ニュース

どうなる? ソフトバンクのSprint Nextel買収、米DISHも名乗り

 米DISH Networkは、ソフトバンクが買収交渉を進めている米携帯電話事業者Sprint Nextel(スプリント・ネクステル)の取締役会に対し、255億ドル(約2兆4822億円)で買収提案したことを明らかにした。

 ソフトバンクの買収計画は201億ドル、米DISH Networkはそれを上回る255億円で買収提案した。255億ドルのうち、173億ドルが現金で、残りの82億ドルが株式となる。DISHの4月12日の終値で計算した場合、Sprintの株主は1株あたり7ドルを得ることになる。

 DISH Networkでは、今回の提案が、協議中のソフトバンクの提案よりもSprintの株主に利益をもたらし、DISHとSprintの連合はシナジー効果を生むことをアピールしている。DISH Networkは米衛星放送事業者で、顧客規模は約1400万人。

 ソフトバンクは2012年10月、Sprint Nextelを買収することを発表。国内で行われた会見には、ソフトバンクの孫正義氏とともに、Sprint Nextel CEOのダン・ヘッセ氏が登場し、握手を交わした。2013年3月のソフトバンクの発表会では、孫氏が買収を巡る手続きが順調に進んでいると話していた。

 DISHの発表に対しソフトバンクは、「(DISHの買収提案は)前提条件が非常に多く、準備段階の内容」と発表している。ソフトバンクの提案は、短期的にも長期的にもSprint株主により利益をもたらすとしている。ソフトバンクとSprintの取引は7月1日にも完了する予定という。

 ソフトバンクはこれまで、買収取引の完了時期について、2013年半ばと発表してきた。今回のDISHの発表を受け同社は、取引完了日の具体的な時期を明らかにした。なお、7月1日に決めたのは4月16日とのこと。DISHの買収提案により、この完了予定日が伸びるかどうかは現時点で不明だ。

 ソフトバンクでは、米国での監督官庁による審査など、すでに必要な承認が得られる段階に来ていると話している。DISHの提案によって、ソフトバンクの買収額が積み増される可能性については、「とくにコメントはない」としている。

【お詫びと訂正 2013年4月16日17時15分】
 記事初出時、「なお、7月1日に決めたのは昨年10月15日の発表の段階とのこと。」と記載しておりましたが、その後、7月1日と決めたのは4月16日であることがわかりました。お詫びして訂正します。

津田 啓夢