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もっと多くの人に中古スマホを、「にこスマ」が渋谷の若者にアピールする理由

 Belongは2日、東京都渋谷区に中古スマホを手にとって購入できる中古スマートフォンのECサイト「にこスマ」のポップアップストアをオープンした。

 同店舗がオープンしたのは、東京都渋谷区にある「CHOOSEBASE SHIBUYA」(チューズベース シブヤ)。オンラインとリアル世界の垣根を取り払ったOMO(Online Merges with Offline)の考え方を取り入れた新しいスタイルのストアだ。そごう・西武によって運営されている。

並べられる商品の一例

 全体として「サステナブル」(持続可能性)をテーマとした商品が並ぶ中に、にこスマが販売するスマートフォンが展示されている。

新たなユーザーへのタッチポイントとして

 日本において中古スマートフォンの普及率は数%ほどと、認知度も含めてまだまだ成長の余地が残されているといえる。

正面入り口。ここから入ると左手ににこスマの展示がある「BASE A」にたどり着く

 中古スマートフォンというとコアなユーザーが買っていくもの、といったイメージで捉えられがちだ。その点から見ると、今回のポップアップストア出店先である渋谷という街に来るメイン層とは少し乖離があるようにも思える。

現在、にこスマのブースがある「BASE A」。今後、移動する可能性もあるという

 Belong マーケティング&セールス アシスタントマネージャーの大久保健介氏は「20代~30代の中古スマホに触れたことがない方へのタッチポイントとなりえる」と今までリーチできていなかった新たなユーザー層の開拓への期待が込められていると今回の出店の理由を語る。

 Belong 中古スマホ通販サイト「にこスマ」プロダクトマネージャーの大野正稔氏は「秋葉原などは(コアユーザーに向けた)プロショップ。一方で我々はあまり詳しくない初心者に向けて『なんとなく買って届いたスマホにSIMを入れるだけで使える』という体験を提供していきたい」と語る。

 中古スマートフォンの購入時には、本体の傷やバッテリーの消耗具合など新品ならば気にしなくてもいいポイントに注意が必要だ。まったくの初心者が良品を見分けるのはさほど容易ではないかもしれない。

 一方、にこスマでは、ディスプレイの破損や本体の欠けなし、「ネットワーク利用制限」なし、iPhoneに関してはバッテリー容量80%以上といった「三つ星スマホ」という独自の品質基準を取り入れている。SIMロックに関しても、解除してあるか、またはSIMフリーモデルを取り扱う。

にこスマの中古スマホチェックの様子(座間オペレーションセンター)

 大野氏は、にこスマで取り扱うスマートフォンを、販売店の保証がしっかりしている「認定中古車」にたとえる。これまでのスマホ市場では、皆「新車」しか選択肢がなかったのでは、とも語り中古スマホという「新たな選択肢」を提示することで市場全体を広げていきたいとした。

手に取れる安心感

 実際にポップアップストアで展示されるiPhoneを手にしてみた。

 外観が綺麗な順にA、B、Cとグレード分けされているが、Aグレードはほとんど新品と見分けがつかない。Cグレードになると、四隅などに塗装の剥がれが見られるが前述のとおり、欠けていたり、割れていたりということはなかった。

にこスマのブース。グレードごとの違いを実際に手に取って比べられる
上から順にA、B、C。グレードBでもケースをつけると考えるとさほど気にならない

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響が強い中、オンラインショッピングの需要が高まりを見せているが、中古スマートフォンにおいては「直接手にとって実物を見たい」というユーザーの声は少なくない。

 今回のにこスマのポップアップストアには、そうしたユーザーの希望を叶えられる側面もある。

需要の高い「iPhone SE(第1世代)」と「iPhone 8」が展示されている

支払いはキャッシュレス専用

 同店舗での購入は、スマートフォン上で行う。各商品にはそれぞれのQRコードが用意されており、それをスキャンしカートに入れる。

iPhoneの横にQRコードが見える

 LINEまたはメールで連絡先を登録すると決済用のワンタイムQRコード(30分有効)が発行される。レジでスキャンしてもらってから数分すると商品が用意されるため、購入したくなったらその場で持って帰ることができる。

 ちなみに、支払いはクレジットカードやスマホ決済などキャッシュレス専用となっている。

商品の準備が完了すれば、スマホに通知が来る仕組みだ
準備完了の連絡が来たらピックアップカウンターで受け取るだけ

新たな選択肢のひとつとして

 政府の方針により、端末と通信の分離がなされて以降、スマートフォン市場には少なくない変化がもたらされた。安価なミドルレンジ機の普及はそのひとつで、各社から多くのモデルがラインアップされている。

 こうした存在に中古スマートフォンはどう立ち向かっていくのか。大野氏は「確かにミドルレンジスマホの影響は大きい。しかしそうしたスマートフォンは中古であればさらに安く提供していける」と、価格面での優位性を保てると説明する。

 加えて「『AQUOS sense』シリーズや『OPPO Reno3 A』など(新品でも安価で使いやすい)十分な選択肢がある。今後こうしたモデルが中古として販売されるときに、ユーザーのニーズに合わせて取り扱いのラインアップを拡充させていきたい」と語った。

 ハイスペックなスマートフォンが買いにくくなる中、中古スマートフォンはひとつの選択肢として大きな魅力だ。「中古スマホってどんなものか気になる」「購入する前に実物を見たい」という方は一度、にこスマポップアップストアを訪れてみても良いかもしれない。