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キャッシュレス決済で給与受け取り、実現に向けた課題は? 厚労省の審議会

 13日、厚生労働省の「第178回労働政策審議会労働条件分科会」が開催された。議題のひとつは「資金移動業者の口座への賃金支払について」。いわゆる「○○ペイ」のようなキャッシュレス決済を利用した、労働者への給与支払いについて、課題が整理された。

 これまで政府は、資金移動業者によるコード決済「〇〇ペイ」のようなキャッシュレス決済について、その残高に給与を振り込めるようにするしくみを検討してきた。今回の「第178回労働政策審議会労働条件分科会」の資料では、そうしたしくみに対して一定のニーズがあるというデータも示されている。

 資金移動業者とは、「資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)に基づき、内閣総理大臣の登録を受けて、銀行その他の金融機関以外の者で、為替取引を業として営む者」と定められている。2022年7月末時点で、85の事業者が該当する。

 現在は、資金決済法などに基づき、すべての資金移動業者に必要な規制が存在する状態となっている。仮に資金移動業者の口座への給与支払いを認める場合、“1階部分”にあたる現在の規制にプラスして“2階部分”の新たな規制を設け、要件を満たす一部の資金移動業者のみに限定することが必要とされている。

 資金移動業者の分類については、2020年6月に資金決済法が改正された。これにより、1回当たりの送金額上限を100万円以下とする従来の類型(第2種)に加え、送金額の上限がない第1種(高額類型)、上限が5万円以下の第3種(少額類型)の3類型に分類。2021年5月1日に施行された。

 資金移動業者の口座への給与支払いの認可が検討されているのは、先述の3類型のうち「第2種」。さらにそのなかでも、口座残高上限額を100万円以下に設定している業者に限定することで、業者が破たんした場合に、労働者への保証をすみやかに行えるようにすることなどが検討されている。

 また、「〇〇ペイ」のようなサービスのアカウントの有効期限についても、「最後に残高が変動した日から最低10年間は有効であること」が、検討中の要件に含まれている。

 資金移動業者の口座への給与支払いは、労働者の同意のうえで使用者が実施できるものとして検討されている。その際、使用者から労働者に対して十分な説明が実施されることや、銀行口座などへの支払いも選択肢として提示されることなどが、要件案のひとつとなる。

 また、資金移動業者が破たんした場合、十分な額がすみやかに労働者へ支払われるしくみなどについても、あわせて検討されている。

「第178回労働政策審議会労働条件分科会」資料(すべてのページ)