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通信用管路を活用して水素輸送する研究、NTTアノードエナジーなどが共同実施
2022年7月16日 08:00
背景
水素は、将来のクリーンなエネルギー源として期待され、大量の消費が想定される一方で、大量・安定輸送に課題がある。
水素の大量・安定輸送手段として、パイプラインの活用が有効と考えられるが、パイプライン新設にあたって、敷設コスト・用地取得・工事期間などが問題となる。この問題に対して、通信用管路などの既存インフラの活用による解決に期待できるが、一方で安全性の確立が必須である。
今回の事業では、既設配管を用いる場合に必要な安全対策の検討のための基本調査として、各種技術データの取得、課題の抽出など実運用に向けた対応策を検証するために必要な取り組みを実施する。
この事業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の、「超高圧水素インフラ本格普及技術研究開発事業/国際展開、国際標準化等に関する研究開発/水素供給インフラに係る技術基準等検討のための調査研究」を受けて実施する。
事業概要
NTTアノードエナジーらは、パイプラインを用いた水素の輸送形式の一つとして、地中に埋没された既設管(さや管)内に水素パイプラインを配置した二重配管の実現を目指している。
輸送システムの安全性に関する技術開発・調査研究として、水素漏えい検知実地調査、異常予兆検知に関する検証、安全性を担保するための制御シーケンス、実環境における各種水素センサーの性能評価を実施する。
また、運用時における破断事故や自然災害などの非定常状態なども想定した安全策調査を実施する。これに加えて、輸送時の効率、エネルギー投入量、経済性の観点でのコスト分析など、他の輸送手段と比べた既設配管の活用に関する事業の採算性についても検証を行う。
今後の展開
事業によって得られる知見やノウハウをもとに、実運用を想定した安全策の具体的技術検討の推進、確立を図る。
通信用管路(とう道など)を活用したパイプラインによる都市部への水素供給を目指し、CO2フリー水素の面的展開により、水素大量消費社会を見据えた地域におけるパイプラインによる水素供給手段の確立、スマートシティ発展に貢献するという。