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IIJの2023年度決算、モバイル事業「大容量プラン」好調などで業績伸長

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2024年3月期の連結決算を発表した。あわせて2024年度~2026年度にかけての新中期経営計画も明かされた。本稿ではモバイル事業を中心にお伝えする。

左からIIJ 渡井氏、勝氏、鈴木氏

前期比増収増益も期初見通しは未達、大型案件の獲得に注力

 売上高は2760億8000万円、営業利益は290億3000万円だった。前期比で増収増益だったが期初見通しは未達という結果となった。IIJ 勝栄二郎社長は、同社が大型案件の獲得に注力しているためと説明。

 実際に大型案件の受注は前年度比でも3割超伸びるなど、好調であるが時間がかかるビジネスということもあり受注残が多いことから、今回の決算結果に結びついた。収益化するまでには時差があるが一時的なものとの認識を示した。

モバイル事業好調

 モバイルでの売り上げは461億4000万円。個人向けサービスのIIJmio単体では219億6000万円で前年度比4億8000万円増だった。第4四半期末時点での回線数は127万4000万回線で第3四半期比で3万6000万回線伸びた。

 IIJmioでは、3月から最大で月間50GBまでの大容量プランの提供を開始しており、インバウンド向けのプリペイドSIMもあわせて個人向けモバイルの伸長に寄与した。勝氏によれば大容量プランは「思ったより好評」という。引き続き、MVNOにおけるシェアでは2位のNTTドコモ(旧NTTレゾナント)を引き離してトップに立っている。

 品質低下が指摘されるドコモの回線問題については、IIJmioユーザーからも苦情が出ていたというが、勝氏によれば苦情の件数としては減少傾向にあるという。同日に開かれたNTTの決算会見で、ドコモの新社長に就任した前田善晃氏は会見の場で「通信品質への不満やサービスの使い勝手など一つひとつの声と誠実に向き合い、解決していく」とコメントしている。

 モバイル事業全体は法人向けサービスがけん引。IoT需要などで引き合いが強かったという。CFOの渡井昭久氏は「フルMVNOに取り組んで差別化を図ってきたことで法人モバイルの強みが中期的にもよくなってきた」と評価した。

新中期経営計画発表

 決算とあわせて、IIJでは2024年度~2026年度の新中期経営計画を発表した。システムインテグレーションやネットワークサービスで増収増益を目指すほか、大規模な取引などの獲得を目指すなど、既存ビジネスの中核のさらなる強化を目指す。

 また新領域の創出としてデータ活用ビジネスの実践、データ流通の仕組みや運用など、データドリブンな社会への取組みやディーカレットを通じてのデジタル通貨の普及などが示された。

 2026年度には売上高1.4倍、営業利益1.6倍を目指す。中長期的なビジョンとしては売上高5000億円規模を目標とする。