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音質向上、通話しながらサクサク通信「VoLTE」、ドコモが6月末に
料金は現行プランのまま
(2014/5/14 11:56)
NTTドコモは、6月末にも新たな技術「VoLTE」(ボルテ)による通話サービスを提供する。対応機種は2014年夏モデルのうち、「ARROWS NX F-05F」「AQUOS ZETA SH-04F」「Xperia Z2 SO-03F」「GALAXY S5 SC-04F」「AQUOS PAD SH-06F」「Xperia Z2 Tablet SO-05F」。非対応機種、あるいは既存機種では今後も含め、利用できない。
料金は従来のまま
VoLTEは、Voice over LTE、つまり音声をLTEネットワーク上で運ぶ技術のこと。これまではWebブラウジングやアプリなどでLTEネットワークを使って通信する一方、音声通話は3Gネットワークに切り替えて、回線交換で行う。
パケット通信で音声データを運ぶ形は、一般的なIP電話アプリと同じように思える。ただし、IP電話アプリでは050番号だったり、LINEのようなアプリでは電話番号を利用せず同じアプリを使うユーザー間での利用となるが、VoLTEはこれまでの通話と基本的に同じで090/080/070番号が利用でき、通話料も従来と同じ、緊急通報も利用できる。また音声通話が優先的になるよう制御され、品質を確保する。こうした点を踏まえて、ドコモでは「高音質」「発着信が早い」「高速マルチアクセス」「ビデオコール」という4つの特徴を打ち出す。
特徴は4つ
音声品質のスペックはどの程度違うのか。これまでの携帯電話の通話は、300Hz~3.4kHzの間の音(周波数)に対応していた。一方、VoLTEでは50Hz~7kHzとなり、より低い音、より高い音を伝送できる。発着信は、3Gの約半分の時間とのことで、電話をかけてから相手の電話で着信音が鳴り始めるまで、約6~8秒かかっていたものが、約3秒で鳴り始める。
「高速マルチアクセス」とは通話中でも、従来より高速にWebブラウジングなどが利用できるというもの。先述した通り、これまではLTEで通信していても、電話がかかってくると3Gに切り替えて通話していた。この仕組みは回線交換フォールバック(CSFB)と呼ばれ、通話だけではなく通信も3Gに切り替わっていた。ところがVoLTEになると、LTE方式で通信しつづけるため、通話中のデータ通信が高速になる。
そして「ビデオコール」は、いわゆるテレビ電話のこと。かつてのFOMAでも実現していた機能ではあるが、解像度などがスペックアップ。ビデオコール利用時、音声は先述したVoLTEのスペック(50Hz~7kHz)で利用し、映像部分はかつて176×144ドット(最大15fps、MPEG4)だったところ、320×240ドット(20fps、H.264)で利用できる。なお、ビデオコールの映像部分の料金は、一般的なパケット通信と同じ扱い。1分ほどのビデオコールで、通信量は約6MBになるとのこと。ただし、2015年9月までは無料となる。音声通話部分は、従来の20円/30秒、あるいは通話定額プランの対象だ。
通話中もエリアメール
これまで、3Gネットワークに接続して通話している際には、緊急地震速報などのエリアメールを受信することはできなかった。
一方、VoLTEでは通話中でもエリアメールを利用できるようになる。
VoLTEを利用できるのは?
VoLTEでの通話は、発信・着信の両方が対応機種の場合のみ。それも両者がLTEエリアにいる必要がある。
それ以外は全てこれまで通りの通話になる。たとえばVoLTE対応機種であってもLTE圏外で3Gエリアの場合は3Gでの音声通話になり、非対応機種や他社の携帯電話との通話もこれまで通り。
発信・着信の一方だけがVoLTE対応機種で、LTEエリアにいる場合、対応機種はVoLTEで通話することになる。たとえばVoLTE対応機種で電話をかけ、相手が非対応機種だったりLTE圏外だったりすると、かけた側だけVoLTE、着信側は3G音声、ということになる。片方だけがVoLTEの場合は、高品質通話やビデオコールは利用できないが、高速マルチアクセスや通話中のエリアメール着信、スピーディな発着信(VoLTE側のみ)は利用できる。ドコモのVoLTEサービスは、国内最初のサービスということもあり、他社と相互接続していない。固定電話宛であっても、これまでと同じ通話品質になる。
もし、VoLTEで通話中、3Gエリアに切り替わると、通話は一瞬途切れて3Gでの通話に切り替わる。その後LTEエリアに戻っても3G通話のままで、VoLTEには戻らない。またビデオコール中に3Gエリアに入ると通話は切れてしまう。ただし、今後は、映像だけ切断されて、音声通話は続く形になるよう、改善される予定。