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整備済みスマホでもっと“エコ”に、Back Marketが目指す世界

 端末の製造過程でリサイクル素材の部品を使ったり、包装からプラスチック素材を可能な限り排除したりなど、地球環境に配慮したサステナブルな取組みが、スマートフォンをはじめとする電子機器の分野でも広がりを見せている。

 そのような状況のなか、「そもそも新しいものを過剰に作らず、今あるものをより活用できる世界にする」というビジョンを掲げ、中古品などを整備した“リファービッシュ品”のスマートフォンの拡大を目指すのが、フランス・パリに拠点を置くBack Market(バックマーケット)だ。

 16日に開催された「Back Market メディア向け説明会」には、Back Market共同創業者兼CEOのティボー・フグ・ド・ラローズ(Thibaud Hug de Larauze)氏、CCO(最高商業責任者)のマーティン・ウグリ(Martin Huegli)氏、リファービッシュオペレーションマネジャーのケウィン・シャロン(Kewin Charron)氏、Back Market Japan代表取締役の山口亮氏が登壇し、事業戦略などを紹介した。

ティボー・フグ・ド・ラローズ氏
マーティン・ウグリ氏
山口亮氏
ケウィン・シャロン氏

 Back Marketのミッションは、販売に限らず買取りや修理を通じ、電子機器の寿命を長くするというもの。高品質なリファービッシュ品を、新品に代わる選択肢として消費者に提供することで、資源の枯渇や電子ゴミ、過剰消費といった課題の解決を図る。

 2014年11月にフランスで設立されたBack Marketは、2018年2月に米国での事業を開始。その後2021年3月には日本での事業が始まり、現在では18カ国でリファービッシュ品専門サービスを提供している。

 日本語では「整備済み製品」と呼ばれるリファービッシュ品は、中古品や、初期不良などで返品された製品を修理・調整し、新品同様に使える状態で出荷したもの。物価高騰などで中古スマートフォンの需要が高まるなか、“第三の選択肢”として注目されている。

 Back Marketによれば、2023年に世界のスマートフォンの売上高は3.2%減少したが、同社のリファービッシュ品の売上高は20%以上増加したという。

 ビジネスモデルとしては、Back MarketがWeb上のマーケットプレイスを提供し、商品を売る業者と消費者をつなぐ。カスタマーサポートや厳格な審査などを通じてリファービッシュ品の品質を維持しつつ、Back Marketは手数料で利益を得ている。

 日本の中古・リファービッシュ市場の規模は2022年時点で2.9兆円となっており、2009年以降13年連続で拡大しているという。また、将来的な伸長も見込まれる。

 山口氏は「広告を含め、リファービッシュ品の存在を人々へ伝えていく活動にフォーカスしている。結果として我々の売上につながり、ひいては(環境面などで)世界を変えていく一助になれば」と語り、今後への意欲を見せた。

リファービッシュ品の品質をチェックするデモンストレーション。画面の反応に問題がないかを確かめている