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ドコモの新電力「ドコモでんき」が目指すもの――担当者との一問一答

 NTTドコモは23日、2022年3月から新電力サービス「ドコモでんき」を提供することを発表した。

 同サービスでは「ドコモでんき Green」「ドコモでんき Basic」の2つのプランが用意され、最大10%のdポイント還元が受けられる。「ドコモでんき Green」は再生可能エネルギーを活用しており、環境保護への貢献も強くアピールしたプランだ。

 同日には報道陣向けの説明会が開催され、質疑応答にはビジネスクリエーション部 サービス推進担当部長の小島慶太氏と、執行役員 ビジネスクリエーション部長の三ケ尻哲也氏が登壇した。

 本記事では、その質疑応答の様子をお届けする。

キーワードは「グリーン」

――今回、電力事業へ参入したきっかけを教えてほしい。

ドコモ
 ひとつは、マーケットの状況として「グリーン」に対する関心が高まっているということが挙げられる。

 もうひとつは、NTTアノードエナジーからの安定した電源供給が確保できること。サービスとして提供可能なスキームができたということで、今回の参入につながった。

 我々の経営にとっての収益的なメリットもあるが、あわせてカーボンニュートラルなどにも貢献していきたい。

――「ドコモでんき Green」「ドコモでんき Basic」の契約数の割合は、どの程度を想定しているのか。

ドコモ
 ユーザーの方がどちらを選択するかということにも委ねられるが、我々としては「ドコモでんき Green」を全面に押し出していく。

 最低でも2割、うまくいけば3~4割を超えたところで「ドコモでんき Green」を選択していただけるよう努めていきたい。

――「ドコモでんき」に関して、(NTTグループ傘下の)エネットとの競合は発生しないのか。

ドコモ
 我々としては、今後は法人への提供も検討していくが、まず個人ユーザー向けに「ドコモでんき」を提供させていただく。

 エネットとのバッティングは当面発生しないと思うが、将来的にはグループフォーメーションも含めて、NTTグループ総体でエネルギー事業を盛り上げていければと思っている。

今後の目標

――2022年度や今後の目標を教えてほしい。

ドコモ
 開始1年で150万契約という目標を掲げているので、まずはそれを達成できるように努めていく。2023年度には収益1000億円の突破も目指す。

――収益1000億円の規模とは、どの程度のものなのか。

ドコモ
 (契約数が)3桁万の規模があれば、それくらい(収益1000億円)の規模が見込めるのではないかと思っているので、まずは150万契約を達成したい。

 他社では300万ぐらい契約を獲得されているところもあるので、3000億円というところもキーワードになってくると思う。そこもしっかり目指したい。

通信事業とのシナジー

――通信事業とのシナジーに関して、どう考えているのか。

ドコモ
 我々は、通信はもちろんのこと、決済なども含めてインフラサービスを提供してきた。そこに加えて今回は電力ということで、生活インフラをワンストップで提供していく。

――通信の解約率低下も狙っているのか。

ドコモ
 「ahamo」など対象料金プランのユーザーの方に関しては、「dカード GOLD」を使っていれば最大10%のポイント還元がある。我々のサービスを、より長く使っていただければと思っている。

――「ギガホ」「ahamo」を利用していればdポイントの還元対象となる。「エコノミーMVNO」に関しては、還元対象にはならないのか。

ドコモ
 今回はポイント還元の対象にはしていないが、今後はユーザーニーズなどを考慮しながら継続して考えていきたい。

「ドコモでんき」ならではの強み

――通信会社の中で電力事業への参入は後発になると思うが、他社と比べて最大の強みは。

ドコモ
 ひとつは「ドコモでんき Green」にある。世界的にも環境に対する意識が強まってきている中で、お財布にも地球にも優しいプランとして提供する。

 また、ポイント還元もあるので、お得でわかりやすいプランとして展開できる。

――「auでんき」でも「ecoプラン」として再生可能エネルギーを活用したプランがあるが、「ドコモでんき Green」はそれとどう違うのか。

ドコモ
 「グリーン」という意味では、「ecoプラン」も「ドコモでんき Green」に相当するサービスだと認識している。

 ただ、「ドコモでんき Green」に関しては、ポイント還元で力を入れている。

 「ecoプラン」は地域の電力会社と同等の金額設定と聞いているので、ポイント還元を含めると、我々の「ドコモでんき Green」も訴求力としては負けていないサービスだと考える。

“電気の見える化”を実現

――今回のしくみの中で、スマートメーターのようなものは含まれていないように思われるが、そのあたりを詳しく教えてほしい。

ドコモ
 新電力への切り替えにあたっては、スマートメーターを前提とした切り替えになる。

 スマートメーターからデータを取ることで、時間や1日単位のデータのグラフ表示が可能になり、“電気の見える化”の実現につながる。

気になる今後の割引施策は?

――今回は「グリーン」「ポイント還元」を押し出しているが、競合他社のサービスでは、通信料金とのセット割も訴求ポイントとして存在する。料金面での割引施策は考えていないのか。

ドコモ
 やはりまずは、ユーザーの方に好評の「dポイント」を増量することで、携帯電話を持っている方々にメリットを感じていただきたい。

 また、「dカード GOLD」を契約していれば、ドコモの携帯電話サービスおよび「ドコモ光」の利用料金の10%がポイントとして還元されるが、今回の「ドコモでんき」もそれにそろえて(10%還元)わかりやすくした。

 しかし、競争環境を踏まえると、ユーザーニーズが変わることも十分考えられるので、引き続きユーザーの方々の声に耳を傾けながらサービス改善に努めていく。