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LINEとYahoo!の「全サービスAIエージェント化」、本格展開は2026年以降に
2025年11月4日 19:15
LINEヤフーは、全社的な重要戦略として掲げる「全サービスのAIエージェント化」を2026年に本格化させる。1億人のユーザーに対し、検索やメディア、金融、コマースなどのサービスをAIエージェントを介してより便利に提供していく方針。4日に開催した2025年度第2四半期の決算説明会で明らかにした。
1億DAUを目指すAIエージェント化の目標
AIエージェント化の具体的な目標として、「1億人のユーザーが毎日、何らかの形でAIエージェントと接点を持つ状態=1億DAU(Daily Active Users)」を掲げる。この背景には、近い将来、ユーザーとの接点がAIエージェント経由になる可能性が高いという見立てがある。
足元の進捗としては、10月時点でAIサービスのDAUが860万人に達しており、とくにヤフー検索のAI回答や、LINE上でAIが返信内容を提案する「AIトークサジェスト」の利用が拡大している。「AIトークサジェスト」ではすでにユーザー課金も始まっており、収益化の取り組みがスタートしている。
同社は、多様なサービスを単一のID体系で包括している強みを活かし、日本国内でのAIエージェント化を一気に推進することで、独自の価値提供を強化する考え。
経営資源の再配置と費用削減計画
AI戦略の推進にあわせ、経営資源の最適化も進めている。
人的資源については、AIエージェント、公式アカウント、ミニアプリといった成長領域へ段階的にシフトする計画。2028年度までに、現状の人的資源の約50%を成長・新規領域に再配置する。
また、強固な財務体質の構築を目指し、固定費については2026年度に今年度比で150億円の削減を目標に掲げる。固定費削減は、AI活用による業務委託費(アウトソーシング)やソフトウェアライセンス料の削減など、将来的な効率化を見据えて進められる。
AI関連費用とサービス連携
AI関連投資については、大規模なデータセンター投資は実施しておらず、AI利用のためのサーバー更新は通常のデータセンターリプレースの範囲で行われている。そのため、現時点で大きな追加投資は発生していない。
一方で、他社の大規模言語モデル(LLM)を複数利用していることから、トークン単位で利用料を支払っており、今年度のLLM利用料は全体で約100億円を見込む。来年度以降は、特に検索分野でAI回答の出力割合をどこまで高めるかによって費用が左右されるが、増加傾向にあると認識している。とはいえ、前述の固定費150億円削減計画には、このLLM利用料の増加分も織り込み済みとしており、社内効率化によって吸収する方針。
AIエージェント化の展開としては、現在はLINEのトークサジェストやヤフー検索など、各サービス内での導入を優先的に進めている。サービス横断的な連携は、ニュースやコマースなど全体に広がる形で、来年にかけて本格化する見込み。
横断的な起点(入り口)としては、LINEトップまたはヤフートップのいずれかを中心に据える方向で検討が進んでおり、具体的な連携の形は、ユーザーの反応や各サービスの展開を見ながら決定していく。


