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MM総研「2021年度 国内携帯電話端末の出荷台数調査」を発表、3G 停波による需要増加や5G端末拡大が明らかに
2022年5月19日 16:00
MM総研は19日、2021年4月~22年3月までの国内携帯電話端末の出荷台数調査の結果を発表した。2021年度の総出荷台数は、前年度比+4.3%の3662.9万台となり、2018年度以降の4年間で最多の出荷台数となった。
種類別では、スマートフォンが同+3.3%の3385.1万台、フィーチャーフォンは同+18.1%の277.8万台となり、スマートフォンは過去最多の出荷台数となった。
2021年度の出荷台数躍進について同社では、「auの3Gサービス終了」に伴うスマートフォンや4Gフィーチャーフォンへの買い換えが促進された影響が大きいと分析している。
メーカー別ではAppleが10年連続で1位
21年度のメーカー別シェアを確認してみると、1位はApple(アップル)で1683.3万台(前年度比+6.5%)でシェアは46%(+1.0ポイント)となり、10年連続で1位にランクインした。スマートフォンだけでは49.7%(+1.4ポイント)のシェアを誇っている。
Apple好調について同社では、「楽天モバイルのiPhone取扱開始」や「SIMフリー端末の販売が好調」のほか、MNP/新規ユーザー獲得のため、キャリア間での競争によりiPhoneの格安販売が過熱したことが要因だと分析している。
総出荷台数2位はシャープで372.6万台(同-23.9%)、シェアは10.2%(同-3.7ポイント)となった。シャープは、4キャリアすべてに端末を供給するほか、MVNOやSIMフリースマートフォンも展開している。
3位は京セラが342.3万台(同+23.0%)でシェア9.3%(同+1.4ポイント)と並んでいる。auの3G停波により4G対応端末が貢献したと分析されている。
メーカー別総出荷台数シェア
- 1位:Apple(アップル)
総出荷台数:1683.3万台(前年度比+6.5%)
シェア:46%(+1.0ポイント)
要因・主な出来事:5G対応iPhone SE(第3世代)の発売、SIMフリー端末の好調や販売チャネルの拡大、競争激化など - 2位:シャープ
総出荷台数:372.6万台(前年度比-23.9%)
シェア:10.2%(-3.7ポイント)
要因・主な出来事:「AQUOS wish」シリーズの好調な滑り出し - 3位:京セラ
総出荷台数:342.3万台(前年度比+23.0%)
シェア:9.3%(+1.4ポイント)
要因・主な出来事:auの3G停波に伴う買い替え需要、NTTドコモから初のスマートフォン発売 - 4位:サムスン電子
総出荷台数:331.7万台(前年度比+3.6%)
シェア:9.1%(増減なし)
要因・主な出来事:Galaxy Aシリーズが好調で年度出荷台数として過去最多をけん引した - 5位:FCNT
総出荷台数:276.7万台(前年度比-6.3%)
シェア:7.6%(-0.8ポイント)
要因・主な出来事:arrows Weはドコモ、KDDI、ソフトバンクから発売 - 6位:ソニー
総出荷台数:267.2万台(前年度比+30.3%)
シェア:7.3%(+1.5ポイント)
要因・主な出来事:Xperia Aceシリーズ~Xperia 10~Xperia 1まで幅広いラインアップが堅調に推移
スマートフォン出荷台数シェア
- 1位:Apple
出荷台数:1683.3万台(前年度比+6.5%)
シェア:49.7%(+1.4ポイント) - 2位:サムスン電子
出荷台数:331.7万台(前年度比+3.6%)
シェア:9.8%(増減なし) - 3位:シャープ
出荷台数:318.3万台(前年度比-24.2%)
シェア:9.4%(-3.4ポイント) - 4位:ソニー
出荷台数:267.2万台(前年度比+30.3%)
シェア:7.9%(+1.6ポイント) - 5位:FCNT
出荷台数:239万台(前年度比+3.3%)
シェア:7.1%(増減なし) - 6位:京セラ
出荷台数:160万台(前年度比-11.8%)
シェア:4.7%(-0.8ポイント)
キャリア/市場別では、オープン市場が7.1%
次に、販路別にみた出荷台数とシェアを確認してみる。
MM総研では、2021年10月からSIMロックがなされた端末販売の原則禁止に伴い、キャリア以外のMVNOや家電量販店などで販売される端末をオープン市場と定義している。本稿でも以下「オープン市場」と定義する。
携帯キャリア別のスマートフォン出荷台数をみると、ドコモが1164.2万台(シェア34.4%)、KDDIが962.6万台(28.4%)、ソフトバンク856.2万台(25.3%)、楽天モバイル160.2万台(4.7%)、となり、4キャリア合計で約93%を占める結果となった。
一方、オープン市場は前年度比+17.3%増の241.9万台となり、シェアも+0.8ポイントの7.1%と伸長した。
オープン市場のメーカー別出荷台数は、1位がアップルで128万台(シェア52.9%)、2位はシャオミで35.6万台(14.7%)、3位はシャープで27.6万台(11.4%)、4位はオッポで20万台(8.3%)、となった。上位4社合計で約87%を占めている。
2022年度は96.2%のスマホが5G対応と予想
MM総研では、今後の総出荷台数見込みを2022年度で3428万台(前年度比-6.4%)、2023年度は3403万台、2024年度は3449万台、2025年度は3526万台、2026年度は3388万台と予測する。
また、スマートフォンの出荷台数は、2022年度で3247万台(前年度比-4.1%減)、2023年度は3238万台、2024年度は3303万台、2025年度は3402万台、2026年度は3294万台と予測している。2025年度は、過去最多となる3400万台を記録するのではないかとしている。
一方、5G端末の出荷は2022年度にスマートフォン全体の96.2%にあたる3122万台と予測している。シェアの半分を占めるAppleでも、iPhone SE(第3世代)が5G対応したほか、フィーチャーフォンの買い換え促進や高齢者を意識した端末も5G対応端末が発売されたのを踏まえ、5G端末の比率は上昇することを見込んでいる。今後は23年度に99.4%、24年以降は100%となると予想している。
今後のスマートフォン出荷台数について、「世界的な半導体不足」や「新型コロナによる生産拠点(主に中国)のロックダウン」、「部材費・輸送費の高騰」、「円安の影響」が懸念されているとし、22年度のスマートフォンの価格が上昇するリスクがあるという。
また、国の施策によりスマートフォンの対応バンドが増えた場合、一時的に価格が高騰する可能性が高いと指摘。スマートフォンの対応周波数に関する議論については、キャリアモデルにおける対応周波数にはメリットとデメリットがあるとし、慎重な議論が進むことを期待したいとした。