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シャープ「AQUOS R8 pro」「AQUOS R8」発表、なぜ「無印とpro」に分かれたのか

 シャープは9日、Androidスマートフォンの新機種「AQUOS R8 pro」「AQUOS R8」を発表した。またエントリーモデル「AQUOS wish3」もあわせて発表されている。

AQUOS R8 pro

 「AQUOS R」シリーズは、いわゆるハイエンドであり、シャープ製Androidスマートフォンの技術力の粋を結集したモデルでもある。それが今回、「pro」を冠するR8と「無印」のR8の2機種が用意されることになった。先代モデル「AQUOS R7」の後継モデルは「AQUOS R8 pro」とされており、新たに「AQUOS R8」が用意された格好だ。報道関係者向け説明会の質疑応答で、シャープのキーパーソンが語った内容をご紹介する。

 登壇したのは、シャープ通信事業本部長の小林繁氏、パーソナル通信事業部事業部長の中江優晃氏、パーソナル通信事業部 商品企画部 係長の篠宮大樹氏、商品企画部主任の平嶋侑也氏の4人。

左から篠宮氏、小林氏、中江氏、平嶋氏

カメラについて

――「AQUOS R8 pro」のカメラユニット、センサーやレンズは「AQUOS R7」とまったく同じか?

篠宮氏
 はい、同じものです。

――「AQUOS R8 pro」のカメラ処理は、「AQUOS R7」より高速化したとのことだが、ポートレート撮影はどうか。

篠宮氏
 ポートレート撮影の機能そのものは変わりはありません。とはいえ、チップセットのSnapdragonが(最新版となって)機能がアップしており、どの程度、(チップセットのスペックアップがポートレートモードなどの高速化に)効果を発揮できるか見ていきたいと思っています。

中江氏
 メインのCPUのスペックが向上しており、数字を(まだ)言えませんが、スピードは速くなります。

――ペット撮影で認識するのは、犬猫だけか? 爬虫類などは?

篠宮氏
 はい、犬や猫を認識するかたちでして、爬虫類までは認識できません。

――サードパーティのアプリでカメラ機能を使う際、過去の1インチセンサーモデルでは、QRコードの読み取りで近くでの撮影ができないなどの課題があったと思う。今回はどうか。

篠宮氏
 カメラシステムは「AQUOS R7」と同じであり、デバイスとしての変化はありません。一方で、ソフトウェアでは、「AQUOS R7」から搭載した「アプリでのカメラ読み取り精度を向上」という設定をオンにすることで、QRコードを読み取りやすくできます。引き続き今回も採用しています。

中江氏
 従来よりも近くで撮影はできます。完全とまではいきませんが、バーコードやQRコードの読み取りは精度が上がっています。

スペックについて

――「AQUOS R8 pro」「AQUOS R8」はどちらもSIMは同じ対応状況か。

篠宮氏

 はい、どちらも通常の物理SIMとeSIMのデュアルSIM(nanoSIM+eSIM、DSDV対応)となっています。

――CPUのクロック数に上限を設けているのか。

篠宮氏
 大きく2点ございます。極端にキャップをかけてパフォーマンスを下げる制御はしていません。逆に、徹底的に無駄を省いて、本当に必要なところを使ってあげるという基本的なところまでやっています。

 もうひとつ、全てのアプリに対して同じ動作をするのではなくて、たとえばゲームアプリやカメラと、SNSアプリなど、アプリごとに最適な動作があるだろうと考えています。(アプリ・サービスの)ジャンルごとに制御しています。これはR8シリーズ2機種で採用しています。

中江氏
 一般的に、発熱を抑えるためにCPUを抑制する、と捉えられている面があると思います。

 今回、我々はパフォーマンスを非常に重視しておりまして、どちらかというとパフォーマンスを最大限まで長く使えるところを目指しています。「早めにブレーキをかけるようなキャップ」というような表現のものは一切入れてません。

 逆に、各アプリで過剰なエネルギーを出さないようにして、必要なエネルギーを必要なタイミングで出せるように工夫しています。つまり「常に最高速で、いきなりアクセルを全開で踏んでしまう」と無駄な電流が減ってしまうのです。

 最近のCPUは、コア数が非常に増えています。CPUコアの使い方であったり、各コアごとのクロックであったり、そういったところを細かく制御するという工夫をしています。

――AQUOS R8はミリ波対応か?

平嶋氏
 非対応になります。

――AQUOS R8の軽量化の要因は?

平嶋氏
 ひとつはバッテリーが少なからずあります。また、バックパネルの薄型化にも取り組んでおり、AQUOS R7と比べ、52%軽くなっており、そうした要素も寄与しています。

proと無印ができた理由

――「AQUOS R8 pro」「AQUOS R8」の2機種に分けた理由は?

中江氏
 従来の「AQUOS R7」は“趣味をとことん楽しむ”というコンセプトで、カメラやディスプレイなど、趣味を楽しむためにかなり特化したものにしていきました。その結果、ハイエンドモデルの市場価格(※編集部注:携帯キャリア版の価格はメーカーではなく携帯電話会社が決める)としては非常に高額なものとなって、お客様が気軽に手にとって使えるといったモデルではなくなってきた、と考えています。

 今回、「趣味をとことん楽しむ」というニーズも大切にしながら、実用性を重視したハイエンドモデルといったものもあわせて、計2機種を商品化することによって2つのニーズを共存させたいと考えました。そこで「AQUOS R8」を追加し、ハイエンドモデルをより多くの方に体験していただけるようにと考えています。

――ハイエンドを手に取りやすくするためR8シリーズとして2機種用意するとのことだが、「AQUOS R7」の生産を継続して、型落ちのハイエンドモデルとして提供する考えはありえるのか。

小林氏
 たしかに、業界のトレンドを見ていると「n-1モデル」といった言い方で、最新世代より1世代前のモデルを継続して販売して値段を下げるという方法もあるかと思っています。

 ただ、これはモデルによるところがあります。今回の「AQUOS R8 pro」は、いわゆるスーパーフラッグシップです。新しい技術要素をどんどん育てていかねばならない、という戦略的な位置づけもあります。

 カメラデバイスは変わっていませんが、それ以外のソフトウェアの部分ではかなり刷新をしており、最先端の技術を投入しているのが現状です。

 一方で、「AQUOS R」のproシリーズ以外のラインで、今後、継続販売みたいなことをすることは十分考えられるんじゃないかなと思います。しかし、それと同時に部品調達、長期的かつ安定的に調達するといった考え方など、いろんなビジネスモデルをセットで考えなきゃいけないかなと。

 そのあたりは、パートナーさんと相談しながら考えていきたいです。

囲み取材で聞いたこと

――AQUOS R8シリーズのSIMフリー版はどうなる?

小林氏
 前向きに考えています。いろんなことを考えています。

――R8シリーズは2機種用意したことで、出荷台数が増えると見込んでいるのか。

小林氏
 はい、そうです。市場としては、ミドルクラスが激戦区です。シャープとしては「AQUOS sense」シリーズで先鞭をつけて非常に好評ですが、競争が激化しており、一定の価格帯でどれだけ良いものを作るか、という勝負になっています。

 一方、フラッグシップは、部材やチップセットの高騰や部品の不足などがありました。

 そうすると、(20万円クラスになってきた)フラッグシップと(数万円程度の)ミドルレンジの間にあたる製品がありません。結果的に一気にミドルレンジに移行していて、そこに良いポジションの商品を出されたメーカーさんがシェアを獲得されたりしている。そこを我々もしっかり守っていかないといけません。

 スマートフォンの成熟度も上がっていて、これまでミドルレンジを手にしていた方も、「AQUOS R8」をハイエンドとして購入していただいて長くお使いに……という方もいらっしゃるのではないかと期待しています。

――AQUOS R8は、AQUOS sense7 plusの発展版とも言えるような印象もある。

小林氏
 「AQUOS R8」のほうが処理能力は上です。カメラは、「AQUOS sense7 plus」の場合、センサーの持つポテンシャルを活かしきってまして、画質処理にかける時間も、利用される際にお待ちいただけるギリギリまで作り込んでいます。

 とはいえ、今回の「AQUOS R8」はハイエンドモデルであり、チップセットも、「AQUOS sense7 plus」のSnapdragon 695よりも高性能なSnapdragon 8 Gen2ですので、そういった処理能力は大きな違いと言えます。あとはメモリの搭載容量も違います。

 スマートフォンのカメラ機能について、ハードウェアとソフトウェアの割合をたとえるなら、感覚的にはかつては7:3でしたが、今は3:7です。

中江氏
 複数の画像を使ってAIで処理する場合、どれだけのフレームを保持できるか、という点も重要な点になります。そういうところもすべてCPUで処理しようとするとパワーが足りませんので、ISP(画質処理プロセッサー)のようなものが多く用意されていると性能は上がります。

――話題の生成AIはスマートフォンメーカーとしてどう見ているのか。

小林氏
 面白い技術です。かつてシャープでは「エモパー」を用意しており、今回ほどの大規模言語モデルではありませんが、言語解析などをしていましたので、現状の凄さはよくわかっています。

 メーカーとしての開発プロセスを改革するといった点でも使えるかなと思っています。世間の常識を、chatGPTのような存在は結構教えてくれます。もちろん常識に沿っていては差別化できないので、どうしていくのか、という決める手がかりになるかなと。

――いわゆる壁打ち、考えの整理に、ということですね。

小林氏
 シャープのWebサイトのサポートページにチャットボットがありますので、そういうところもあるでしょう。

 使いどころはたくさんあるでしょうが、画像の生成AIといったところは、かなりシチュエーションを絞らないと困ることになるかなと。お客さまが思ったとおりに動作するのが道具として求められるところでしょうが、現状だとちょっとむずかしいかなと。否定ではなく、使える場面をよく考えるといったところです。

中江氏
 お客さま全員が高いリテラシーを持っているわけではありませんから、曖昧な言葉だけでより詳しい情報にたどりつけるようにする、ワンクッション置くツールとして、可能性をすごく感じますね。

――ありがとうございました。