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楽天モバイルの海外展開・衛星からの地上エリア化は?――技術戦略本部長がプレゼン

 楽天モバイルは、同社公式ブログで、5月に開催された「ワイヤレスジャパン2022」における同社執行役員 兼 技術戦略本部長である内田 信行氏の講演を紹介している。内田氏は、楽天モバイルの技術的成果や、楽天シンフォニーによる海外展開などについて語った。

楽天モバイル執行役員 兼 技術戦略本部長 内田氏

 楽天モバイルは、同社の完全仮想化クラウドネイティブなモバイルネットワークのパフォーマンスが、イギリスのモバイル分析企業Opensignal社に高く評価されたことを紹介した。

 また、携帯電話基地局の建設スピード向上により、2018年4月に総務省に認定を受けた「第4世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画(1.7GHz帯周波数)」で予定していた、4G LTEの人口カバー率96%の到達について、その時期を約4年前倒ししたことを強調した。

 5G関連では、ノエビアスタジアム神戸での5GとVPS(Visual Positioning System)技術を活用した実証実験や、リアルタイム混雑緩和の実証実験について紹介した。

「Beyond 5G」に向けた取り組み

 楽天モバイルは、情報通信研究機構(NICT)や、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援を受け、Beyond 5Gに向けた研究開発に取り組んでいる。

 内田氏は、2022年にNEDOに採択された「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の「仮想化5G無線アクセス装置の研究開発」における、ネットワークスライシングを用いた侵入検知システムの実証実験を動画を用いて紹介した。

 今後は、5G SA方式を活用したアプリケーションなど、様々な可能性を探っていくという。

楽天シンフォニーによる海外展開

 楽天シンフォニーのGlobal Government Affairs担当シニアバイスプレジデントでもある内田氏は、楽天シンフォニーによる通信プラットフォームのグローバル展開も紹介した。

楽天シンフォニーによる海外展開

 楽天シンフォニーは、楽天モバイルが自社ネットワークで実用化しているOpen RANや、仮想化などの技術をパッケージ化し、オープンなプラットフォームとして世界中の通信事業者や企業に提供している。

 既に、ドイツや米国の通信事業者が楽天シンフォニーのソリューションを採用している。

「スペースモバイル」の開発状況

 楽天モバイルでは、人工衛星から送信する電波により、モバイルブロードバンドネットワークを構築するサービスの実現に向け、米AST SpaceMobile(AST)と共同で開発を続けている。

 同氏は、直近でASTを訪問し「スペースモバイル」の検証用試験衛星「BlueWalker 3」を視察し、サービス実現に向けた準備が進んでいることを説明した。