「ROG Phone 9」シリーズ、AIの進化と個性が主張できる最強ゲーミングスマートフォン

　「Zenfone」シリーズなどでおなじみのASUSからゲーミングスマートフォンの新モデル「ROG Phone 9」シリーズが登場した。最新のチップセットをはじめ、独自の大容量デュアルバッテリー、日常生活にも便利なおサイフケータイ対応など、ゲーマーのためのモデルに仕上げられている。実機を試用することができたので、レポートをお送りしよう。

時代と共に拡がるゲーム環境

　昨年の「ROG Phone 8」シリーズのレビューでも触れたが、ゲーム体験やゲームの楽しみ方は、世代や環境によって、大きく異なると言われる。古くはゲームセンターにおけるアーケードゲームにはじまり、「ファミコン」や「PlayStation」をはじめとした家庭用ゲーム機、より本格的なゲームが楽しめるPCゲームなどが知られている。

　そして、近年はスマートフォンが普及したことで、スマートフォン向けゲームのラインアップが充実し、これを存分に楽しむための『ゲーミングスマートフォン』の市場が伸びている。

　国内で展開されるゲーミングスマートフォンとしては、ASUSの「ROG Phone」シリーズが広く知られているが、最近ではZTEのゲーミングブランド「REDMAGIC」シリーズなども国内で販売されるほか、シャオミがゲームにも強いブランドとして、「POCO」のラインアップを拡充。

　GalaxyやPixel、Xperia、AQUOSなどもフラッグシップモデルでゲーム環境への対応をアピールするなど、各社のゲーム環境への対応強化が激しさを増している。

　今回取り上げるASUSの「ROG Phone 9」シリーズは、ASUSがスマートフォンの「Zenfone」シリーズと並行して展開してきたゲーミングスマートフォン「ROG Phone」シリーズの最新モデルになる。

　機種名の「ROG」は「Republic of Gamers」の略を表わし、直訳すれば、「ゲーマー共和国」という意味を持ち、今回紹介するスマートフォンだけでなく、ノートPCやディスプレイ、ゲーム機をはじめ、キーボードやマウス、ヘッドセットなど、幅広い製品群を展開しており、ASUSのゲーミングブランドとして、国内市場でも定着している。

　今回取り上げる「ROG Phone 9」シリーズは、「ROG Phone 9」「ROG Phone 9 Pro」「ROG Phone 9 Pro Edition」の3つのモデルが販売される。ボディのサイズやディスプレイ、カメラ、チップセット、プラットフォームなどの基本仕様は共通だが、メモリーとストレージのサイズに違いがあるほか、後述する「AniMe Vision」もモデルによって差別化されている。

　「ROG Phone 9 Pro Edition」は本体そのものが「ROG Phone 9 Pro」と共通で、メモリーとストレージ、付属品などが異なる。いずれのモデルもゲームを楽しむ基本的な部分は変わらないものの、より快適に楽しみたいのであれば、上位モデルにアドバンテージがある。

　価格は別表の通りだが、3機種のうち、「ROG Phone 9」と「ROG Phone 9 Pro Edition」はASUS Storeをはじめ、家電量販店やMVNO各社、AmazonなどのECサイトで販売されるのに対し、「ROG Phone 9 Pro」はauの独占販売となっている。

　auでの購入では、端末購入サポートプログラムの「スマホトクするプログラム」が利用できないものの、一括払いのほかに、24回の分割払いが利用できるため、月々の負担を抑えたい人にはメリットがあると言えそうだ。ただし、保証やサポートはASUSでの対応になる。

個性が光るボディデザイン

　外観からチェックしてみよう。前述のように、「ROG Phone 9」シリーズには3モデルがラインアップされており、いずれも基本的なボディ形状は共通化されている。

ASUS／au「ROG Phone 9 Pro」、大きさ：約163.8mm（高さ）×77mm（幅）×8.9mm（厚さ）、約227g（重さ）、カラー：ファントムブラック（写真）

ASUS「ROG Phone 9」、大きさ：約163.8mm（高さ）×77mm（幅）×8.9mm（厚さ）、約227g（重さ）、カラー：ファントムブラック（写真）、ストームホワイトをラインアップ

　背面は「ROG Phone 9 Pro」が光沢のスラッシュパターンをあしらっているのに対し、「ROG Phone 9」は中央に「ROG」ブランドの「Fearless Eye」のアイコンが刻まれている。ゲームプレイ時の見た目を重視し、いずれも横向きのデザインを採用する。

　背面仕上げはいずれも指紋や手の跡が残りにくいナノテクスチャ処理を施し、「ROG Phone 9」は微細なドットパターン、「ROG Phone 9 Pro」はサンド仕上げのようなサラッとした手触りに仕上げられている。

「ROG Phone 9 Pro」の背面はマット仕上げながら、光沢のスラッシュパターンをあしらったデザイン。648個のLEDが埋め込まれた「AniMe Vision」は多彩な表現に加え、ミニゲームも楽しめる

「ROG Phone 9」の背面はマット仕上げ。中央に中央に「ROG」ブランドの「Fearless Eye」のアイコンが光沢で刻まれる。本体下部側にはの「AniMe Vision」は85個のLEDでバッテリー残量や時刻を表示できる

　背面左上のカメラ部も一般的な四角の形状ではなく、角をカットした印象的な形状で、ボディ全体もスクエアなデザインだが、背面の両側端はわずかに曲線で仕上げられており、縦持ちと横持ちのどちらでも手にしたときのフィット感は優れている。

「ROG Phone 9 Pro」の左側面。「ROG Phone 9」も共通。少し見えにくいが、中央付近にUSB Type-C外部舌俗端子を備える

「ROG Phone 9 Pro」と「ROG Phone 9」の右側面には、シーソー式の音量キー、電源キーを備える。カメラ部は両機種共、実測で3mm程度の厚みがある

「ROG Phone 9 Pro」の下部は中央にピンで取り出すタイプのSIMカードスロット、右側面寄りの位置（写真左側）に3.5mm径のマイクロホン／ヘッドホン・コンボジャック、左側面寄りの位置（写真右側）にUSB Type-C外部接続端子を備える

本体下部の中央にピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備える。SIMカードトレイは表裏にnanoSIMカードを1枚ずつ装着可能。eSIMにも対応する

　「ROG Phone 9」シリーズの背面で、もっとも印象的なのは、背面にLEDを埋め込むことで実現した「AniMe Vision」だろう。

背面に埋め込まれたLEDで日時やバッテリー残量などを表示できる［AniMe Vision］。［Armoury Crate］アプリを起動し、［コンソール］-［AniMe Vision］-［詳細設定］で表示する内容をカスタマイズできる

［AniMe Vision］では通知の受信時や写真撮影時など、さまざまなシチュエーションに合わせて、LEDによるアニメーションを表示できる

　従来モデルに引き続いての搭載だが、「ROG Phone 9」が85個、「ROG Phone 9 Pro」は648個のLEDが内蔵されており、時刻や天候、バッテリー残量などが表示できるほか、「ROG Phone 9 Pro」では「AniMe Vision」のディスプレイを使った「AniMe Play」というミニゲームも収録されている。

　音楽再生中、写真撮影時、ゲームのプレイ中など、それぞれのシーンに合わせて、表示する内容をカスタマイズすることも可能だ。

「ROG Phone 9 Pro」の背面に埋め込まれた648個のLEDを使い、ミニゲームを楽しむことができる

背面のLEDで楽しめる［エアロインベーダー］。本体右側面（写真上部側）の［AirTrigger］で操作する

　ここ数年、スマートフォンのデザインが画一化されつつあるが、「AniMe Vision」は「ROG Phone 9」シリーズならではの個性であり、自らの個性を主張したいユーザーにとって、かなり楽しめる機能のひとつと言えそうだ。

　耐環境性能はIPX5／IPX8の防水、IP6Xの防塵に対応する。「ROG Phone」シリーズでは昨年の「ROG Phone 8」シリーズから防水が強化され、国内で販売される主要製品と変わらない性能になり、今回の「ROG Phone 9」シリーズにも継承されている。

　「ROG Phone 9 Pro」と「ROG Phone 9 Pro Edition」には透明マットブラック仕上げのクリアケースが同梱され、本体を保護することができる。さらに、オプションとして、液冷技術のComposite Vapor Chamberを搭載した「ROG Chill Case」（3980円）も販売されており、本体を保護しながら、ゲームプレイ中なども効率良く冷却することができる。

「ROG Phone 9」シリーズのアクセサリーとして販売される「ROG Phone Chill Case」。液冷式のベイパーチャンバーを内蔵した世界初のケース。本体中央のチップセット（SoC）周辺の温度を最大17％低下できるという

　バッテリーは従来モデルよりも大容量の5800mAhを搭載するが、一般的なスマートフォンと違い、2つの2900mAhのバッテリーで構成されている。

　スマートフォンの熱源となるチップセットを本体中央付近に配置し、上下に2つの2900mAhバッテリーを搭載する「デュアルセルシステム」を採用することで、充電中の熱も分散し、発熱を抑えることに成功している。

　充電はQC5.0／USB PD3.0対応の最大65Wの急速充電が可能で、パッケージには65W ACアダプターも同梱される。Qi規格準拠のワイヤレス充電（最大15W）にも対応する。

　充電に利用するUSB Type-C外部接続端子は、従来モデルに引き続き、本体下部に加え、本体左側面に「サイドマウントコネクター」を備える。これは端末を横向きに持ち、ゲームをプレイするとき、充電ケーブルが接続しやすいことを考慮しての構造だが、別売のクーラーユニット「AeroActive Cooler X」や「AeroActive Cooler X Pro」を装着するときにも利用する。

「ROG Phone 9 Pro」と「ROG Phone 9」の左側面には、端末を横向きに持ったときにも充電が可能なUSB TYpe-C外部接続端子（サイドマウントコネクター）を備える。両方に充電ケーブルを接続すると、側面側がマスターになり、下部側は充電時の電流などが制限される

「ROG Phone 9 Pro Edition」に同梱される「AeroActive Cooler X Pro」を装着。内蔵のファンで本体を効率良く冷却できる

「AeroActive Cooler X Pro」を装着すれば、高負荷のゲームも快適にプレイできる

　ちなみに、「ROG Phone 9 Pro Edition」には「AeroActive Cooler X Pro」やトラベルポーチが同梱される。

　バッテリーと充電については、［設定］アプリの［バッテリー］で細かい設定が可能で、システムモードはゲームで最高のパフォーマンスを発揮する［Xモード］を選べたり、バッテリーを保護するための［バッテリーケア］も［低速充電］や［予約充電］が設定できたり、設定した時間に超省電力モードに切り替えられる［節電スケジュール］を設定できる。

［設定］アプリの［バッテリー］ではバッテリー駆動のシステムモードや節電スケジュールなど、細かい設定が可能

［充電モード］は［通常充電］のほかに、給電しながらのゲームプレイなどに適した［バイパス充電］、バッテリー残量と使用量から充電を自動制御する［スマートバイパス充電］が設定可能

　バッテリーの保護を謳う機種は多いが、ここまで細かく設定できるのは数少ない存在と言えるだろう。

ゲームを快適に楽しめる約6.78インチLTPO AMOLEDを搭載

　ディスプレイはフルHD＋（2400×1080ドット表示）対応の約6.78インチLTPO AMOLED（有機EL）を搭載し、ガラスはキズが付きにくいConing Gorilla Glass Victus 2を採用する。

　リフレッシュレートは標準で1～120Hzの自動だが、60／120/165Hzに固定することも可能で、ゲーム環境ではコンテンツに合わせ、最大185Hzでの駆動も可能。輝度は標準で1600にts、ピーク輝度で2500nitsに対応する。ゲームプレイ時に重要なタッチサンプリングレートも720Hzとなっており、快適なプレイ環境を演出する。

　AMOLEDディスプレイの特徴を活かした「Alwas-in Panel」の機能も搭載される。設定を有効にすることで、待機時も日付や時刻、通知などを表示できるが、これもカスタマイズが可能で、［時計スタイル］で［カスタム画像］や［カスタムテキスト］を選ぶと、カメラで撮影した画像やユーザーが入力した文字列を待機時に表示できる。

　壁紙に家族や推しのキャラクター、愛車などを設定する人が多いが、それらと同じように、Always-on Panelに表示できるわけだ。

　ちなみに、表示する期間を設定できるため、ビジネスタイムは普通のエフェクトを表示しておき、オフタイムは自分が設定した画像を表示するといった使い分けもできる。

　ディスプレイ内には光学式指紋センサーが内蔵されており、指紋認証が利用できる。インカメラを利用した顔認証も可能で、マスクを装着した状態でも画面ロックが解除できる。

　指紋認証時に表示されるアイコンやアニメーションは、ユーザーの好みに応じて、カスタマイズすることが可能で、視覚的にも楽しむことが可能だ。こうした多彩な演出も「ROG Phone」シリーズの魅力のひとつと言えそうだ。

システムの動作状態なども確認できる［Armoury Crate］アプリ。［ゲームライブラリ］からはインストールしたアプリをすぐに起動できる

2025年モデルの最高峰となる米Qualcomm製Snapdragon 8 Eliteを搭載

　チップセットは「ROG Phone 9」シリーズの3機種いずれも2025年モデルの最高峰に位置付けられる米Qualcomm製Snapdragon 8 Eliteを採用する。他メーカーでもフラッグシップに搭載されているが、ゲーム環境で最高のパフォーマンスを得るためには必要ということだろう。

　メモリーとストレージは「ROG Phone 9」がRAM 12GB、ROM 256GB、「ROG Phone 9 Pro」がRAM 16GB、ROM 512GB、「ROG Phone 9 Pro Edition」がRAM 24GB、ROM 1TBを搭載する。搭載メモリーはゲームだけでなく、AIの快適性にも大きく影響するため、スタンダードモデルの「ROG Phone 9」でも12GBを搭載する。

　ストレージは一般的なスマートフォンなら、写真や動画などの保存に利用するが、「ROG Phone 9」シリーズの場合、当然、プレイするゲームのための保存領域という意味合いが強い。

　シンプルなゲームなら、それほど容量は大きくないが、「原神」や「PUBG mobile」などはひとつのタイトルで数GB以上の保存領域を消費するため、より大容量のストレージが求められるわけだ。

　「ROG Phone 9」シリーズの3モデルはチップセットが同じなので、基本的なパフォーマンスは変わらないが、メモリーとストレージはゲームの快適性を左右することになりそうだ。

　ネットワークは5G NR／4G LTE（TD-LTE／FDD-LTE）／3G W-CDMA／2G GSMに対応する。5Gについては国内各社のSub6バンドに対応し、ミリ波には対応しない。海外メーカー製端末でサポートされないことが多いNTTドコモに割り当てられた5Gの「n79」にも対応しており、NTTドコモ網を利用したMVNO各社のサービスも安心して利用できる。SIMカードはnanoSIM×2枚／eSIMに対応する。

　Wi-FiはIEEE 802.11a／b／g／n／ac／ax（2.4GHz／5GHz／6GHz）に対応。Bluetoothは5.4に対応し、コーデックはQualcomm aptX Adaptive/aptX Losslessもサポートする。

　衛星による位置情報の測位は、米GPS、露GLONASS、欧州Galileo、日本QZSS（みちびき）、中国BeiDou。印NavICをサポートする。

　非接触ICについては、従来モデルに引き続き、FeliCaを搭載しており、おサイフケータイの各サービスに対応する。

　JR東日本が公開する対応機種一覧は、2025年1月15日現在のものが最新のため、まだ「ROG Phone 9」シリーズは掲載されていないが、昨年の「ROG Phone 8 Pro」や「Zenfone 10」などが掲載されているため、次の更新時にはリストに掲載されるはずだ。

　FeliCaについては、今後、スマートフォンでの扱いがどうなっていくのかがわからない面もあるが、現時点で公共交通機関での利用やマイナンバーカード対応など、国内での日常生活に欠かせない存在であることは変わりなく、やはり、サポートしている安心感は大きい。

　コストパフォーマンスとスピードを重視するあまり、グローバル向けモデルをすぐに国内市場に持ち込むモデルも増えつつあるため、このあたりのサポートの違いは、ユーザーとしても明確に認識しておきたい。

Android 15ベースのROG UIを採用

　プラットフォームはAndroid 15がプリインストールされ、「ROG Phone」シリーズのための「ROG UI」が採用される。日本語入力はAndroidプラットフォーム標準の「Gboard」が搭載される。

　ユーザーインターフェイスはAndroid標準をベースにしながら、ゲーミングスマートフォンという位置付けもあってか、システムカラースキームは「ダーク」を基調とし、アイコンやメニュー周りも含め、統一感された演出がなされている。

ホーム画面には最下段にDock、上段に検索ボックスがレイアウトされる。壁紙も「ROG Phone」シリーズ独自のものが設定される

画面上段から下方向にスワイプすると、クイック設定パネルが表示される。少し小さめの丸いアイコンで表現されているため、1ページに12個の項目が並ぶ。キャプションも表示されているので、わかりやすい

　各メニューの項目もカスタマイズ性に優れており、画一化されたユーザーインターフェイスのモデルが多い中、『自分だけのスマートフォン』に仕上げる楽しさがある。

［設定］アプリの［拡張機能］にはオリジナルの便利機能が並ぶ。カメラや特定のアプリをするに起動できるジェスチャー操作なども設定可能

［設定］アプリ内の項目はAndroidプラットフォーム標準に近い内容で、わかりやすい

　ただ、ホーム画面やアプリ一覧を表示してみると、Googleの［Playストア］や［Chrome］、［マップ］などのアプリは、白を基調としたアイコンで表現されており、やや統一感が崩れている。

ホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示される。アプリはいずれもダークモードを意識したデザインだが、「カレンダー」や「マップ」など、Google標準アプリは白を基調としたまま。［おサイフケータイ］アプリも同様。最上段に最近起動したアプリが並び、最下段の検索ボックスでアプリを検索できる

　ダークを競って下ユーザーインターフェイス内では、それぞれのアイコンが目立つというメリットもあるが、Nothing Phoneなどのように、メーカーであるASUS自身がデザインを描き起こすことを検討するのも手かもしれない。

　あるいは、昨今、ダークモードをサポートする機種が増えている状況を鑑みると、Google側でダークモードを考慮したアイコンやユーザーインターフェイスの提供を考えて欲しいところだ。

　AI関連についても従来モデルから一段と強化されている。たとえば、サウンドレコーダーでの「文字起こし」をはじめ、通話内容をリアルタイムで文字起こしをしたり、翻訳ができる「AI通話翻訳」、カメラで撮影したドキュメント（投影資料）などを正対した画像に補正する「ドキュメントキャプチャー」などが新たに追加されている。

［ヒント］アプリは「ROG Phone」シリーズならではの機能を解説。項目によっては、表示した説明から直接、各機能の設定画面に移行できる

［ヒント］アプリの［新しいAI機能］には、AIを活用した各機能がリストアップされている。［AI通話翻訳］にも対応しており、異なる言語での通話が可能

6軸ジンバルモジュール搭載を含むトリプルカメラ

　カメラは背面にトリプルカメラを搭載する。「ROG Phone 9」シリーズ3機種で共通しているのは、ソニー製LYTIA 700（1／1.56インチ）を採用した5000万画素イメージセンサー／F1.9の広角カメラ（23.8mm相当）、1300万画素イメージセンサー／F2.2の超広角（12.7mm）で、広角カメラは6軸ジンバルモジュールを搭載し、静止画や動画撮影時の手ぶれを抑える。

「ROG Phone 9 Pro」の背面には5000万画素広角カメラ（左上）、1300万画素超広角カメラ（右上）、3200万画素望遠カメラ（右下）のトリプルカメラを搭載

「ROG Phone 9」の背面には5000万画素広角カメラ（左上）、1300万画素超広角カメラ（右上）、500万画素マクロカメラ（右下）のトリプルカメラを搭載

　手ぶれ補正も従来モデルよりも強化され、2倍相当のロスレスズームにも対応する。超広角カメラも120度の画角で撮影が可能で、周囲の歪み補正機能も備える。

　3つ目のカメラは「ROG Phone 9 Pro」と「ROG Phone 9 Pro Edition」が3200万画素イメージセンサー／F2.4の望遠カメラ（65.3mm）を搭載しているのに対し、「ROG Phone 9」は500万画素イメージセンサー／F2.0のマクロカメラ（23.6mm）を搭載する。

　「ROG Phone 9 Pro」と「ROG Phone 9 Pro Edition」の望遠カメラが広角カメラの光学3倍相当のズームが可能で、手ぶれ補正にも対応するほか、10倍の「Hyper Clarity」ズーム、最大30倍のデジタルズームにも対応する。

　ディスプレイ上部のパンチホール内には、3機種とも3200万画素イメージセンサー／F2.05のインカメラ（22mm）が内蔵され、RGBW配列のイメージセンサーとピクセルビニングにより、暗いところでも明るい撮影を可能にする。

　撮影モードは「写真」「ポートレート」「動画」などの標準的なもののほかに、ポートレート撮影で前後にピントを動かせる「ポートレート動画」、クルマや電車などの動く被写体を流し撮りできる「AI流し撮り」なども利用できる。

「ROG Phone 9」のポートレートで撮影。被写体にしっかりとピントが合い、背景のぼけ具合いも自然。モデル：望月ゆうり（X（旧Twitter）：@Tiara00107、Instagram：@mochi.yuri_、所属：ボンボンファミン・プロダクション）

雨の中、傘をさした状態で「ROG Phone 9」で撮影したポートレート。濃色の傘にもかかわらず、被写体だけでなく、傘の柄もしっかりと再現

「ROG Phone 9 Pro」の超広角カメラで「0.7倍」の撮影。レンズによる歪みも少なく、自然な風景

「ROG Phone 9 Pro」の広角カメラで「1倍」の撮影

「ROG Phone 9 Pro」の広角カメラで「2倍」の撮影

「ROG Phone 9 Pro」で望遠カメラで「3倍」の撮影

「ROG Phone 9 Pro」で望遠カメラで「10倍」の撮影。光学とデジタルを組み合わせているため、光学3倍ほどのクリアさはないが、十分きれいに撮影できている

「ROG Phone 9 Pro」で望遠カメラで「30倍」の撮影。デジタルズームなので、多少の粗さはあるが、輪郭なども崩れがなく、しっかりと撮影できている

「ROG Phone 9 Pro」の望遠カメラでポートレートを撮影。モデル：るびぃ（ボンボンファミンプロダクション）

「ROG Phone 9 Pro」の広角カメラでポートレートを撮影

「ROG Phone 9 Pro」のインカメラでセルフィーを撮影

　「ROG Phone 9」が対応するマクロ撮影は4～6cm付近にピントが合う仕様となっている。

「ROG Phone 9」のマクロカメラで撮影

　撮影した写真や動画は、ASUS独自の［ギャラリー］アプリで確認したり、編集ができる。Googleフォトと連携する［フォト］アプリもインストールされており、撮影した写真や動画のバックアップ（同期）も利用できる。

　［ギャラリー］アプリの編集では、切り抜きやサイズ変更、フィルター、ハイライトや影の調整といった画質調整の機能が利用できるが、AIを活かした消しゴム機能は［フォト］アプリを利用する必要があり、やや戸惑う印象も残る。

ゲーミング性能だけでなく、デザインや演出で個性を楽しめる一台

　デザインの画一化により、個性が失われたとも言われる昨今のスマートフォン。機能面ではカメラ性能が成熟し、注目度の高いAIも各社のフラッグシップモデルを中心に展開され、やや横並びになってきたという指摘も少なくない。

　そんな中、2018年からゲーミングスマートフォンとして、展開してきた「ROG Phone」シリーズは、ゲームに勝つためのスマートフォンとして、着実に進化を遂げつつ、独特のボディデザインと背面に搭載された「AniMe Vision」などによって、しっかりと個性も演出してきた。

　今回の「ROG Phone 9」シリーズでは3モデルを展開し、最高峰のチップセットSnapdragon 8 Eliteの搭載やメモリー／ストレージの強化、さらなる大容量化を実現したデュアルセルバッテリー、安定した環境でゲームを楽しめる冷却システムなど、ゲームのためのスペックを強化しながら、従来モデルに引き続き、おサイフケータイ対応や某酢防塵対応など、日常生活に欠かせない機能もしっかりとサポートすることで、非常に完成度の高いスマートフォンに仕上げている。

　機能面もゲームに勝つため、快適に操作するため、日々の生活に役立てるための独自のものをしっかりと充実させている。高いゲーミング性能だけでなく、デザインや使う楽しさにおいてもしっかりと個性を追求した一台（三台）と言えるだろう。ゲームを存分に楽しみたいユーザーなら、まず、手に取って欲しいモデルだ。