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KDDIとWILLERの定額乗り放題「mobi」、そのビジョンとは

 KDDIとWILLERによる合弁会社であるCommunity Mobilityは21日、設立発表会を開催した。

 発表会では、同社代表取締役社長の村瀨茂高氏と、代表取締役 副社長の松浦年晃氏が登壇し、事業内容に関するプレゼンテーションを実施した。

 本記事では、プレゼンテーションのほか、質疑応答や囲み取材の様子の一部もお届けする。

左:松浦氏、右:村瀨氏

村瀨氏のプレゼン

 村瀨氏のプレゼンでは、Community Mobilityの事業内容が紹介された。

 同社は4月1日から、エリア定額乗り放題「mobi」の運営をスタートした。同サービスは、KDDIとWILLERの両社によってすでに提供が始まっていたもの。新会社の始動で、運営元が切り替わった。

村瀨氏

 Community Mobilityが目指すのは「ニューノーマルの先の新たな移動サービス」。村瀨氏は、「社会課題の解決に加え、(コロナ禍で制限も多かったが)今後は健康的でワクワクするような移動体験を創出したい」と意欲を見せる。

 続いて村瀨氏は、「人とひと、人とまちをつなぐ」というキャッチフレーズを紹介。カンパニーカラーについては「“健康”や“エコロジー”といったイメージから、ブルーやグリーンをかけ合わせた」と語った。

 Community Mobilityが提供する「mobi」は、半径2km程度の“生活圏”を想定した、エリア定額乗り放題サービス。基本は30日間5000円のサブスクリプション型で、特定のエリアであれば乗り放題となる。アプリや電話での配車依頼に対応し、都度課金でも利用できる。

 従来サービスが提供されていた東京都・渋谷区などの3エリアに加え、4月からは新たに3エリアが加わった。

 2021年6月30日~2022年4月19日までの国内全エリアにおける総ライド数は約4万回にのぼる。村瀨氏によれば、「mobiによってライフスタイルに変化があった」と語るユーザーも多いという。

 続いて村瀨氏は、4月1日にサービスが始まった大阪市北区・福島区の状況を紹介。これらのエリアにおける4月19日時点での会員数は1300名で、そのうちサブスクリプションの会員数が700名。総ライド数は約2500回となっている。

 村瀨氏はこうした数字について「順調で、需要があると思っている」とコメントした。

 今後「mobi」が展開を予定しているエリアは、計22エリア。すでに実証実験が終わったエリアに加え、これから検討を進めていくエリアも含まれている。

 Community Mobilityでは、各地域ごとの課題などを調べ、利用者の声にも耳を傾けつつ、その地域にフィットするようなかたちでのサービス化を検討していく。

 また、他業種とのコラボレーションも促進。移動に対して「教育」「エンタメ」などの要素を組み合わせ、移動総量の増加を図る。

松浦氏のプレゼン

 続いて登壇した松浦氏は、「mobi」のポイントとして、「データに基づいたサービス提供」「生活に密接なパートナー企業連携」の2つを挙げた。

松浦氏

 「データに基づいたサービス提供」では、KDDIの人流データを活用してユーザーの移動の流れを把握し、快適な移動サービスの提供につなげる。

 また、「生活に密接なパートナー企業連携」では、「mobi Partners(モビパートナー)」と称してさまざまな企業と連携する。今回はその第1弾として、イオンタウンやイーオン、吉本興業との協業が発表された。

 こうしたパートナーシップは今後も拡大予定で、「mobi」においてさまざまなコラボレーション施策が実施される。

発表会には、ゲストとして吉本興業の芸人たちも駆けつけた。中央は村瀨氏と松浦氏

質疑応答

――会員数の最新の状況を教えてほしい。また、今後の目標は。

村瀨氏
 昨年12月の7000に対して、現在はだいたい1万2000。

 ただし、「数が多いからいい」というよりは、しっかり使っていただけるほうが重要だと考えている。

 「目標の数値を達成できるよう会員数を集める」ということよりも、「先ほど紹介した22のエリアにおいてどれだけ課題を解決できるか」「利用者の方々にどれだけいいサービスを提供できるか」という部分に力点を置きたい。

――現在サービスが提供されている6エリアに対して新しく16エリアが加わり、22エリアとなった。新エリアでのサービス開始はいつになるのか。

村瀨氏
 新たなエリアのすべてでサービスを開始できるというわけではないが、サービス開始は夏ごろを目標としている。

――KDDIからの人流データを分析することで、どのあたりが効率化されているのか。

松浦氏
 人の流れが見えるので、たとえば「どの位置に車両を置いたらいいのか」というところは非常に効率化されている。

――事業自体の収益性についての考えは。

村瀨氏
 いくつかのモデルを検討しながら事業性を担保したい。

 明確に言い切れない部分もあるが、地域あたり4000世帯~5000世帯という単位があれば、事業として成り立つのではと思っている。

――「mobi」におけるサービスの運行を担うタクシー事業者とは、直接の競合になりそうだが。

村瀨氏
 たしかにタクシーと競合すると思われがちだが、相乗りのシステムがあることなどを考えると、どちらかと言えば「バスとタクシー」の間くらいのサービス。

 そういう意味では、“新しい市場”とも言える。サービスを提供するなかで、今後もブラッシュアップを重ねていきたい。

囲み取材

――利用者の中心はどのような層になるのか。

村瀨氏
 一番多く使われるのは、小さなお子さんがいる世帯。

 「オンデマンド交通の実証」というと、シニアの方の免許返納をイメージされるかもしれないが、小さなお子さんがいる世帯は買い物や送迎などで外出機会も多いので、そういう意味では家族連れが大きなターゲットになる。

――新たに提供が始まった大阪エリアについて、エリア設定には何か意図があるのか。

村瀨氏
 現時点で梅田エリアは入れていない。渋滞時間などを踏まえて、たとえば「渋滞すると次の利用者へのサービス提供に支障が出る」といった理由などで外したエリアがある。

 「毎日生活するところをどれだけ効率的に移動できるか」というコンセプトなので、梅田に毎日買い物に行く人はあまり多くないだろうということを考えると、ここは我々の仕事ではないのかなと思っている。

――今後の公共交通機関との連携は。

村瀨氏
 まず、バスとの連携は積極的に進めていきたいと考えている。それから、「mobi」を利用している方がタクシーを利用するようなケースも増やしていきたい。あと、鉄道はローカル鉄道から、と思っている。

 「mobi」を使っていただき、その先をどれだけ広げられるかが重要になると思う。いろいろな仕組みを検討していきたい。

――外部のマップアプリなどとの連携についてはどう考えているのか。

村瀨氏
 閉鎖的にならず、いろいろなアプリと連携していくことが重要な時代になったと思う。

 現時点で具体的にこのアプリという話はないが、思想としてはそういうことになる。

――売上目標について教えてほしい。

村瀨氏
 まだ発表する立場ではない、というのが正直なところ。サービスとして地に足がついてからの話だと思っている。