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京セラ、「ウェアラブル空中ディスプレイ」を試作
2025年12月23日 12:33
京セラは22日、光の波長ごとに集光位置を制御可能な「メタレンズ」の開発に成功したと発表した。また、同レンズの技術を使った「ウェアラブル空中ディスプレイ」の試作機を開発、2026年1月6日~9日に米国ラスベガスで開催される「CES 2026」で公開する。
光の色に応じて結像位置を変化
メタレンズは、ガラス表面に光の波長より小さな柱状構造「メタアトム」を並べることで光を制御する「メタサーフェス技術」が使われている。このメタアトムの設計により、光の波長や位相を制御するなど複数の光学特性を結合できるため、光学部品数を削減できる。
加えて、メタアトム自体が非常に小さく、従来厚みが1cm以上だった光学レンズが1mm以下の薄さで実現できるため、デバイスの小型化と軽量化が期待できる。
このメタアトムの設計技術を活用し、光の色に応じて結像位置を変化させる特性を持ったメタレンズを開発。たとえば、緑色は奥、赤色は手前、のように色に応じて結像位置を変えることで、ユーザーから見ると異なる高さに“像”を浮かび上がらせることができるようになる。
これらを組み合わせると、奥行き差がある立体映像を表示できるようになる。メタレンズの特徴を踏まえると、ウェアラブルサイズの光学系デバイスでも、自然な奥行き感を表現できるようになる。
ウェアラブル空中ディスプレイ
「ウェアラブル空中ディスプレイ」は、メタレンズと同社が高精細空中ディスプレイの研究で培った空中での映像結像技術を組み合わせて開発された。
身につけられるサイズまで小型化、軽量化された「奥行き感のある映像」を表示できるディスプレイとして、試作機を開発した。
今後は、さらに波長制御の自由度を高め、より多色で高精細な空中映像を表示できるようになる。微細構造の設計を高度化すれば、実写のような“滑らかな立体映像”を空中に投影する技術に発展できるという。
また、既存デバイスの小型化や薄型化、ウェアラブルデバイスの装着性向上にも応用できるといい、同社はメタレンズ設計を進化させることで、幅広い分野における光学技術の高度化に貢献するとしている。



