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クアルコム「Snapdragon 8 Gen 1」、第7世代AIエンジンの実力とは

 クアルコムは12月1日(日本時間)、モバイル向けの新チップセットとして「Snapdragon 8 Gen 1」を発表した。

 本記事では、同チップセットの撮影性能について取り上げた別記事に続くかたちで、「Snapdragon Tech Summit 2021」における解説のうち、AIに関連する部分に焦点を当てて紹介する。

 現在、実に18億台ものデバイスに、クアルコムのAI技術が搭載されているという。200以上の機械学習モデルを提供する同社は、AI技術に関する開発を推し進める。

 今回発表された最新チップセット「Snapdragon 8 Gen 1」には、AIエンジンとして第7世代の「Qualcomm AI Engine」が搭載されている。

 クアルコムが「これまでで最も強力で速い」とアピールする同AIエンジンは、「Hexagon」と呼ばれる同社のプロセッサを搭載。

 先代との比較で2倍スピードアップしたTensorアクセラレータに加え、2倍のサイズになった共有メモリも備える。そのパフォーマンスは、先代に比べて最大4倍になった。

 また、パフォーマンスだけでなく電力効率も向上。従来との比較で最大1.7倍の電力効率を実現している。

 「Hexagon」プロセッサの性能に加えてソフトウェアの性能もパワーアップ。たとえばカメラアプリのジェスチャー検知などでその力を発揮する。

 また、第3世代の「Qualcomm Sensing Hub」には省電力性に優れたAIアーキテクチャが搭載されており、AIパフォーマンスを75%向上させる。それでありながら、消費電力は50%に抑えることに成功している。

 このセンシングハブはアクティビティの自動検出などに対応する。たとえばユーザーが運転していることを検知すると、音声コントロールモードを起動する。

 ライカによる撮影モード「Leitz Looks」は、クアルコムのAIエンジンを活用したものだ。

 ゲーム分野でも、パワーアップしたAIエンジンが高度なレンダリングやチート検出などに寄与する。

 さらに、Sonde Healthとの協業による音声分析では、うつ病やぜんそくなど、ユーザーの健康状態に関連する音声の変化を識別できるという。

 クアルコムは、AIに関する開発環境の整備にも力を入れる。グーグル・クラウドとの協業では、ニューラルアーキテクチャ探索(NAS)分野で連携。さまざまな分野において、ニューラルネットワークの開発を加速させていくとしている。