon Reality Elite」

 「Snapdragon Reality Elite」は、従来の「XR2」シリーズなどの命名規則を一新し、最上位ブランド「Elite」を冠したプラットフォームとなる。

 同社のスマートフォン向けチップセットでは「Elite」ブランドでも用意されている。ただ、今回は、そのスマホ向けに採用されている「Orion CPU」が採用されたわけではなく、XRカテゴリーにおける最上位製品を示すネーミングとなる。

 前世代の「Snapdragon XR2+ Gen 2」と比較して、CPUのパフォーマンスは最大30%、GPUは最大60%向上した。

 同時に電力効率も改善されており、同じパフォーマンスで比較した場合、CPUで最大45%、GPUで最大64%の低消費電力を実現した。

 プラットフォーム全体ではバッテリー駆動時間が最大20%延長されたほか、高負荷時でもデバイスの温度を最大12度低く保てるよう設計されている。

前世代「Snapdragon XR2+ Gen 2」との比較
  • CPUパフォーマンス:最大30%向上
  • GPUパフォーマンス:最大60%向上
  • NPUパフォーマンス:最大160%向上(48 TOPS)
  • バッテリー駆動時間:最大20%延長
  • デバイス温度:高負荷時に最大12度低下

 また、AI処理を担うNPUのパフォーマンスも前世代比で最大160%向上し、48 TOPSの処理能力を備える。

 オンデバイスで30億パラメータの小規模言語モデル(SLM)を実行できる。たとえば、通信環境の整備されていない工場などで、機器のメンテナンス時に3Dアバターを介したリアルタイムの対話型AIエージェントをオフラインで活用できる。

 具体的な処理能力として、オンデバイスで30億パラメータの小規模言語モデル(SLM)を実行した際、最初のトークン出力まで0.8秒、毎秒45トークンの速度(2Kコンテキストウィンドウ時)を実現する。さらに、Stable Diffusionを用いた512×512ピクセルの画像生成も約1.7秒で処理可能だという。

 XREALの「Project Aura」やPlay For Dreamの次世代デバイスへの搭載が決定している。

 視覚体験においては、片目あたり最大4.4K(90fps)の高解像度ディスプレイをサポートする
。また、周囲の現実世界をディスプレイ越しに映し出すビデオパススルー(VST)機能では、映像が表示されるまでのPhoton-to-Photon(P2P)レイテンシーが10%以上改善され、より自然な視界を実現している

分離型に対応

 また、「Snapdragon Reality Elite」はゴーグル単体で動作するオールインワン型に加え、プロセッサなどの演算処理ユニットをケーブル接続の外部パック(Puck)に分離したテザー型デバイスの双方に最適化されている。

 これにより、高解像度やAI処理性能を維持しつつ、より薄く軽量な次世代デバイスの設計が可能になるという。本プラットフォームはすでにXREALの「Project Aura」やPlay For Dreamの次世代デバイスへの搭載が決定している。

AIグラスの操作を拡張する第2世代スマートリング

 デバイスのエコシステムを補完する製品として、第2世代となるスマートリング型のコントローラーも発表された。内部にはワイヤレスイヤホンなど向けのチップ「Snapdragon S7+ Gen 1」が搭載されている。

 Bluetooth Low Energyと低電力Wi-Fiを利用し、ジェスチャー認識機能で指の軌跡をトラッキングしたり、ピンチ操作で項目を選択したりできる。マイクも内蔵されているため、周囲に聞かれることなく小声でAIアシスタントへ指示を出せる。

 コントローラーとしての機能に加え、心拍数やSpO2(血中酸素濃度)、睡眠品質、さらにはストレスなどの状態(コンテキストAIシグナル)を計測するヘルスケアトラッカーとしての機能も搭載されている。

 このリングはAIグラスだけでなく、車載インフォテインメントシステムやスマートフォンなど複数のデバイスをシームレスに切り替えて操作できる。

 メガネ型デバイスにディスプレイが搭載され、情報量が増えるなかで、リングが自然な操作インターフェースとして機能することを想定して開発。スマートグラスの重要なコンパニオンデバイスと位置づけてられいる。

AIグラス開発を容易にする「Snapdragon START」

 「Snapdragon START」は、これまでXRデバイスの開発経験がない企業でも、迅速にAIグラスを市場に投入できるようにする開発支援プログラムとなる。

 提供される超小型のモジュール(SiP)は、前世代の「Snapdragon AR1+ Gen 1」よりもさらに小型化されており、メーカーはより薄く軽いメガネ型デバイスを容易に設計できる。

 さらに、自社ブランドとしてカスタマイズ販売できるホワイトラベル製品も用意される。オーディオおよびカメラ搭載グラスはThundercommが、ディスプレイ搭載グラス(単眼および双眼)はApplied Materialsが開発し、JorjinやPegatronといった製造パートナーを通じて量産・展開される。