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総務省、NTTに公正競争の確保を要請――ドコモの完全子会社化で

 総務省は、NTT(持株)によるNTTドコモの完全子会社化について、公正競争上の懸念を理由としてKDDIやソフトバンクなどが提出した意見申出書に基づき、「電気通信市場検証会議」を開催して検討を行い、公正競争の確保に向けて講ずべき措置について、NTTに対する要請を行った。

総務省、公正な競争環境の確保をNTTに要請

 要請は、先日公開された「公正競争確保の在り方に関する検討会議報告書」をベースに、電気通信事業法に基づく規律の遵守を徹底するとともに、NTTグループ会社に対して規律遵守を徹底を求めている。

 中でも、NTT東西に対しては、電気通信事業法第30条および第31条の規律遵守を徹底することや、NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)に加えて新たに特定関係事業者となるNTTドコモとの関係においても、規律遵守の徹底を求めている。

 報告書では、これまでの事業分離やNTT再編時に求められた累次の公正競争条件に関して、その維持の必要性が薄れたと考えられる出資比率の低下の条件を除いて、引き続き遵守を求めている。

累次の公正競争条件

 また、NTT東西とNTTコムとの間の累次の公正競争条件について、NTTコムのネットワークがドコモに移管されるのであれば、新たにNTT東西とNTTドコモとの間や、NTTグループ各社に対して累次の公正競争条件の遵守徹底を求めている。

禁止行為規制の遵守状況などに関する検証

 総務省は、NTT東西および、NTTドコモにおける電気通信事業法に基づく禁止行為規制の遵守状況などに関する検証のために、以下データを毎年度総務省に提出することを要請した。提出を求めるデータの内容については、市場環境の変化などに応じて、検証の内容とともに随時見直す。

総務省がNTTに提出を求めたデータ
局舎スペースの利用に関する検証に必要なデータ
グループ間取引を通じた禁止行為規制の潜脱に関する検証に必要なデータ
NTT東西における各種手続についてのリードタイム検証に必要なデータ
NTT東西の接続機能要望等に関する検証に必要なデータ

 このほか、総務省からの求めに応じて、NTT東西およびNTTドコモにおける禁止行為規制の遵守状況などに関する検証のために、市場検証会議でのヒアリングなどに協力することや、前掲の累次の公正競争条件の遵守状況などの確認に協力することを要請した。

NTT東西のネットワーク調達について

 NTTコムのネットワークがNTTドコモに移管された場合、NTT東西のネットワーク調達において、競争上の問題が新たに発生しないか状況を注視する目的で、NTT東西におけるネットワーク調達に係る取引のうち、県間伝送設備の調達について、毎年度総務省に報告することを要請した。

NTTドコモにおける財務状況の透明性確保

 NTTドコモの上場廃止後も、NTTドコモ以外のMNO各社が公表するデータとの比較検証を行うために必要な情報について、引き続き公開を求める。

 今後、公正競争の確保にあたってより精緻な検証が求められることから、NTTドコモに対してはセグメント別の売上高、営業利益、営業利益率、ARPUなどについて、引き続き公表を求める。

利用者利益の確保、電気通信市場の活性化

 利用者利益の確保や、電気通信市場の活性化などの観点から、NTTドコモの完全子会社化に伴うグループ連携で生み出されたシナジーを通じて、利用者により使いやすく、安価なサービス・料金を提供することや、産業の国際競争力の強化を行うこと、研究開発にあたっては国内外のICTベンダーとの連携や、海外への円滑な展開を可能とする技術標準に積極的に取り組むことを、NTTグループ各社に求める。

将来的なネットワーク統合などに伴う課題について

 今後、IOWNなど次世代のネットワーク構築にあたり、その設計上、光ファイバーなどの設備単体での提供やさまざまな機能単体での提供を含め、必要なアンバンドルなどが不可能とならないようにすることや、ネットワーク利用の具体的意思がある他事業者が必要な機器を調達した上で、ネットワークを構築した事業者と同時にサービスインが可能となるように取り組むことを要請した。