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沖縄で徐々に浸透する「mobi」、高齢者から学生まで利用する日常の移動手段に
2024年11月6日 00:00
次世代モビリティサービス「mobi」が沖縄県で徐々に根づき始めている。同県南風原町(はえばるちょう)では7月に実証実験としてmobiを導入。町全体でmobiの利用が可能になっている。
mobiは、KDDIとWILLERが出資するCommunity Mobilityが運営する乗り合い型の移動サービス。スマートフォンアプリから乗車を希望でき、AIで最適なルートを設定しつつ運行される。南風原町の場合、30日/5000円の定額プランのほか、6回乗車/2500円、1回乗車/500円のプランが設定されている。
沖縄県那覇市に隣接する南風原町(人口約1.7万人)では、7月から実証実験のかたちでmobiを導入した。同町は、高齢化による移動弱者の増加や路線バス網が町内の一部にしか伸びていないといった交通課題を抱えている。2040年まで人口増加が続くと見込まれる一方、子育て世代も送迎などの負担が大きいという。そこでmobiの導入に至った。
mobiアカウント登録数は600(一部町外含む)ほど。開始から3カ月間での利用回数は4000回に上る。町担当者によれば、滑り出しとしては好調。ショッピングセンターや運動施設などでの利用が目立ち、高齢者から「外出の機会が増えた」「買い物しやすくなった」という声が聞かれているという。町内の乗降場所は376カ所。沖縄セルラーやローソン沖縄の協力で、町内の店舗が乗降場所として指定されている。
利用層としては10~80代と幅広いが、なかでも30~40代の利用も多いという。子どもの送り迎えなどの需要があるとみられる。全県から生徒が集まるという進学校もあるが移動に不便な立地ゆえに、学生の間でも移動手段として利用されるケースもあるようだ。学校近くのローソンなどで乗り込み帰宅するのだという。定額乗り放題のプランでは、家族会員を1人につき500円で追加できるなど、家族でも使いやすい。
取材に応じた南風原町に住む70代の女性は「バスは無駄な時間が多い。タクシーは家の前まで来てくれる(ので便利だ)けど、mobiなら経済的な負担が低い」と話した。
mobiは、南風原町周辺の自治体からの関心も惹きつけており、情報交換を行っているという。町民からはより広域でのサービスを求める声もあり、実現すれば利便性はさらに高まりそうだ。同町では3年ほどの実証期間を経て、本格的なサービス提供に踏み切りたい考えも示している。