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シャープ小林氏、端末割引「2万円→4万円」について「悲観的な見方もある」

シャープ 通信事業本部 本部長の小林 繁氏

 シャープは3日、スマートフォン「AQUOS」シリーズの新CM完成披露イベントを開催した。会場には、CMに出演する竹野内 豊と志尊 淳、安珠に加え、シャープ 通信事業本部 本部長の小林 繁氏も登壇した。

 小林氏は、シャープのスマートフォンについて「スペック表を埋めるより、スペック表をつくる会社、新たなバリューを見つけてそこに新技術を投入する会社だと自負している」とコメント。

 具体例として、ディスプレイのリフレッシュレートや発色、表現力へのこだわりのほか、20年以上前のフィーチャーフォンで携帯電話としてはじめてカラーディスプレイとカメラを搭載した実績をアピール。

 カメラに関しては、近年はセンサーサイズの拡大やレンズブランド(ライカ監修レンズの採用)へのこだわりを追求している。

 また、同社が日本国内のAndroidスマートフォンで販売数が6年連続で第1位を記録しており、「(シャープは)がんばっている」(小林氏)とコメント。

 海外展開に関しては、アジア圏への展開を強化し、台湾やインドネシアでは日本で展開しているモデルをすべて現地で展開していく方針を示した。

 一方、ヨーロッパ向けについて小林氏は「サスペンド(一時停止)している状態だが、やめたわけではない」とし、「最近はできるだけ早く中国語などに翻訳して提供する方がいいかなと考えている。現地でも(防水性能など)非常に注目して期待してくれている」とした。

日本のスマホはオワコン? そんなことは決してない

 小林氏は、イベント壇上で「『日本のスマホはオワコンなんじゃないか』という声を聞くが、決してそんなことはない。(今回のような)CM発表イベントも開催しており、シェアもナンバーワンを維持している。スマートフォンは生活に欠かせない“成熟した”ものであるが、まだまだユーザーニーズは存在すると信じている」とコメント。

 また、イベント終了後小林氏は記者たちに対し、現在の日本のスマートフォン業界について「各社で目的など事情が異なる」と前置きしつつ「1つは苦境でもあり、1つは成果でもある。成果は、性能が向上し、メンテナンス期間が伸びることで頻繁に買い換えなくてもよくなったカテゴリーになったこと、それによって需要が落ちているということが1つ。もう1つは、(他人のせいにしたくはないが)販売ルールがコロコロ変わることで、どうしてもユーザーがスッと選べなくなってしまったのがある」と指摘。

 一方で、ウェアラブルなど新しいサービスの入口がスマートフォンになっている現状にも言及し、スマートフォンがなくなることはないとコメント。「問題はどのような価格帯がユーザーに選ばれるのか? どういう部分が進化していくか? というところ。次々成長の余地を見つけて伸ばしていくしかないと思っている」と考えを示した。

「4万円ルール」で市場は変わる?

 販売ルールについて、総務省のワーキンググループで、端末の割引上限を現行の2万円から4万円に引き上げる検討がされている。

 小林氏は「個人の意見」としながらも、2つの考え方があると説明。

 1つめは、「割引額が4万円になったから、より満足度の高いものを手頃な価格で手に入れられるようになる」という流れ。これまでよりも安価に手に入れられるようになることで、メーカーとしてもブランドイメージを高めることができるとしている。

 2つめは、「携帯事業者が『2万円の割引でもユーザーが端末を購入する』ことがわかっているので、わざわざ値引き額を上げる必要はない」という考え。「エントリーモデルのスマートフォンなど、いままで2万円で作れているものをわざわざ4万円で作って買ってもらう必要はないのではないか」など、さまざまな考え方が出てくると分析。

 加えて小林氏は、シャープにとって悪い状況として「特定の端末に対して、大量の金額が投下される状態は、あまり幸せにならない」とコメントした。一方で、今回の「AQUOS R8」は、割引上限の緩和で「買いやすくなる。これはとてもいいこと」とした。

「AQUOS R8」を手にする小林氏