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LINEヤフー、次世代統合基盤とAI戦略を発表 AIで生産性2倍へ
2025年6月30日 13:34
LINEヤフーは、技術カンファレンス「Tech-Verse 2025」の基調講演で、今後の技術戦略の柱となる2つのトピックを発表した。サービス運営の最適化を目指すプラットフォーム統合と、「AIカンパニー」への進化を掲げたAI戦略を軸に、今後の取り組みを進めていく考えを示している。
プラットフォーム統合:CatalystOnePlatformの構築へ
LINEヤフーは、合併に伴う事業基盤の再構築に取り組み、多様なプラットフォームの統合を進めている。自社クラウドの活用によるコスト効率化をはじめ、認証や決済など共通機能を集約し、サービス運営の最適化を図る。
クラウド領域では、両社がそれぞれ運用してきたプライベートクラウドを統合する「Flava」を推進。年内に主要機能をリリースし、移行を本格化する計画。
さらにデータプラットフォームの統合も進め、機械学習基盤やデータ活用環境を整備。LINEとヤフーそれぞれの強みと課題を掛け合わせ、効率化と新たなサービス創出を目指している。
AI戦略:全サービスのAIエージェント化と生産性2倍へ
LINEヤフーは、今年「AIカンパニーへの進化」を公式に宣言し、2つの柱を掲げた。1つはすべてのサービスのAIエージェント化、もう1つは全領域の生産性を2倍に引き上げること。生成AIを積極的に活用し、より強いプロダクトと組織づくりを目指している。
ユーザー向けサービスでは、すでに44件のAI活用事例があり、さらなる拡大を予定。たとえば、Yahoo! JAPANアプリの「AIアシスタント」ではチャット形式で情報を深掘りできるほか、LINEでもPDFの翻訳・要約、画像内文字認識、AIによる会話提案機能が導入されている。今後はAIとの会話機能「AIフレンズ」の一部先行提供も予定。
Yahoo!ショッピングでも、ポイント還元日や類似商品の提案、レビュー要約機能がベータ版として展開されている。これらのAI機能には、AIエージェントのロゴが表示される。
業務生産性の向上でも、生成AIの活用を拡大。エンジニア領域にとどまらず、人事、法務、財務など非エンジニア部門でも導入が進む。
たとえば、カスタマーサポートではAIによる自動応答を導入し、主要サービスで92.1%の問い合わせが自動で完結。社内会議では多言語リアルタイム通訳ツール「Scout」を開発し、会議コストを約90%削減する効果が期待されている。
開発環境の進化を目指し、AI開発支援ソリューション「Ark Developer」も開発中。デザイン、コーディング、テストの各工程をAIで支援し、開発効率の向上を図る。
たとえば、UIデザインからコードを自動生成する「UI to Code」や、IDE上でのコーディング支援「Code Assist」、AIによるコードレビュー「Code Review」などを用意。PoCの結果、Code Assistは正答率96%、APIドキュメント生成時間は62.5%短縮、テストカバレッジは32%向上するなど、すでに成果が現れており、2025年には開発生産性を10%以上向上させることを目指している。
さらにAI開発では、データガバナンスと適正利用を重視し、国内外のガイドラインや規制に即した体制構築も進めている。
未来への貢献
LINEヤフーは、プラットフォーム統合とAI戦略を通じ、ユーザーに“WOW”な体験を届けるサービスと感動を支える基盤を築く。より安全に、早く、大胆に技術革新へ挑戦する姿勢を示しており、この取り組みがAIカンパニーとしての進化を支え、ユーザーの暮らしをより豊かにする未来の実現を目指している。














