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メルカリ、MVNOで通信事業に参入 “ギガ”売買と手軽さで魅力伝える
2025年3月4日 18:56
メルカリは、MVNO事業者として通信事業に参入することを発表した。4日から、モバイル通信サービス「メルカリモバイル」を展開する。月額利用料金は990円~。個人間で通信容量の売買ができる機能を備える。
月額990円~、“ギガ”の売買が可能
メルカリモバイルは、NTTドコモ回線を用いるMVNO型モバイル通信サービス。料金プランは2GB/990円、20GB/2390円の2種類。音声通話、SMS、データ通信を利用できる。契約事務手数料は3300円。
特徴として“ギガ”をメルカリのように個人間で売買できる機能を持つ。コメントや評価機能などはない。通信容量に余裕がある人と、通信容量が足りない人をマッチングするとしており、1GB単位から売買できる。1GBあたりの価格は200円~500円の範囲に制限される。メルカリ公式でも1GB/550円で通信容量を販売する。
メルカリ公式の販売分を含めて追加購入したギガを売ることはできない。また、購入した通信容量は月をまたいで繰り越せない。追加購入分の通信容量は、プランに付帯する通信容量の消費が優先される。
当初はeSIMのみで、今後はSIMカードの提供やau回線、通話定額なども利用できるようになる予定。支払いについても当初はメルペイ/メルカードのみだが、今後は拡充も視野に入れる。月間2GBと20GBというプラン体制は分かりやすさを狙ったもので、大容量は20GBで必要十分、2GBプランでは通信容量が足りなかったとしても、通信容量の売買機能で補完できるとする。完全オンライン限定で、オフラインで展開する予定はないという。
手軽さで乗り換えを促す
メルカリ 執行役員CEO Fintech 兼 新規事業責任者 兼 メルペイ 代表取締役CEOの永沢岳志氏は、メルカリが「価値の循環」としてフリーマーケットをはじめ、金融サービスやスキマバイトなどを提供していることを紹介し、今回の通信サービスを「新たな価値を循環させる新規事業」と説明する。
MNOのメインブランドのみならず、サブブランドのほかMVNOも安価な通信サービスとして注目を集める一方、メルカリによればキャリアの乗り換え経験が豊富な人は決して多くなく、全体の6割超がキャリアを乗り換えたことがない、または1回しか乗り換えた経験がないという。「乗り換え手続きが面倒だから」というのが大きな理由にあげられる。
さらに、既存の料金プランの「柔軟さ」の不足や契約したプランと実際の利用実態にはギャップがあるとも指摘する。全体の6割超は契約容量を余らせており、反対に3割超の人は契約容量が足りないと感じているという。通信容量が足りないという人のうち4割超は追加で通信容量を購入している。
こうした実態を背景に、メルカリモバイルでは、メルカリアプリ内で申し込みが完結するという手軽さや日本初とする通信容量を個人間で売買できる機能で、より柔軟な利用ができるといった点をアピールする。永沢氏は「メルカリでものを売ってギガを買う、ギガを売ってメルカリでものを買う、暗号資産・NFTを買う、メルカリハロで働いてスマホ料金を支払うということがメルカリのなかでできる」と、その魅力を語る。
メルカリでは、月末に通信容量が余る・足りないというユーザーが出ると見る。サービスの仕様上、通信容量の翌月繰越ができないため、売り時・買い時の見極めが必要とも考えられるが、永沢氏はプランは一定期間での見直しも考えているとして「半年くらい(いまの形で)提供し、反応を見て需給にあわせた変更をしてより多くのユーザーに使ってもらえるようにしたい」と話した。
通信プランの流動性は今後も動きがあるとみられることが、今回の通信事業参入のきっかけのひとつにもなったと永沢氏。今後、メルカリやメルカードユーザーに対してモバイルがお得になるなど、他サービスと連携した施策なども検討されている。メルカリモバイルは、iOS版が先行して提供され、Android版は後日提供される予定となっている。