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三木谷氏が語る「物議をかもす楽天モバイル」の今とOpenAIとの協業の狙い――Rakuten Optimism基調講演

 楽天グループは、グループ最大級の体験イベント「Rakuten Optimism 2023」をパシフィコ横浜で開催している。初日となる本日2日には、代表取締役会長兼社長最高執行役員の三木谷浩史氏が登壇。オープニングキーノートとして、楽天モバイルを中心とした今後の展望について語った。

三木谷氏

 三木谷氏は冒頭、国際社会における日本の競争力に言及した。米国などの企業が大きな力を持つ現状において、日本の企業に必要なのは「大きくチャレンジすること」。

 その例として「物議をかもしている楽天モバイルの挑戦」と切り出した同氏は、楽天モバイルの事業について、社会的貢献などの意義もあると語る。

 「スマホは社会的人権」として“携帯市場の民主化”を目指す楽天モバイルは、新料金プラン「Rakuten最強プラン」の提供を6月にスタートした。三木谷氏の示した資料によれば、同プランの開始後に契約者が増加している傾向にあるという。

 三木谷氏はOpensignalによる分析結果にも触れ、回線品質の向上に自信を見せる。本日2日にはコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」のデスクトップ版(ベータ版)がリリースされ、さらなるサービスの充実を図っていく。

 楽天グループの関連サービスにとっても、楽天モバイルの事業は重要な存在となっているようだ。楽天モバイルの契約によって「楽天市場」の流通総額がアップしたというデータなどを披露した三木谷氏は、「(楽天モバイルが)楽天グループの成長に寄与している」と語る。

 コスト削減につながる完全仮想化ネットワークや、ドローンや衛星通信の活用など、「楽天モバイルはあらゆる意味で世界最先端のことをやっている」(三木谷氏)。

 グローバルでは、楽天シンフォニーが、楽天モバイルの技術を世界へ展開する役割を担う。同社とウクライナのVEONは、ウクライナ国内のインフラ再構築に向け、Open RANとデジタルサービス分野において協業する。

 キーノートの最後にはサプライズゲストとして、米OpenAIのサム・アルトマンCEOがリモートで登場する場面も。楽天グループとOpenAIが、最新AI技術によるサービス開発に合意したことが発表された。楽天グループが保有する膨大なデータと、AI(人工知能)の力を組み合わせ、新たなサービスの創出などを図る。

 「モバイル事業はビジネスとして魅力的だったのもあるが、“安い料金で高速通信を使えたほうがいい”という哲学に基づき、不退転の決意で取り組んでいる」と三木谷氏。

 同氏は、大手3社による携帯市場に“第4の事業者”として参入した当時の状況になぞらえ、「AIも、使い方を間違えれば大企業が勝って小さな企業が負ける。我々のネットワークを活用しながら、みんながAIを使いやすくする。それが楽天のやり方だと思う」と語り、今後への意欲を見せた。