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グーグルが「プライベートAIコンピュート」発表、AI処理でプライバシー保護とクラウドの能力を両立
2025年11月12日 17:06
グーグルは11日(現地時間)、新たなAI処理プラットフォーム「プライベートAIコンピュート(Private AI Compute)」を発表した。
クラウドでのパワフルな処理能力を活かしつつ、ユーザーの個人データを、オンデバイスレベルで保護する。「Pixel 10」シリーズに搭載される新機能「マジックサジェスト」(Magic Cue)などを強化する。
プライバシー保護と高い処理能力を両立
プライベートAIコンピュートは、プライバシーを保護しつつ、大規模なAIモデルを駆動できるようクラウドの処理能力を用いるために開発された。
一般的に生成AI(大規模言語モデル)は、クラウド上で処理される。その際、ユーザーからすれば、プライバシーな情報をクラウドへアップロードすることにどうしても不安を感じる場面がある。
プライバシーや個人情報を守りながら、生成AIを活用する際には、サーバーに情報をアップロードせずにスマホ上だけで処理する「オンデバイス処理」が欠かせない。
とはいえ、AIのエージェントがトレンドのひとつとなり、これまでよりユーザーに寄り添ったパーソナルな提案を行うためには、オンデバイス(スマホ)の能力を超える高度な推論や計算能力が必要になる場合がある。
今回発表された「プライベートAIコンピュート」は、グーグルのAIモデル「Gemini」のうち、クラウドで動作する高性能モデルの速度とパワーを活用しつつ、個人のデータを非公開に保つことを目指して開発された。
ユーザーデータを隔離する多層的な保護メカニズム
「プライベートAIコンピュート」は、データを処理するための安全で強化された、分離された空間で提供される。グーグルによれば、「プライベートAIコンピュート」によって処理される機密データは、ユーザー本人だけがアクセス可能で、グーグル自身を含む他者はアクセスできない。
システムには、グーグル独自のプロセッサー(TPU、Tensor Processing Units)を搭載した統合技術スタック上で動作し、セキュリティ機能「Titanium Intelligence Enclaves(TIE)」が組み込まれている。
ユーザーのデバイスと、ハードウェアで保護された閉鎖的なクラウド環境との接続には、リモート認証(遠隔からの証明と整合性検証)と暗号化を活用。デバイスと保護されたクラウド環境を接続し、Geminiモデルが機密データを安全に処理する。
入力データ、モデルの推論結果、計算結果は、ユーザーからのリクエストを満たすのに必要な期間だけ保持され、ユーザーセッションが完了すると破棄される。
Pixel 10シリーズの「マジックサジェスト」やPixelのレコーダーで活用
最初の活用例として、まず「Pixel 10」シリーズの機能である「マジックサジェスト」が挙げられている。対象機種はPixel 10、Pixel 10 Pro、Pixel 10 Pro XL、Pixel 10 Pro Fold。
マジックサジェストは、チャットアプリ、通話、検索、その他のアプリ(マップ、ショッピングアプリなど)を使用していると、関連する情報や実行可能なアクションを提案する機能。プライペートAIコンピュートにより、提案が「よりタイムリーに」なるとされている。
さらに、Pixelの「レコーダー」アプリも恩恵を受ける。プライペートAIコンピュートの支援により、レコーダーアプリは、より広範な言語で文字起こしの要約が可能になる。
類似した考え方の仕組みは、アップルがApple Intelligenceでも導入済み。
